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お知らせ

あなたの「ふつう」とわたしの「ふつう」

こんにちは。
やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

緊急事態宣言が解けて、わたしたちの病院では朝礼を以前のように再開することにしました。

ある日の朝礼スピーチはホスピスの主任さんでした。
とても学びになる内容だったので、ここでちょっと紹介したいと思います。

『患者さんにケアをするときに、私はこんな質問を投げかけます。
「お風呂の温度はどのくらいがいいですか?」とか
「歯ブラシに歯磨き粉はどれくらいつけますか?」とか。
それに対してよくある答えが「普通でいいです」というものです。

私は「普通?普通ってなんだ?どれくらいがこの方の普通なんだろう?」と考えます。
その方の「普通」と私の「普通」は違う。

お風呂の温度はぬるめがいいか、熱めがいいか、もう少し詳しい情報をお尋ねする。

最終的に「これでいいですか?」と尋ねて「ちょうどいいです」と言ってもらえたら、その温度や量をスタッフで共有して、次も同じようにできるようにしておく。

そういう情報がスタッフみんなから集まると、その人らしい心地よい環境で暮らしていける。
日々のケアの中で、そうした小さな「その人にとっての普通」を集めていくことが大事なことなんじゃないかと思います』

朝礼に出ていた職員が何人も、うんうんとうなづいて聴いていました。
心がしんと鎮まり、背筋が伸びるようなスピーチでした。

患者さんが求めているケアだったかどうかは、患者さんに聞くことでしか評価はできない。
そして今日のケアが明日も心地よいかどうか、それも患者さんにしかわからない。
だから日々「これでよかったですか?」と問い続けていく。
ケアは奥深い。
そして絶対はなく、面白い。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
現場の優れた人に教わる、これもまたよろこびですね。

とっても大事なトイレの話

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
今日は新しい病院のトイレについてのお話です。

昔病棟で働いていたころ、180センチくらいの背の高い高齢男性が入院してきました。病気のために体重が落ち、太ももの筋肉が痩せてぺたぺたになっていました。153センチの私は車いすでトイレまでその方を移動し、立ち上がりを介助しました。その方は柵につかまりながら向きを変えて、どすんと落ちるように便座に座りました。その方の脚が長いのに対して便座がとても低いのです。トイレに座るだけでけがをするんじゃないかとハラハラしていました。トイレが終わっても今度は立ち上がるのに一苦労です。
「便器がもうちょっと高ければなあ」と言いながら、すまなそうにしていました。

そんな記憶がずっと引っ掛かっていました。新しい病院を作るときにどこか一カ所でいいから、便座からの立ち上がりを補助するトイレが欲しいと思っていました。今それが2Fの病棟にあります。

病室のトイレは背もたれつきで、前かがみになって踏ん張りたいときのために肘置きのバーもついています。

それからホスピス個室のトイレはドアが大きく開口するものにしました。
普通はベッドから車いす、車いすから便座へと2度移動を繰り返すのですが、ここではベッドからダイレクトに便座に近づけることが可能です。

在宅で闘病していた母も、亡くなる前日まで父がおぶってトイレに行っていました。
「病院のトイレは“みんなのトイレ”だから、自分が入っているときに使いたくて待っている人がいるかと思うと、入院自体が嫌になるのよね」と言っていました。
個室は自分専用のトイレ。
「これだったら入院してもいいよ」と言ってくれただろうかな。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
誰に気兼ねすることなく、ごゆっくりとどうぞ。

「宇宙兄弟」に学ぶ人との関係性

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

週末は管理者研修のスライドを作っていました。
私は30の手前で管理職になりました。リーダーの素質もなくもちろん自信もなく、たまたまそうなってしまいました。それ以来現在に至るまで、どうしたら自分がいいリーダーになれるか、スタッフが気持ちよく働ける場所を作れるか、ということをずっと考えつづけてきたように思います。

昨年知人に「あなたの知らないあなたの強み」という本を教えてもらいました。
自分のことはわかっているようで案外わからないものです。この本は「宇宙兄弟」という漫画がベースになっています。漫画を読まなくてもわかる本ではありますが、読んでいた方がより理解が深まる、そう考えてまずは漫画の方から読み始めました。40巻あるんですがこれがめちゃめちゃ面白い。すっかりハマりました。

職業としての「宇宙飛行士」のことなど、まったく未知の世界です。
主人公南波六太(ナンバムッタ)とその弟(ヒビト)の二人の宇宙飛行士の話ですが、単なるヒーローズストーリーではありません。人と人との関係性やリーダーシップの題材が含まれています。ムッタを含め登場人物はみんな個性的です。その個性を科学的に分析するのがこの本に書かれていることでした。

ムッタはいわゆるヒーローではありません。むしろ本当にやりたいことを前にして尻込みしたり、ぐずぐずと言い訳をしたりして、情けない一面を持っています。けれどもチームの中にいるとメンバーの良いところを観察し引き出し、自分の得意なことを率先して役立て、共に課題を解決していく様が描かれています。

漫画の中にはいろんな名言が出てくるんですが、
「グーみたいなやつがいて、チョキみたいな奴もいて、パーみたいな奴もいる。誰が一番強いか答えを知ってる奴いるか?」
というのが私のお気に入り。
ほんとにそうだなあと思うのです。けれども実際私たちの身の回りでは人と人との諍いが日々起きています。
自分が我慢するというのでもなく、相手を変えようとするのでもなく、互いにいいところを認め合って、楽しく仕事をできたらいいのに。私はそう思います。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
たくさんの人にこの漫画を読んでもらいたいなあ。

カナシイけれどカナシクはない

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

あんなに暑かった夏が過ぎて、一雨ごとに気温が下がり、気が付くとナナカマドの実が真っ赤に色づいて秋が始まっていました。もう9月も下旬です。うかうかしているとシュッと冬がやってくるかもしれません(いや、さすがにそこまで鈍感ではありませんね)。

当院では毎年秋の行事として「ひだまりの会」というご遺族の会を催しています。
今年はコロナ禍でもあり、また病院移転という環境の変化もあり、果たしてご遺族の方がいらっしゃるかどうかと危ぶんでいました。

当院では「患者さんとご家族を丸ごと一体に考える」ということをとても大事にしています。そのため、今やむなく行っている「面会制限」とか「付き添いの中止」といったことは、院内で何度も話しあいながら進めていますが、ずっと苦悩が続いています。
ご家族の方にとって、大切な人と過ごす時間が望んでいた形ではないことは、とても心苦しく思っています。そんな中わざわざ病院に足を運んでくださり、心から感謝しています。

病院の入り口すぐのところにある「シュヴァービング広場」でお迎えしました。
音楽療法士の工藤麻子先生が奏でるピアノの音色と、風にそよぐ緑の森が心地よく感じられる空間です。
今年は新たにオンラインでの対話会にも挑戦して、時間いっぱいお話を伺うことができました。その中で印象的だったのは、あるご家族の方が発した「カナシイけれどカナシクはない」という言葉です。
面会の時間は短くても、そこにはぎゅっと凝縮した気持ちの交流があったこと、お互いを思いやるエピソードがあったこと。だから今も自分の中に生きて共にいるという風に感じられるというお話でした。

タイトルに「カナシイけれどカナシクはない」とカナでは書いたのには、訳があります。
その方のお話からは「悲しい」とか「哀しい」の文字が持つ、痛み泣きたくなるような気持ちとは別に、「愛しい」(いとしくてかわいい)も感じられたからなのです。ネットで調べると「愛しい」も古文では「カナシイ」と読むとあると書かれていました。
どの漢字も当てはまるけれどどれが一番その方の心にフィットする漢字なのかは、その方にしかわかりません。私の感じでは「愛しいけれど悲しくはない」かなあという印象ですが、あえてカナで書かせていただきました。
大切な人へ十分なことができなかったお辛さや不全感のような気持ちが勝っているのでは、と思っていた私にとっては、これもまたご家族から教えられたことの一つとなりました。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
秋という季節は人を想う季節ですね。

青空ヨガ

「部長、昼休みに10分間、ガゼボに来てください」
「え、なになに、そのお誘い!なにがあるの?」

ガゼボ、というのは病院建物の横にある、西洋風のあずまやのことです。
森からの風が吹き抜ける美しい設計で、頭をかがめて中に入ると木のベンチで休むことができます。

そこでただ森を眺めて佇むもよし、大好きなペットと遊ぶもよし。
目をつぶって木がさわさわと風に揺れる音を感じるだけで、気持ちがいいです。

ナースのTさんが、ガゼボのそばで昼休みの10分間ヨガタイムを開くというのでワクワクしていきました。
Tさんはヨガのインストラクターができる方で、これまでにも何度か院内でヨガを教えてもらいました。
とっても教え上手な方です。
その日集まったのはソーシャルワーカーやクラークと看護師合わせて10名くらい。
ガゼボの横でなんとなく円陣に広がってみました。

「私たちはパソコンやスマホで前かがみになっていることが多くて、首や肩が凝っています」
うんうん、その通り。わたしもガチガチです。

Tさんの導きで深呼吸から始まって、首や腕、肩甲骨とあちこちの筋肉をのばしていきました。
じんわりと気持ちがいいです。
そして首をのばして見た青空に、虹?彩雲?でしょうか。
まあるい7色のプリズムがきれい。
小さな歓声が上がりました。
身体も楽になって、きれいなものを見て、ほんの10分間なのに得をした気分です。
これは働くみんなに来てもらいたいなあ。

終わって病院に戻り際、師長さんがつぶやきました。
「青空ヨガ、ですね」
「そのネーミングいいね!」
毎日いろいろあるけれど、束の間忘れてさわやかな気持ちになりました。
Tさん ありがとう。またぜひやってほしいな。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
この、突然始まるゲリライベントがいいんだな。

くよくよしない

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
札幌は夏から秋に変わリ、陽の落ちるのも早くなってきました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?

パソコンで作ったいろんなファイルをUSBに保存していたのですが、先日自宅のパソコンで開こうとすると開けなくなっていました。職場のパソコンでも同じ。
あらあら困りました。

そこにはこれから予定している講義のパワーポイントとか、データなどが入っていたのです。
「クラウドに入れておけばどこからでも見られますよ」というのは知っているのですが、私のようなパソコン能力の低い者にとっては、なんとなく不安なもので、あえてUSBだけに保存したのが仇となりました。まあ、ときどきこういうことをやるんです。

これは少し前に見た映画「スノーデン」の影響かも知れません。パソコンで仕事をしているだけなのに、カメラの向こうからこちらを覗かれ、データを暴かれるような気がしてくるのです。(国家の重要人物でもないのに図々しいですね)

パソコンが職場に入ってきたのは1998年くらいだったでしょうか。詰め所に鮮やかなブルーのimacが設置されたときはなんてかわいくてスタイリッシュなんだろうと思い、自宅用にも同じものを買いました。あの頃はフロッピーで保存してましたね。
あれから20年以上経ち、自宅のパソコンも何台目かになりますが、相変わらず最低限の機能しか使ってない気がします。
大人になってからパソコンやスマホが登場して、必死についてきた私は、覚えたことだけを頑固にやり続けていて、もっと便利な機能がたくさんあるのを知らずにいます。
時々、SE(システムエンジニア)さんに教えてもらうのですがさっぱり身に付きません。
何かを新しくしたらシステムをインストールしてアップデートして・・・この繰り返しに追いつかなくなっています。(とほほ)

さて、失くしてしまったものをいつまで悔やんでいても仕方ありません。
くよくよせずにもう一度最初から作りましょう。
きっと以前のよりいいものができると信じて。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
写真は札幌芸術の森で開催中の「キース・ヘリング展」。空いていて写真撮影可でしたよ。

にもかかわらず、笑う

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
札幌は残暑と思えば急に気温が下がり、着るものを一枚余計に持った方がいいような秋の気配です。皆さんおかわりありませんか?

8月26日からの緊急事態宣言を受けて、院内の対応をまた少し変えました。
会議は必要最小限に、道外への移動は禁止、朝礼のスピーチは中止etc。
師長会議が終わり、廊下で数人残って立ち話。
「でも私たちの生活は何も変わらないよね」
「飲みにも遊びにも行けないし」
「仕事と家とときどきスーパー」
「家の中でもマスク分離生活」

コロナウイルスを家にも病院にも持ち込まないために、みんな似たような生活をしています。

「ねえ、普段何を楽しみにしているの?」
「ネットフリックスを見るとか」
「この間フランス料理をテイクアウトして家でフルコースを食べた」
(え~すご~い!と歓声が上がりました)
「犬にかまってもらう。犬は迷惑してるかも(笑)」
「本は読めなくなった」
「ゲームにハマってる」
「子供が休みだと、家にいるより仕事してた方が楽かも(笑)」

10分ほどですが、そんな他愛もないことを話して、笑いあって、お互いを労いあった時間を過ごしました。
緊張状態は続きますが、今起きていることに向き合って対処していくしかありません。
そんな中にも笑いは大事。
「にもかかわらず笑う」というのは、柏木先生から教わった言葉です。
人間には常に悩みが付きまとうもので、そんな時笑うということが、ひととき人生を軽くするなあと思うのです。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
あなたは何を楽しみにしていますか?

余白のココロ

新しい病院に来て、各病棟が少しずつ小さな楽しみの場を作り始めているところです。

ホスピス病棟は東西に分かれ、緩和ケアに取り組み始めたばかりのスタッフもたくさんいます。
7月の終わりごろにKさんに「病棟が変わって、どうですか」と声をかけてみました。

「今日患者さんと一緒に七夕飾りの短冊を書きに行ってきたんです。ほんの10分くらいのことですが、一日の中でそういう時間がつくれたこと、うれしく思いました」と答えてくれました。一人ひとり、そうした毎日の積み重ねで七夕飾りがにぎやかになり、七夕祭りは開催されました。

今年の七夕祭りは飲食を中止し、割り箸と輪ゴムで作った射的に、ヨーヨー釣りなどをお一人ずつ、楽しんでいただきました。
的に当たらず何度も挑戦する患者さん。
童心に帰ったような目の輝きに、見ている私たちもうれしくなりました。

そして織姫と彦星役のナースが、お部屋に訪問して記念写真。
普段の制服姿とは違う姿に、患者さんも驚いたことでしょう。

 

一方2F病棟では病棟のテラスや、外の花壇に車いすの患者さんを連れ出しています。
お散歩したり、ガゼボ(あずまや)で休憩したり、シャボン玉をしたりしています。
シャボン玉なんて何十年ぶりでしょうか?
外の空気を吸い込み、ぷ~っと吐き出す、それがまたちょっと体にもいいですね。

楽し気な様子を写真に収めて、ご家族がいらしたときにお渡ししています。
こういうことは「仕事」ととらえると出てこない発想です。

「しなければならない仕事」のほかに「余白」を自分たちで作る。
目的は「喜んでもらいたい」「笑顔がみたい」から。
動機はいたってシンプルです。

ひとりでは成しえないけれど、それぞれが5%くらい余白の力を発揮すると、結果大きな力になるものです。
何にも手伝っていない私でさえも、元気をもらいました。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます
コロナ禍でもできることは何か?を模索していくスタッフに感謝。

看護師募集中! 個別見学会にいらっしゃいませんか?

札幌南徳洲会病院では、現在看護師を募集しております。
コロナ禍ですが新しい病院をぜひ見ていただきたいので、個別に見学説明会を開催いたします。
詳しくはこちら↓をごらんください。

https://sapporominami.com/nurse/careers/

ささくれた感性に水を

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
豪雨災害で被害を受けた地域の方々には心からお見舞い申し上げます。
コロナウイルスだけでも十分すぎるくらい神経を注いでいるのに、予測以上の天変地異が起こる今日この頃、ニュース映像に心が痛みます。どうか食べること眠ることが確保できますように、と願っております。

さて一気に涼しくなった札幌。着るものに悩む毎日です。
新病院の玄関には以前と同じ、黒板が立てかけられています。
病院らしくない病院、と言われるのが一番の褒め言葉と思っておりますが、この黒板もそのひとつ。
オープン時はクラークUさん、今月は医事課のWさんが描いてくれました。
これを見た誰かがほっとしたり心が温まったら幸いです。

コロナや異常な天候で何か私たちはずっと緊張を強いられて、我慢し続けています。
元気がないときに「ちょっと聴いてくれる?」とか「ご飯食べに行こうか」とできたものが、今は人と距離を置かなきゃいけなくて、長い時間話すのはよくないことになってしまいました。
誰かに話を聴いてもらって心の中がすっとして、元気をもらってまた頑張る、そんな日常を取り戻したいものですね。
それにはやっぱりオンラインじゃないんだよなあと、昭和の人間は思います。

ささくれた心のために、まずは自分の心が喜ぶことをしましょう。
私は最近ドラマを見ることができるようになってきました。
朝ドラの「おかえりモネ」と、数年前に放映されていた「逃げるは恥だが役に立つ」を毎晩見て泣いたり笑ったりしているだけですが、感性のリハビリにはちょうどいいです。
感情が揺さぶられて泣くのは「涙活」(るいかつ)と言って、もやもやした感情が浄化する手助けになるそうです。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
感性が干上がらないようにね。

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