https://sapporominami.com/nurse/

文字の大きさ変更

サイトマップ
0118830602

カテゴリー一覧

マネジメント

経験値

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

2月から3月は、年度のまとめと新年度の計画を同時進行でしているところです。
私は会議の年間計画を立てるとき、毎月の司会と書記をあらかじめ明文化しておきます。
とある会議に、新年度新しいメンバーが加わります。書記は持ち回りで行うので、新メンバーにも当然やっていただくことになります。私は特に深く考えもせず、その新メンバーの方の書記を前年度の流れに従って6月に予定しました。そうしたら、既メンバーから「新メンバーに6月に書記をやってもらうのは早いんじゃないか」とのご意見をいただきました。

「そうかなあ、議事録のひな型はあるわけだし、そんなに難しいことではないんじゃないかな。必要なら録音していただいてもかまわないんだけど。」と私は答えました。結局新メンバーご本人の考えも聞いてみることとなり、その場では結論に至りませんでした。

数日後、某師長さんがこんなことをつぶやきました。
「とある外部の会議に出たときに、書記をする人がいなかったので、私が手上げしました。書記くらい、いつも職場でしているからどうということもないと思っていたのです。ところが、皆さんの話の中には過去に話しあった出来事や、明文化されていない決まり事みたいなことがポンポンと出てくる。私はその会議に出るようになったばかりなので、みなさんが話していることが何の話かわかりません。そして今の発言を議事録に残しておくべきなのか、雑談のひとつなのかの判断もつきません。書記をやりますと簡単に引き受けてしまって、少し後悔しました」という内容です。

先述の話とあまりに符合するのでびっくりしました。
そうか、経験値。
その場にいることで体得したものごと、共有した感情などは少しずつ積みあがって今につながる。
冒頭で意見を言ってくれた方も、初めて書記をしたときに「この人たちは何の話をしているのだろう」という経験をしたのかも知れなかったのです。いつかはどこかで経験しなければならないから、「わからないことがわからない」の状態からやってみるのもひとつではあります。その「わからないこと」を尋ねるというのも、大事なことだし。しかし現実にはすべてのことを既メンバーのように知ることはできないわけでして。

私は別な視野を授けられて、「あ、なるほど」と腑に落ちたのでした。
1年経てばすべてわかるかと言われると、そうではありませんが、少なからず新しいメンバーにとって、書記を後ろにずらすのは、やさしい配慮だとわかりました。ややこしい話、伝わりましたでしょうか。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
想像力がだんだん乏しくなっているのな。

一流の講義 その二

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
前回に続き、井部俊子さんの講義について。

テーマが「最善を尽くせ、しかも一流であれ」。
日本の医療のトップランナーたる大学、病院で管理者をしてこられた井部先生。
どんな講義をされるんだろうと興味深々です。

私が思うよい講義とは、伝わる講義です。
優れた講義というのは理論と経験とが行ったり来たりしながら「語られる」、そしてそれが受け手の経験や感情に触れて、腑に落ちる感覚になるのが、伝わる講義だと思います。
井部先生の講義もエピソードが詰まっていて、しかも易しい言葉で語られるんですよね。

「一流のマネジメント」のひとつ、外注先との付き合い方について、ご紹介しますと。

三流のマネジャーは外注先を「業者」と呼び、二流のマネジャーは「うまく付き合おう」と考える。
さて一流はどうかというと「チームのメンバーと考えて付き合おうとする」。

私達病院というのは、様々な人に支えられています。医療専門職や事務、コメディカル職員たちは病院職員ですが、それ以外にお掃除や給食、患者さんの送迎や保育園など委託会社のおかげで病院が成立しています。
師長の中には、お掃除の方の名前をきちんと憶えてる人もいます。コロナのクラスターが起きたときは看護師が掃除しなければならず、普段いかにお世話になっていたか、身に沁みました。

その師長は当たり前のように「チームの一員ですから」と言ってくれるので、いまさらながら、頭が下がります。私は全員の名前は覚えてないなあ~と反省しました。

井部先生は「看護学校の教員も、病院と対等な立場でいてほしい。学校は優れた学生を育てるためにあり、病院はそこから育った看護師を雇うのだ、だから「学生さん」とか「新人さん」などのように十把一絡げに呼ぶことは相手を軽視していることになる」ともおっしゃいました。ああ~気をつけなくちゃ。

このような感じで講義が続いていき、最後は受講生とのディスカッションです。
講義のうまい人はディスカッションも巧みです。何を聴かれても当意即妙、ポンポンと質問を返されたりして受講生の考えを引き出すのでした。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
知るも楽しい。学ぶも楽しい。

一流の講義 その一

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
先日札幌市立大学で井部俊子先生の特別講義を聴いてきました。

認定看護管理教育課程サードレベルの卒業生は、毎年現役生の特別講義を聴講することができるのです。
現役生はもう15期生。(私は3期生・・ずいぶん経ちました)

井部先生は週刊医学界新聞に「看護のアジェンダ」を連載されていて、私は毎回読むのを楽しみにしています。論理的な文章の中にも、胸がきゅんとするようなエピソードや、時に辛辣な言葉が書かれていて、背筋がピンとなるのです。

この講義のテーマは「最善を尽くせ、しかも一流であれ(Do the best, it must be first class.)」。

シビレるタイトルだなあ。そしてどこかで聞いたことがあるなあ。
さっそくネットで調べてみます。

「最善を尽くせ、しかも一流であれ(Do the best, it must be first class.)」は聖路加国際病院を創設した米国宣教医師ルドルフ・B・トイスラーの言葉です。

トイスラーは聖路加国際大学の創立者で、聖路加病院の初代院長でした。技術と知識を備えた看護師の育成に務め、医師の海外留学に先鞭をつけた、とあります。(Wikipediaより)
関東大震災のあとに来日した米国人ポール・ラッシュは、トイスラーから受けたこの言葉を座右の銘として、日本の農業経営などに多くの足跡を残しました。
太平洋戦争を挟み、敵国人として強制送還されたあとも、GHQの一員として再来日し、立教大で教鞭をとり、聖路加病院の再建に尽力し、日本へのエールを送り続けて生涯を終えたと書かれていました。(「山梨近代人物館」より)

ふたりともキリスト教を機軸として、人を救うために日本にやってきて病院設立に尽力し、後進を育て、最期は聖路加病院で息を引き取ったとのこと。しかも聖路加病院の設計はアントニン・レイモンドだったのですね。(映画「人生フルーツ」で主人公が愛する建築家)

知らないことを知るヨロコビ。タイトル探るだけでずいぶん楽しかった。

この聖路加国際病院で看護部長を務められ、聖路加看護大学で学長をされていたのが井部先生です。現在は長野保健医療大学の副学長で看護学部長、株式会社井部看護管理研究所代表でもあります。

前置きが長くなってしまいましたが、私からすると雲の上のような方の、講義を聴いてきました。

今日もこのブログに来ていただき、ありがとうございます。

続きはまた次回。

緩和ケア病棟 看護師見学会のお知らせ

こんにちは。
現在当院では2024年4月入職の、緩和ケア病棟看護師と、看護補助者、看護事務を募集しております。
1/20(土)・2/10(土)いずれも10:00~12:00、病院見学会を開催します。
上記以外の日程をご希望でしたら、採用ページからお入りになり、エントリー画面を入力してお申込みください。

転職・人生の転換点

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
今年も半分が終了し7月になってしまいました。早いですね。

先日当院で働きたいという方の、一日体験研修をしました。
当院は経験者の方の求人を出しておりますが、応募してこられる方の動機は様々です。

緩和ケアをやりたい、という明確な目的を持った方、それから認知症高齢者のケアに関心がある方。大きくはこの二つに分かれます。
今回来られた方はブランクがありましたので、いろいろと不安をお持ちでした。
自分が果たしてそこでの仕事を覚えきれるか、電子カルテの操作、家庭との両立などなど。
新しいことを始める時には希望と期待の反面、自分の今までしてきたことからの脱却を恐れる気持ちや、防衛本能が働きます。ひとつところでずっと働いてきた方も、わりと変化に対する恐れが強いように思います。

そんな方には「一日体験研修」を提案しています。
百聞は一見に如かず、ということばがありますが、看護部長が100の言葉で説明するよりも、実際現場に行って体感し「これならなんとかなりそう」と思えたら、その方がお互いに安心です。

当院に関心を向けてくださる方は、私のこのブログを読んでくださっていることが多く、認知症カンフォータブル・ケアをしていることや身体抑制がゼロになったこともご存じです。
「本当にそんなケアをしているのなら、ここで働きたい。」と思って下さる方も増えてきました。
いいケアをしようと取り組んでいると、いい仲間が集まってくるのです。
そういう意味で私は現場の人たちを信頼しています。
看護部長としては、とても、とても幸せなことです。

転職、というのはエネルギーがいります。いったんプラグを抜いて、これまでの慣れ親しんだ環境での自分を手放し、物事を新しいやり方や人間関係の中で始めなければなりません。そして新たな自分の立ち位置を見つけていく必要があるのです。
新しいプラグの場所が自分にフィットするかどうか、見分けるような試験紙があればいいのですが、人生の重要な転換点ですから、「この方向で間違ってなかった」と思ってもらえるためにも、ぜひ一日体験をご活用いただけたらと思っています。

いつもこのブログに来て下さりありがとうございます。
結果、断られても大丈夫ですよ(^^)/

ちーむいんすた 始動!

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
以前このブログでもささやきましたが、この春から病院の公式インスタグラムを始めました。
構想約1年、いや、妄想としては数年塩漬け状態にしていたのです。チームで始めるためにはそれくらいかかってしまいました。って、大袈裟ですね。
病院発信のSNSは最近急激に増えてきましたが、いろいろとハードルが高いものでした。
医療という厳粛・大真面目な場所を発信すること自体が、そもそも「不真面目」で「不謹慎」なイメージがあり、広告宣伝の規制や個人情報の守秘義務も絡んで結構踏み出しにくいところなんですね。
2016年から個人的にFBとブログを使って、看護師の採用や入院相談などの一役を担ってきました。おかげさまで様々な懸念を律してやれば、人の役に立てると実感してきました。

この数年SNSも変化しています。FBは若い世代はほぼ使っていない。ツイッターは文章で伝えるにはいい媒体だけど、経営がイーロン・マスク氏に変わってから、ちょっと懸念がある。やっぱり映像でぱっと目に飛び込んでくる、インスタグラムがシンプルで訴求力あるなあと思うのです。
そんなわけでぐずぐずと頭で考えていたことを実現するのに、ずいぶんかかりました。
現在看護部内の精鋭たちで「ちーむいんすた」を結成し、曜日を分担しながらやっています。
ありがたいことに、もと広告の仕事をしていた人が含まれているので、その力を存分に発揮してもらっています。

先駆的に始められた湘南藤沢病院をお手本に、「病院らしくない」病院の日常を切り取って発信するのを基本としています。
やってみて思うのは、チームメンバー一人一人が同じ方向性を持っていること。やっぱりコンセプトをしっかり話しあうって大事だなと思います。それから、わからないなりに少しずつ編集技術を学んで、日々切磋琢磨していること。だから素材選びや表現に個性が出ています。私は彼女たちの技術には到底もう追いつきませんが、教えてもらいながらなんとか進んでいます。院内の他部署のことなども案外知らないことが、他の人の投稿で分かったりして「へえ!知らなかった」ということもあります。

そして一番大事なのは「楽しんでやること」。本来業務にさらに付加がついているわけですから、犠牲的なやり方ではうまくいきません。
ま、今のところ辛くなって代わってもらってばかりなのは私だけですけど・・笑。
よろしければ、ぜひのぞいてフォローしてくださるとうれしいです。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
これも頭の体操だな!

2023年は平らかに

新年を迎えました。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
新年、っていいですね。気持ちが改まる。

毎回年が改まった時、このブログに私は何を書いていたのかなと、アーカイブを見てみました。
そうしたら日刊イトイ新聞にならって、去年一年や今年の誓いを漢字一文字で表していました。
昨年は、クラスターなどにも見舞われ、小さなヤマサカはいろいろありましたが、全体的には災害やビッグイベントもなく、割合平穏な1年だったというのが院長・事務長との共通した思いです。
ですので去年の漢字一文字は「穏」ということで。

そして今年。
看護部長の仕事というのは、働く人が楽しく幸せに働けるように環境を整えることだと思っています。
「これでよし!」ということはなく、常に何らかの不足はあるものですが、昨年も良き仲間に恵まれて続けられました。
今年もみんなの仕事が今より少しでも楽になり、楽しいものであるように、そして人が丸く、世の中が平らかでありますように「楽」「平」という文字が頭に浮かびました。
看護職って、自分で言うのもなんですが本当に働き者ばかりなんです。常に不備不足に注意を払いながら、患者さんとチームを観察しています。
生老病死を支える担い手として、心と体のゆとりが大事です。できるなら援助者が定期的に自分自身をケアできるような、そういう取り組みもしたいと思っています。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
毎年おんなじこと言ってる気がするけどね。今年は「平」です。

ナースコール考

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
先週ナースコールのことを書いたんですが、今日は別な視点を思いついたので書いてみます。

月イチくらいで行くお気に入りのCaféは、店主一人でやっているところです。
私はここのランチとコーヒーを楽しみにして出かけています。
お店に入って席に着くと、お水が運ばれてくる。
メニューを選び、テーブルの隅に戻すと店主が注文を聞きに来る。
食べ終わるころには、すっとコーヒーが置かれる。
まあ、当たり前といえば当たり前ですが、タイミングを見計らっている感じが実に自然で心地よいのです。
他のお客さんも店主がひとりなのを知っているので、誰かの食事を作っているときに、レジに行くのは控えている節がある。
時間がかかっても誰も文句を言わず、のんびり待っています。
こんな思いやりのある時間の流れを、店主とお客が一緒に作っているような感覚があるから、きっと好きなんですね。

一方先日行ったとあるCafé。
入り口で席を見定めていると「お待ちください」と入店を止められました。
見ると席は結構空いているが、テーブルが片付いてないようです。
ひとり客なのでカウンター席に座りました。
水が運ばれてきたがしばらく待っても注文を取りに来ません。
テーブルの隅に卵型の呼び出しボタンがあり、どうやらそれを押さないと来てくれないということがわかりました。
押そうと思った瞬間にほぼ同時に2カ所から呼び出しが鳴りました。
カウンター内で何か作っていたスタッフが「順番に参りますのでお待ちください」と声を張り上げました。
ホール係が順番に注文を聞きに行くのを少し待ってから、私はボタンを押しました。
すると「順番に参りますので・・」と先のスタッフがまた声を張り上げました。

私はあなたの目の前に座っているんだけどな・・・

物言いは一見丁寧だけど、「今忙しいんだよ!」と心の声が聞こえるような声音でした。
そしてスタッフは誰もお客の方を向いていません。
呼ばれて初めて客席に行くから、コップの水が空になっていても気づきません。

コーヒーはおいしかったけど、精神安定上よくないからここはもう行かない、と思います。

呼び出しボタン(ナースコール)は便利な道具だけど、接客(看護)という仕事の本質を見失うとこうなっちゃうんだな。
ナースコールが鳴る前に行け、と先輩ナースから教わった世代の小言です。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
今日は辛口。

看護補助体制充実加算

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

今日は固いタイトルですね。
2年おきに行われる診療報酬改定、今年はその年でした。
看護補助体制充実加算というものが新設されまして、漢字10文字で口を噛みそうになりますが、これは必要な人員や勤務時間などの他、看護師の負担軽減計画などの条件をクリアすると、診療報酬として得られるものです。
これまでと違うのは、条件の中に看護師に対する教育が含まれていることでした。
全部で6項目の研修を看護師全員が受講している、が条件ですので、私どものような小さい病院でも、これを確実に取得しようとすると、気合をかける必要がありました。

研修の目的は、大まかに言うと看護師が看護補助者と役割を明確にして、協働しよう、ということです。これからの時代、人口は減り看護師や看護補助者は貴重な人材であり、ますます重要な存在です。そしてどんな現場でも和を大切にしたいものです。

そこで6月から教育師長を中心に3人で手分けしてe-ラーニングを作りました。
1本10分程度で6本、看護師たちも昼休み中にスマホで受講できます。(Wifiがあってホントに良かった!)
6本目には自由記載のアンケートをつけまして、先日開いてみました。
なんと55名の方からの意見が入っていました。以下抜粋します。

●看護補助者さんにはいつも業務を手伝ってもらっているので、今まで以上に感謝しながらより良いケアの向上に努めたいと思います。
●今まで漠然と看護補助者に業務を依頼してきましたが、依頼できること、指示の下できること、できないことが明確になりました。より充実したチーム医療につながると思います。
●患者さんにとって看護補助者さんは身近な存在であり、話しやすい存在でもある。患者さんが何気なく語った言葉がとても重要な意味を持つ場合もあり、だからこそ垣根のないチーム間の情報共有が大切だと認識しました。
●以前は看護補助者のいないところで勤務していたので、一緒に働くことができて本当にありがたいなと思っています。改めて制度を学ぶことができて、今後も生かしていきたいと思います。
●看護補助加算というものを初めて知りました。明確な指示と感謝をして、協働したいと思います。
●最期まで患者さんがその人らしく生を全うしていくために、専門的職業についているという自覚を忘れてはいけないと感じました。看護補助者さんの力を借りながら、情報共有・協力して日常のケアや苦痛緩和などを援助していきたいなと改めて思いました。いろいろな価値観を理解しながら、お互い思いやりと感謝を忘れずに日々業務していきたいです。

「わ~!これは教育者冥利に尽きるね!」
「e-ラーニング作るの大変だったけど、やってよかったね!」と言って、製作者たちは喜びあいました。
こんな風にポジティブなフィードバックができる人が多いということが、当院の強みだとも思います。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
笑顔と感謝溢れるのが一番大事。

病は市に出せ

「問題は小さなうちに対処したほうがいい。様子を見よう、なんて言ってると膨れ上がって対処できないほど深刻になるから」
昔お世話になった上司から教わったことです。
職場のマネジメントに携わるようになってから、この言葉をよく思い出します。
様子をみていて大問題になった経験もありますし、問題とも感じてなかったところから突然大火が発生したこともあります。


昨年「病は市に出せ」という言葉を知りました。
徳島県の旧海部町(現海陽町)で古くから言われてきた格言だそうです。
ここは日本で最も自殺率の低い地域ということで、数年にわたり環境や健康などが調査されました。
他の地域と比べて特に目立った違いはないのですが、地元住民に聴き取り調査をして浮かびあがってきたのは5つの自殺予防因子でした。
それは、濃すぎない緩やかな人間関係、多様な価値観の尊重、固定化されない人への評価、自己肯定感の醸成、助けを求めていい環境、です。(2021.10.21北海道新聞・朝の食卓より)
また江戸時代発祥の「みせ造り」という縁台付きの住宅が並んでいて、生活空間を歩くだけで住民が始終会うので、会うたびに「困りごとを小出しにする習慣がある」のだそうです。

この記事を読んでから、問題が小さいうちに対処するのも、一人一人の悩みが小さいうちに出すのも、切り取り方がちがうだけで本質は同じだなと思ったのです。
「こんなことぐらい」「はずかしい」と思わずに気安く誰かに言えると、それだけで気持ちが楽になることもありますし、「そんなことで悩んでいたの?」「だいじょうぶだよ」と手を差し出してくれたら、悩みも軽くなることでしょう。

これを言わずに限界まで我慢していると、周りが知らないうちにとても深刻な病に陥っていることもあるのです。
大事なのは悩みを出しやすい環境になっているか、悩みを聞いた方が一緒に考え行動しようとしているかどうか、じゃないかと思います。

私がこの病院に来る前に、前野総長から言われました。
「僕たちはどんな小さなこともよく話しあう。だから孤独にはならないよ」と。
着任して驚いたのは、多職種の人に聴く姿勢と多様な価値観を受け入れようとする姿勢が定着していたことでした。
よそ者だった私もここへ来て早7年になりますが、今でもとにかくよくしゃべり、よく聞きあう職場だなと思います。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
行ってみたいなあ。海陽町。

1 2 3 4 5