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2020年12月

クリスマスの出前

早いもので2020年もあと数日ですね。

この一年はコロナウイルスに翻弄され、未だ緊張状態が続いたまま新年を迎えます。
友人が「今年の年末は、ただの月末だ」とつぶやいていました。
忘年会など一年の締めくくりがないので、ほんとにそんな感じです。

そんな中、院内あちこちでクリスマスのイベントがひっそりと行なわれました。
先月からいたるところでクリスマスの飾りつけや、カードの作成が始まっていたんです。

ホスピスでは音楽療法士工藤先生の弾くピアノをBGMに、ツリーを台車に載せお部屋まで出前しました。
ツリーというのはホールにどっかりと鎮座しているもの、ですよね。
その発想を捨て、台車に載せて運ぶんだと言う頭の柔らかさ。
手の空いたスタッフが、ソファをささっと廊下に出して、ツリーの場所を確保します。
こういうところがチームの良さですね。
フェイスシールドをつけたサンタクロースは息苦しそうですが、頭にも電飾をつけて笑いを誘いました。
赤鼻のトナカイがバルーンアートを配り、別のトナカイは靴下に入ったプレゼントを患者さんにお渡ししました。

別な病棟では看護師たちが手作りのそりを携えて各病室を回り、カードを読み上げて一緒に記念写真をパチリ。
この日のために、天使の羽を手作りしてきたナースもいました。

同じような毎日の繰り返しだけれど、今日だけは童心に帰ってサンタクロースの存在を信じ、スタッフの妙な変装にクスっと笑う。
ある方は少し涙ぐむ。
患者さんたちの豊かな表情(苦笑かな?)を見せていただきました。

誰かが誰かを思って喜ばせようとすることって、見ていても温かいもの。
日々の仕事の合間に、いろいろ準備してくれたスタッフにありがとう。
みんなでわいわいとやるのもいいけれど、こうしてお一人ずつ対応していくのも、個が引き立っていいなと思いました。
でも来年はご家族も一緒に、楽しめますように。

今年も一年、このブログに来ていただきありがとうございました。
みなさま良いお年をお迎えください。

断られたのにうれしいメール

師走もあと10日ばかりですが、看護部では来春に就職を希望される方との面接をしているところです。
当院は小さな病院なので、4月といってもさほど多くの方が来る病院ではありません。
ただ今年に限っては来年の移転を見越して「緩和ケア」に興味のある方を大募集しております。
以前も書きましたが、私はこの病院のことを広く人に知ってもらいたくて、2016年の11月から「やさしさビタミン・ブログ」を始めました。
毎週月曜日に更新すると自分で決めて、おかげさまで早4年が経過しました。
ありがたいことに病院を見学される方のほとんどは、ホームページを見ており、時々ですけど「ビタミンブログを楽しみにしています」と言ってくださる方もいます。
私は日々のことをほわほわと書いているだけですが、そう言っていただけると嬉しくなります。

そんな中、見学会にお申込みいただいた方から、キャンセルのメールが届きました。
当院に興味をお持ちいただき、見学会に申し込んでいたのだけど、いろいろ考えてやめることにしたという、残念なお知らせでした。

しかしメールはさらに続きます。
その方は棟方師長と一緒に書いたカンフォータブル・ケアの記事(雑誌「精神科看護」12月号)をお読みになってくださり、自らカンフォータブル・ケアに取り組んでみたのだそうです。
(過去の記事→)https://wp.me/p84aZK-Rj
そうしたら、いつも目が三角になっていた認知症の患者さんが、その日は目がまあるくなって穏やかに過ごされた、のだそうです。
忘れていた看護の基本を思い出すことができた、と書かれていました。
そして自分自身がカンフォータブル・ケアを実践していくことで、今の職場でも広めていけるのかなと思ったのだそうです。

これは、私にはとてつもなくうれしい言葉でした。
自分の書いたものを通じて、一人の看護師さんが実践して手ごたえを感じてくださるなんて、書き手冥利に尽きます。
職場は違っても、それぞれに目の前にいらっしゃる患者さんを幸せにするなんて!最幸です。

それで今度は雑誌の編集者にこのメールのことをお伝えしたんです。
そうしたら編集者の方も、自分たちが作った雑誌がどんなふうに読まれて、果たして役にたっているのかどうかわからなくなる時がある、だからこういう反応をいただけるととてもうれしい、とおっしゃっていただけました。

「一粒で二度おいしい」
この方のメールは私と棟方師長と、雑誌の編集者を幸せな気持ちにしてくれました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
ご縁に感謝です。

自分の感受性を守る

今年もあと残り2週間ほどとなりました。
師走の喧騒やクリスマスはひっそりと、静かな12月です。

先日読んだコラムに、最新のアメリカ映画とドラマの製作について書かれていました。
それによると映画の方は、コロナウイルスを忘れるような内容を作る一方で、テレビドラマはコロナウイルスと闘う内容の方が、リアリティがあるそうなんです。
確かに医療ドラマは、マスクや防護具が映像の中に入ってないと、今は嘘くさいだろうなあと思います。

私のブログはコロナウイルスのことはなるべく遠ざけています。
日常の「ほっこり」を書いて和むひと時にしたいのと、正直に言うと私自身が現実逃避したいからです。
コロナウイルスのおかげで、毎日がスリリングです。
ナースたちともちょっと和むような話をして、緊張感を和らげたいと思っているのですが、これがなかなか・・自分自身が擦り減らないようにするので結構、精いっぱいだったりします。

だから一日の終わりはゆっくり食事し、本を読み、時には瞑想したりしています。
寝る前はネットフリックスで「宇宙兄弟」を一話ずつ見ています。
その代わりSNSとオンライン対話は気分が乗ったときだけ、にしています。

今は自分が心から欲することや、心地いいと感じることだけをしてみる。
したくないなあと思うことはやめてみる。
やめても困らないことは、そもそもしなくていいことかも知れません。

見えない相手と防御だけで戦い続けるのはエネルギーを消耗します。
逃げも一手と考えて、自分の感受性を守りましょう。


先日ある師長さんから「指サック使ってください」と、こんなのをいただきました。
「はにさっく」といいます。
もったいなくて使えません。

幸い院内にはクリスマスの飾りが満載です。
せめてもの気分だけはジングルベルでにこやかに。

いつもこのブログに来てくださりありがとうございます。
あなたのほっこりは何ですか?

足音を聞かせなさい

「足音を聞かせなさい」とは
だいぶ前に新聞のコラムで読んだ言葉です。
出勤前にあわただしく読んだのでうる覚えですが、コラムの作者はある時から畑を始めました。
身近に畑のことをいろいろ教えてくれる先生がいて、冒頭の言葉はその先生のことばです。
「日々畑に行って、何もなくとも植物に足音を聞かせなさい」というような話でした。

なんと含蓄のある言葉だろう、と私は思いました。


植物を育てるのだから、日々何もないとは言えず、虫に食われていないか、病気になってないか、水は足りているか、観察と手入れが大切です。
「植物にあなたの足音を聞かせる」ことによって、まるで植物が「あ、いつもの人が来た」と聞き分けるかのようなイメージが浮かびます。
触ってもらった植物はうれしくなるし、ちょっと弱っていた植物は虫を取り除いてもらってほっとする。
それから畑をやる以上、最後まで責任もってやりなさいよ、という叱咤激励にも聞こえる。
植物だってあなたの行動をちゃんと見聞きしているよ、という戒めにも聞こえる。

日々そんなことをくりかえす間に、足音をききわけた植物が次第に大きく美しく育っていく。
きちんと見守っていたら期待に応えてくれるよ、という励ましでもある。

「足音を聞かせなさい」というのは、「毎日畑に行って水やりをし観察しなさい」という命令ではなく、その人の自発性というか、自律性をくすぐる言葉のように聞こえます。
植物の周りを「ただ歩いて見回っている」のではなく、足音を聞かせるんだと意識することによって、対象への心持が変わる気がします。

さくさく(歩く音)
おはよう
今日はいいお天気だね
さくさく(歩く音)
立ち止まる
ぷちっ(何かを手折る音)
ちょろちょろ(水の音)
さくさく

足音を聞き分け「あ!いつもの人が来た!」「ねえねえお水ちょうだい」と沸き立つ植物たちの様子が、脳内でアニメーションとなって動き出します。
正直言うと「今日は雨の予報だから」と言うときは朝の水やりをさぼっていたもので・・。
大いに反省しました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
つまりは看護と管理にも通じるもので。