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2024年2月

Piano time 隣に座るのがオシゴトです

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

プラス気温で雪山が消滅しかかったと思えば、一晩で40センチの大雪が降ったりして、今年はなんともきまぐれなお天気ですね。

当院では毎週木曜日に、piano timeという時間がありまして、1Fのシュヴァービング広場から2F病棟、3Fデイルームへと同じ曲目を3回演奏していただいています。

演奏はアンサンブル・グループ奏楽(そら)さんのピアニスト前田朋子さんが中心になり、ときどきバイオリンやチェロの演奏者がいらしてくれます。

曲目は患者さんのリクエストに応えてくださったり、その季節や患者さんの年齢に合わせて昔の流行歌だったり、当日のお楽しみです。

先日2/21の曲目には「北国の春」「いい日旅立ち」「ありがとう」が含まれていました。
実はその日で実働最終日の職員がおりました。
前田さんからあらかじめその人に贈る曲を相談されていました。こういうところが、なんとも温かいなあ、ありがたいなあと思います。

患者さんのそばに座り、歌詞カードをもらって、私も小声で歌いました。
「いい日旅立ち」は若い時からいい歌だと思っていましたが、改めて歌詞を見ながら歌うと、亡くなった両親のことを思い出し、そして新たな場所へ旅立つ職員のことを思って鼻の奥がつんとしました。

私がこの病院へ来たばかりのころ、ホスピス病棟ではこうした音楽会が開かれていました。患者さんをデイルームにお連れして、隣の椅子に職員が座り、一緒の時を過ごす。「ここでは隣に座るのが仕事のひとつです」とホスピスの看護師に教えてもらいました。
頭の中では「あれをしなきゃ」「これもしなきゃ」と走り回っていても、そのひとときは患者さんのそばで共に過ごし、音楽に耳を傾ける。声を出して歌う。手でリズムを取る。

今は全館でコンサートを聴く機会に恵まれています。木曜日の午後、デイルームには患者さんと職員が集い、共に過ごすのがあたりまえの光景となりました。

看護部にいても、階段の吹き抜けを通じてピアノの音色が聞こえてきます。
生演奏をBGMに仕事するなんて、なんとも贅沢ですね。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
いい日旅立ち。お元気で、また会いましょう!

経験値

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

2月から3月は、年度のまとめと新年度の計画を同時進行でしているところです。
私は会議の年間計画を立てるとき、毎月の司会と書記をあらかじめ明文化しておきます。
とある会議に、新年度新しいメンバーが加わります。書記は持ち回りで行うので、新メンバーにも当然やっていただくことになります。私は特に深く考えもせず、その新メンバーの方の書記を前年度の流れに従って6月に予定しました。そうしたら、既メンバーから「新メンバーに6月に書記をやってもらうのは早いんじゃないか」とのご意見をいただきました。

「そうかなあ、議事録のひな型はあるわけだし、そんなに難しいことではないんじゃないかな。必要なら録音していただいてもかまわないんだけど。」と私は答えました。結局新メンバーご本人の考えも聞いてみることとなり、その場では結論に至りませんでした。

数日後、某師長さんがこんなことをつぶやきました。
「とある外部の会議に出たときに、書記をする人がいなかったので、私が手上げしました。書記くらい、いつも職場でしているからどうということもないと思っていたのです。ところが、皆さんの話の中には過去に話しあった出来事や、明文化されていない決まり事みたいなことがポンポンと出てくる。私はその会議に出るようになったばかりなので、みなさんが話していることが何の話かわかりません。そして今の発言を議事録に残しておくべきなのか、雑談のひとつなのかの判断もつきません。書記をやりますと簡単に引き受けてしまって、少し後悔しました」という内容です。

先述の話とあまりに符合するのでびっくりしました。
そうか、経験値。
その場にいることで体得したものごと、共有した感情などは少しずつ積みあがって今につながる。
冒頭で意見を言ってくれた方も、初めて書記をしたときに「この人たちは何の話をしているのだろう」という経験をしたのかも知れなかったのです。いつかはどこかで経験しなければならないから、「わからないことがわからない」の状態からやってみるのもひとつではあります。その「わからないこと」を尋ねるというのも、大事なことだし。しかし現実にはすべてのことを既メンバーのように知ることはできないわけでして。

私は別な視野を授けられて、「あ、なるほど」と腑に落ちたのでした。
1年経てばすべてわかるかと言われると、そうではありませんが、少なからず新しいメンバーにとって、書記を後ろにずらすのは、やさしい配慮だとわかりました。ややこしい話、伝わりましたでしょうか。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
想像力がだんだん乏しくなっているのな。

大人の雪遊び キャンドルナイト

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
いやあ、終わりました、一大イベント。キャンドルナイトというイベントを4年前から始めたのですが、年々規模が拡大しておりまして、ありがたいやら怖いやら。

毎年ブログで書いているのでもうご存じの方もいらっしゃると思います。
きっかけは2021年。当時はコロナウイルスについて試行錯誤してましたから、人が集まるものごとは、ことごとく中止になりました。
何か「人がしゃべらずにできる楽しみ方はないものかな」と思っていたときに、「ろうそくのあかりをただ見るだけ」というのはどうだろうか、とボランティア・コーディネーターの鈴木さんと話しあったのです。
数名の職員に手伝ってもらって、小さな雪だるまや雪像をつくり、キャンドルを適当に並べました。
音楽療法士の工藤先生がキーボードを弾いてムードを添えてくださり、病棟から患者さんをご案内してほの明るい光を一緒に眺めてもらいました。
ただそれだけのことですが、見る人も準備した人もみんなハッピーな顔になるので、毎年やめられなくなりました。

平岡に越してきてからは広大なスペースがあり、2Fテラスと病院西側のシュヴァービングの森を舞台に、規模が拡大しました。
今回から仕事の一環と認めてもらって、正々堂々と(笑)実行委員会を立ち上げ、計画的にしてきました。
おかげさまで職員やボランティアさんだけじゃなく、職員のご家族やご友人、地域の方なども協力してくださって、去年よりいろいろ進化しました。
恥ずかしながらインスタライブに挑戦もしてみました。何事、やってみないとわかりません。
来年に向けてのまた課題が出てきました。

会場のキャンドルに明りが灯り、夕闇が濃くなってくるころ、私は病院のガラス窓を見上げます。
後ろでは子供たちが滑り台で歓声を上げています。
患者さんと、職員が一緒に明りを眺めてみんないい顔をしている、ああ、今年もこのためにやってきたなあと胸がアツくなるのです。
翌日病棟ナースから「制作中からずっと窓の下を眺めている患者さんがいて、何もないところから出来上がっていく姿を楽しそうに見ていましたよ」とか、火を見て拝んでいる患者さんがいらしたとか、そんなことを聞けるのもうれしかったのです。そこここに、あたたかなエピソード。
緩和ケア病棟のナースたちも、頭を空っぽにして雪の中の作業に没頭できたら、いいなあ。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
遊びだけど仕事、大事だよね。

手紙

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
札幌は雪まつりシーズンでたくさんの観光客でにぎわっています。
久しぶりですね。

前略 匿名希望さま

先日はお手紙ありがとうございました。
そしてパイン飴、ごちそうさまでした。仲間で美味しくいただいています。
他にもプレゼントをありがとうございました。

私の駄文を毎週楽しみにしてくださっているなんて、とても光栄です。

私がブログを始めたのは、ふたつ理由がありまして。
ひとつにはこの病院の中のことを外の人に知ってもらいたいと思ったこと、それともう一つはお金をかけずに看護師を集めたいという下心があったからです。

2016年の11月からなので、はや7年を過ぎました。途中、コロナのクラスターに初めて遭遇したときは、どう進むべきか暗中模索の毎日で、とても書く気持ちになれず、しばらくお休みをしました。
そのときも匿名希望さまから励ましをいただきましたね。あのころは心がすさんでいたのでずいぶん力をいただきました。ありがとうございました。

毎週こうして書けるのは、日々患者さんと笑ったり泣いたり、いろんなドラマがあるからです。この病院には一生懸命で心優しいスタッフが、たくさんいます。彼らが日々頑張ってくれているから、そのことをなんとかして伝えたい。これは、看護部長としては大変幸せなことだと思っています。
でも、本当にお伝えしたいことは、実は書けないものです。患者さんとご家族の生きることと、それを支えるスタッフの真の姿は、胸に迫り、人として教えられることばかりです。私の書くことなんぞ周辺のことばかり。
ですから「北海道から遠く離れたところにいても、ビタミンブログに救われ、励まされています」というおことば、ありがたくもったいないくらいです。私の方こそ、匿名希望さんからのお手紙を手帳にはさんで、時々読み返してはニマニマしようと思います。

今日もこのブログに来て下さりありがとうございます。
匿名希望さんもどうぞお体お大事に。暖かい春がもうすぐですね。

草々