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ホスピス・緩和ケア

ACPと意思決定支援

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
年度末と年度初めの準備で慌ただしい毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?


先日、透析ナースたちが集まって勉強会をすると聞きました。

テーマは「ACPと意思決定支援」。教育師長の梶原さんが講師です。

病気の診断を受けると、患者さんはそこから意思決定の連続です。手術・放射線・抗がん剤・その他・・時期・病院・仕事・・・決めなきゃいけないことがつぎつぎ迫ってきます。

透析を受ける患者さんも、腎機能が落ちてきて透析を受けるかどうかの選択を迫られる時があり、その選択をしたからこそ、今通院していらっしゃる。そして治療を続けていくうちに、体調が悪くなるときもある。その時にどこでどんな治療を受けるのか、新たな意思決定を迫られる時があるのです。その時に自分の意思を医療者に伝えられるかどうか、そのことを誰かと事前に話しあっておいた方がいいですよ、というのがACP(アドバンス・ケア・プラン)というものです。
この数年「人生会議」と宣伝されていますね。

「私は死期が近づいたら、余計な延命治療はしてほしくありません」と考えている人でも、たった今、元気な時に交通事故に遭遇した場合は「全力で助けてほしい」と思っているかも知れません。

ことばで表現されたものがその人の考えのすべてではなく、言外に隠れた思いがあるものです。死について普段はあまり考えることもないし、ましてや改まって家族と話しあうこともない、というのが一般的じゃないかな?と思います。

「何もしてほしくない」「家で死にたい」と思う日もあれば、「家族に負担をかけたくないから、病院に入院する」という日もある。人の気持ちは揺れ動いて当然。その時々の想いを聴いて、最大限何ができるかな、と考えるのが意思決定支援なんですね。

言うは易し、行うは難し、ではありますが、できるだけその思いを叶えたいと思っている私たちです。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
梶原師長さんが話す、市民向けACPのyou tubeもごらんください。
「自分らしく過ごすためのACP(アドバンス・ケア・プランニング)」

ホームグラウンド

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
札幌は朝晩の気温が下がってきて、ようやく秋らしくなってきました。

病院の西側に、在宅緩和ケアのクリニックと訪問看護ステーションがあり、日ごろから連携しています。在宅の患者さんが入院されることもありますし、入院していた患者さんが家に帰られて訪問診療や看護と繋がる場合もあります。

家に帰られた患者さんはいったいどんな風に過ごしているのだろう。
百聞は一見にしかず、ということで病院ナースは訪問看護ステーションへ見学に。月に2人ほど、ぽつりぽつりと行っています。

在宅医療というのは、患者さんやご家族の「入っていいですよ」と許可が得られなければ成立しない世界です。その方、そのご家族の歴史や文化に足を踏み入れるのですから、こちらもそれなりの覚悟や礼儀作法が必要です。

今年もこの研修を始めて、看護師たちのフレッシュな気づきがレポートに書かれたので、少しご紹介したいと思います。(表現は少し変えています)

―こんなに笑って話す患者さん、こんなに明るく面白いご家族であることに、入院中は気づきませんでした。入院中に私たちが見る姿は断片的だと感じました。

―入院中は自分の勤務時間の中で症状や状況に応じたケアを実施しますが、在宅では今訪問中のこの時間内に、これ以降に起こりうることも含めてアセスメントし、決定していかなければなりません。それは症状から環境・家族の介護力まで非常に幅広い範囲です。看護師の力を感じました。

こんな風に、患者さんやご家族、そして訪問看護師についての見方が変わりました。

―これまでも患者さんやご家族の想いを大切に関わってきたつもりでした。しかし在宅を希望される患者さんの姿を、本当の意味で想像できていなかったこと、それを患者さんやご家族に合ったやり方で、聴いたり伝えたりすることはできていなかったと感じました。

―これからは患者さんやご家族の想いを確認し、尊重するケアをしたいです。退院前カンファレンスに向かう心持がかなり変わりました。

価値ある研修になったのは、訪問看護スタッフのチカラによるもの、そして行った本人の感性、何より受け入れて下さった患者さんとご家族のおかげです。 ありがとうございました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
家がいいんだよね、やっぱり。

体温

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
残暑というにはまだまだ先がありそうな、お盆明けです。

先日ホスピスに入院中の患者さんのところへ、ワンちゃんの面会がありました。
話には聞いていたのですが、病室でのペットとの面会。
実際のところを知ったのは今回が初めてです。

おとなしいワンちゃんが2匹、ベッドの上に乗り、患者さんの手に抱っこされました。
「久しぶり。ねえどうしてここにいるの?」
「いつ帰ってくる?」
問いかけているような、かわいいお顔です。
ナースが記念写真を撮り、事務クラークがプリントしてプレゼント。
日常的によく写真を撮りますので、お手の物です。

それから、8/19(土)北海道新聞の朝刊に載っていた、作家・桜木紫乃さんのコラム。
愛犬を亡くしてから夢を見ることが多く、それも動物の体温を感じる夢ばかり、と書かれていました。

そう、ペットの存在って体温だなあとそれを読んで思いました。
手で触れ、ほっぺたをくっつけ、鼻をうずめて感じる体温。
そうすることが許されている飼い主との絶対的な信頼関係。
それが体温を通じて伝わるのですね。
この時ばかりは病気のことも忘れて、愛おしいこころのままに。
これが大事なんだな。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
動物って黙って寄り添ってくれるよね。

※患者さんとご家族には写真使用の許可は得ており、感謝いたします。

田村恵子先生をお迎えして

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
8月5日土曜日の午後、ホスピス緩和ケア界の草分け的存在である、田村恵子先生(大阪歯科大学 専任教授・がん看護専門看護師)が講演をしてくださいました。(NPO法人ホスピスのこころ研究所主催)

私自身、初めてお話を聴く機会でしたので、とても楽しみにしていました。
本や雑誌でお顔は拝見してましたが、実物の先生は私よりも小柄な方でした。シシリー・ソンダーズにいっぱいハグしてもらったり、サインしてもらった本が宝物だ、とおっしゃる田村先生はとても愛らしい方だなあと思いました。

さて、お話はホスピスの歴史から始まりました。
ホスピスというのは、旅人(巡礼者)をもてなす、とか傷病者のための安息所という意味を持つhospitiumを語源としています。
「ホスピス」ということばがカナダのフランス語圏ではネガティブなイメージで受け取られたため、palliate(緩和するのラテン語)、palliun(体を覆いつくすほどのマントで包み込む)からpalliative care(緩和ケア)に変化していったのだそうです。

日本においても、ホスピスと緩和ケアはどちらも患者の苦痛や苦悩を和らげることなのに、ホスピスは「死を待つ場所」と受け取られることがあり、そこから「緩和ケア」やPCU(palliative care unit)、BSC(best supportive care)のように受け入れられやすい言葉に変化していった経緯があると、前野総長から聞いたことがあります。

当院が新築移転した際に、病棟に何か名称をつけようとしたのですが、私たちの根底には「ホスピス」が根付いているから、シンプルにホスピス西病棟、ホスピス東病棟という風にしようと落ち着いたのでした。田村先生曰く、ホスピスとは「死にゆく者が静かで豊かな環境の中で家族と最期の時を迎える場所」と仰いました。苦痛や苦悩を和らげて、その人らしく最期まで生ききる場所。生き抜く場所。それがホスピスという場所です。誤解なく伝わるといいなと思います。

2時間という講演はあっという間でした。
最後にホスピスで忙しく働くナースに何かエールをお願いします、というと
「熱いマインドを持つこと。
寄り添いたい、関わりたい、それは理屈ではない。
心から湧き上がる思いを大事にしてください。
患者さんへかける時間はそれぞれ違うかも知れません。
必要とされる関わり、内容はそれぞれ違います。私たち看護師にとっても時間は有限だから、公平とか平等とかにこだわるのではなく、今この人に必要なケアをアセスメントして、たった5分でいいからきちんと向き合うことです」ということばに胸がアツくなりました。

自分自身をも大事にしながら目の前の人をケアする。そしてこれでよかったのかなあと教えていただく。そういうことですよね!

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
パワー、いただきました!

お花見復活

5月17日水曜日、天候は晴れ。
今日はスタッフがみんなうれしそうにしている。
いつもと違う仕事に、そわそわしている。
車は3台、事務長も今日は運転手。

患者さんは7名、ご家族は現地集合。
現場には、ボランティアさん達が待機してくれている。
到着すると、ご家族が待ち受けていて、感激の再会。
入り口からたくさんの木、花が私たちを出迎えてくれる。満開の八重桜、ツツジ、チューリップ。

風が心地よく流れ、ゆっくり、ゆっくり車椅子を押して散策する。今年入った看護師が患者さんに「辛くはないか」「寒くはないか」「眩しくないか」気にかけながら進んでいく。

途中、どこかの幼稚園児と行き交い、元気な挨拶が気持ちいい。広場に集合してプレゼントと飲み物が配られた。
「ビールもありますよ、いかがですか?」
プレゼントには手作りのランタンが入っている。

「夜になったら看護師さんにつけてもらってくださいね。桜の押し花の光がゆらゆらするからお楽しみにね。」

集合写真は院長が撮ります!
はいチーズ!

そうしてお昼前に帰ってきました。
玄関で補助者さん達が「お帰りなさい」とやさしく迎えてくれる。
枯葉で汚れた車椅子の車輪を丁寧に拭いてくれた。
さぁ、お部屋に帰りましょうか。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
こんなホスピスの日常。

何を召し上がりたいですか?

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

病院の食事というと「おいしくないもの」と、世間一般に考えられているようです。
手前みそで恐縮ですが、当院の食事は「おいしい」と言っていただけることが多いです。
転院されてきた患者さんが、よく、そうおっしゃってくださいます。
私も時々職員食堂でお昼をいただいてますが、味付けがよく、楽しみにしています。
輸入食材はなるべく使わないという、管理栄養士さんの心意気も好きです。

さて昨年からホスピスで、試験的に始めた「お楽しみ食」。
月に1度、たったお一人の患者さんのためだけに、リクエストにお応えして特別なお食事を提供しています。
病院給食という概念を取り払い、出来るものをおつくりしますよ、というコンセプトで始まりました。
お手本にしたのは、淀川キリスト教病院の「リクエスト食」です。


これまでのリクエストで断トツ多かったのは「揚げたての天ぷら」。
やっぱり揚げたてをサクっと音を立てていただく、これは普通の給食ではなかなかかなわないものでして。
ホスピス病棟内の小さなキッチンで、油を温めて衣をつけた素材を、白衣の調理師さんが手際よくあげていきます。
添えられた天つゆ、大根おろし。それから少量のお刺身。お新香。
揚げたてをサービスしてくれて、まるで本物の天ぷら屋さんのランチのようです。

作って提供する喜びもさることながら、食べる患者さんの身体のコンディションが重要なのです。
ぜひ一番の大好物を召し上がって、笑顔でお過ごしください。

ちなみに先日のリクエストは「お雑煮」。


今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
あなたなら何を注文しますか?

宝石のようなご縁

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

最近透析室では「南徳 透析通信」と名付けた、こんな取り組みをしています。
クリスマスやお正月のごちそう、何をどう食べたらいいのか?
冷えや便秘など体調を整えるツボはどこか?
など、気持ちよく過ごせるポイントを掲示板いっぱいに表しています。
患者さんからの反応も「いいね!」シールなどでいただき、ちょっとしたコミュニケーションの場にもなっているようです。

さてこの頃うれしいのは、当院のケアがいいと感じて就職を希望される方がいらっしゃることです。
・施設の入居者さんを外来受診にお連れしたときの、職員の対応がやさしかった
・以前ホスピスで家族をケアしてもらい、自分もその中で働いてみたいと思った
・看護添書(病院同士のお手紙)に書かれている言葉を読むと、患者さんが大事にされていると感じた

こうした話を聴くのは、とてもうれしいですね。日々のケアの積み重ねであり、そこにスタッフの真心がこもっているからだと思います。
だからといって「そこで自分も仲間になって働く」という気持ちにまでなるのか、と考えさせられます。
そしておそらくそういう気持ちになるほどの関わりだったんだろう、そしてその一員になりたいと感じられる気安さもあったのかな?と思い、胸がアツくなります。
期待を持って来てくださる方をがっかりさせないようにしたいと、姿勢が伸びる気もします。

「札幌南徳洲会はいつも看護師を募集していない」と変な噂が流れているようですが(笑)私どもは現在も看護師さんを募集しております。

看護師たちが自分の生活を大事にしながら、患者さんとご家族によいケアを続けていく、そのために今、看護師を増やしたいと考えています。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
関心のある方に、どうかこの思いが届きますように。

十九歳のホスピス

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
冬らしく雪が降り積もった週末です。もうすぐクリスマスですね。

11月末に、当院ホスピスの誕生日が開かれました。
今年で19歳です。
前野先生が2003年に院長として旧・札幌南青洲病院にホスピスを開設し、それから19年。
この間前野先生はずっと同じ方針を貫き、ホスピスのこころを伝え続けてきました。
この揺るがない姿勢が四十坊院長にも引き継がれ、今につながっていると思います。
おかげさまで、ホスピスケアを志望して集まってくる人や、高齢者ケアに力を入れていることを知って応募してくる職員が増えました。
ありがたく思います。
また患者さんも全道から、一部の方は本州からもいらしてくださいます。
最期まで透析ができることも強みとなっています。
期待が大きくプレッシャーも感じますが、患者さんがここちよく過ごせるように、これからも日々努力を積み重ねたいと思っています。

写真は毎年誕生日にお願いしている、わが清田区の名店ドルチェ・ヴィータさんの特製ケーキ。
みんなでこれを分け合っていただき、年を積み重ねています。
おいしいケーキ、ごちそうさまです。

いつもこのブログに来ていただきありがとうございます。
来年は20歳。成人式です。

慰霊祭「こもれび」2022

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

このブログでも何度か書いておりますが、
https://wp.me/p84aZK-4u
https://wp.me/p84aZK-QV
今年も慰霊祭「こもれび」を行いました。
当院と、隣接しているホームケアクリニック札幌・緩和ケア訪問看護ステーション札幌で、お看取りをさせていただいた患者様を偲ぶ会を開きました。
2019年まではご遺族の方もお呼びして、一緒に祭壇に花を手向け思い出を語る機会としておりましたが、コロナ禍になってからは職員だけで執り行っています。
お知らせを受けてお花をお届けくださったご遺族の方へ、この場を借りてお礼を申し上げます。
黙とうのあと前野総長のご挨拶、臨床宗教師・米本さんのお話があり、講堂は厳かな雰囲気に包まれました。

死を前にして、医療者に何ができるのでしょうか。
「このケアでよかったでしょうか?」と尋ねたい相手はもうここにいません。
が、そう問い続けていくことは私たちの課題です。
AさんによかったケアがBさんにもいいとは限らない。
おひとりおひとり違う人格・違う人生・違う痛みを持っておられる。
私たちもいつか行く「あの世」で、その答えが聞けるといいなと思います。

「こもれび」では今年もボランティアのTさんのお力をお借りして、職員が献花した花をそれぞれオアシスに挿し、アレンジメントを作成しました。

最後の整えをTさんがしてくださり、涼やかな夏花アレンジメントが5台完成しました。ご来院の機会がありましたら、ぜひご覧ください。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
来年こそはご遺族の方もご一緒にできますように。

疫病退散!節分イベント

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
今年も節分イベントを無事に終えました。
青鬼は今年もM先生です。
いつものことですが、イベント前はどちらかというとしぶしぶ青鬼を引き受けた、というご様子です。

しかし始まったとたんにどこからそんな声が出るの?というくらい野太い声で「鬼が来たぞ!」と張り上げるものですから、一緒に歩いている私の方が、心臓が止まりそうでした。

ボランティアさんが作ってくれた黄色いシマシマパンツを身につけて。
今年はシマシマエプロンを着たナースが、患者さんを起こして鬼に豆をぶつけるように指南しています。

折り紙のマスには煎り豆が用意されていて、ぶつけられた鬼は派手なリアクション。

今年は病棟が2つになりましたからイベントも2回ありました。
西病棟は赤鬼Nさん、東病棟は赤鬼Sさん。Sさんは7年連続出場です。
演じる人が楽しそうにしていると、ほかの人にも伝わりますね。

今日もこのブログにお越しいただきありがとうございます。
コロナウイルスをぶっ飛ばせ!

お知らせ, ホスピス・緩和ケア> | 更新日:2022-02-07
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