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2019年3月

看護師募集中! 

札幌南徳洲会病院では2019年5~7月の間に入職される看護師さん2名を募集します。
詳細は採用情報をごらんください。

https://wp.me/P84aZK-k

お知らせ> | 更新日:2019-03-27

傾聴ボランティアワークショップ

当院のボランティアさんの中には「傾聴」の方が数名いらっしゃいます。
家族や医療者には本当の気持ちを話せないけれど、ボランティアの方にだったら話せる、ということが、ままあります。

傾聴・あるいは寄りそいをするボランティアさんたちと先日今年度の振り返りをしました。
これは初めての試みです。
振り返りの目的はそれぞれの経験の中で難しかったと思うことや、よかったことなどを共有しお互いに学びあうことです。

患者さんからはそのとき感じているつらい感情が出てきます。
そんな時どう対応するのがよかったのか、という問いが生まれました。

「正しい対応なんてないし、会話技術でもない。ただそのつらい気持ちを受け止めるだけでいいのではないか?」

「何も言葉はなくても、ただ隣に寄り添っているだけで自然と言葉が出てくることがあるよね」

「家族にも言えない、人にはわかってもらえない感情を今ここで出せた、というだけでいいのではないかと思う」

「人生の中で失ったもの、後悔しているものごとに今向かい合っている。人は最期まで成長しようとしているのではないか」

という話がつぎつぎと出てきて、私は一言も聞き漏らすまい、とメモをしていました。

医療者は患者さんやご家族のお話を十分聴けてないのです。
けれどもボランティアの方がゆったりと傍らに座り、やさしい態度で接するおかげで「この人になら話してもいいかな」と思ってくださっているのだろうと思うのです。
そこでは弱音を吐いてもいいし、恨み言をつぶやいてもいい。
ただただ聴くことに徹してくださるから。

「患者さんの話をゆっくり聴きたい」
この病院に来る看護師はみんなそう言いますが、現場ではそうもいかなくて。
そこをなんとかするのが私の仕事なんですがね・・。

せめてこの、ボランティアさんたちの話をみんなに聴かせたいよな~と思うのです。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
たった5分でも魂の会話に。

こころを育む卒園式

3月16日土曜日に病院の保育園の卒園式が行われました。
前夜から雪が降り積もり、冬に逆戻りしたような札幌。

数日前から保育士さんと子供たちが練習に来ていました。
当日の朝、いつも朝礼に使っている講義室が卒園式様に飾り付けられて、先生方も子供たちも華やいで美しい装いです。

私は園長なので祝辞を最終確認して出席しました。

司会の保育士さんは、開式の言葉を読み上げるときから、すでに涙声。
危ない!これから祝辞を述べるというのにもらい泣きしそうです。

在園児から贈り物が渡され、次は卒園児からおじいちゃんとお母さんへお礼の言葉が述べられました。
泣きながらお礼を言う子供の言葉、涙するお母さん、在園児の親御さんもツラれて涙ぐみ鼻をすすります。

最後は元気よく歌をうたって終了。
在園児の親御さんたち(つまり職員たち)は「えらかったね~」「よくがんばったね」とお互いの子供を称えて無事式を終えました。

ここは小さくてとても家族的な保育園です。
こんな風に出会いと別れとさみしさと感謝をちゃんと味わって、ミルフィーユのように積み重ねていくことが、心を育むんだなあと思いました。
そして安心して働けるのは保育士さんが子供を見守り育ててくれているから。
ほんとに感謝です。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
うちの子も保育士さんに育ててもらったなあ。

今年も「あ・ぐり~んプロジェクト」始まります

今年の札幌は雪解けが早くてうれしいです。
先日4Fのサンルームで「押し花アート」のイベントを行いました。
私の師匠とボランティアの人たちが準備をしてくださいました。

入院中の患者さんやご家族さんと一緒に、押し花を色紙にひとつずつ置き、それをラミネート加工して持ち帰る、という催しものです。
道具はすべてそろっているので、初めての人も簡単にできるのです。
持ち帰ったシートは額縁に入れればちょっとした飾りになります。
この押し花は師匠の家のお庭や当院の花壇で咲いた花を、色の良いときに集めて押して準備してあるのです。

今年も楽しみな春が来ました。
2年前から「あ・ぐり~んプロジェクト」(アグリカルチャーとグリーンの造語)と勝手に名付けて、ときどきイベントを行っています。
来月からは土を作り(土をいじり)、種や苗を植えていきます。
年々、参加する患者さんやご家族、職員が増えて楽しい恒例行事になってきました。
夏から秋にかけていちごや野菜を収穫し、みんなでいただきます。
冬にはまた押し花を楽しみます。

「病院でこんなことができるなんて」と驚いてくださると、心の中でひそかに「うふふ」と喜んでいる私です。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
今年も一年、いのちが循環していきます。

認知症の事例検討会が楽しく終了しました。

M男さんは、看護師がおむつを替えようとすると腕を振り回して怒り、体に触らせてくれませんでした。
ご自分が病院にいることもおそらく分かっておらず、治療の説明はまったく耳に届いていません。
気に入らないことがあるとすぐ怒り出して手元にあるものを投げつけ、目をぎらぎらとさせて飛び掛からんばかりに威嚇するので、看護師はほとほと手を焼いていました。
ただ怒りがエネルギーを消費するせいか、食事の食べっぷりは見事です。
お膳を置くかおかないうちに器に入っているものをひとつずつ空にしていきます。
ごはんつぶ一つ残さずきれいに完食。
M男さんは看護師から絶賛されて、この時だけは笑顔になったのです。

今ならこの認知症は「前頭側頭葉型認知症(ピック病)」だとわかるのですが、20年位前はそういう分類はなかったので、看護師に殴り掛かる手を数人で押さえつけ、抑制して点滴をし、おむつを取り替え、夜は薬で眠ってもらうことが当たり前でした。
体に起きている病気を治療するために、認知症が治療しづらくさせている側面があったのです。

今は認知症に対する対応の仕方も変わり、その人の生活環境を整えることで穏やかに過ごせるようになることがわかってきています。
ただ看護師だけではやっぱり情報も対応も足りないので、MSWから生活背景を教えてもらったり、看護補助者の方が生活習慣をよく知っていたりするので、それらの情報をまとめつつ、心地よかったことは何か、を探し続けていく必要があるのです。

先日行われた認知症事例検討会には、病院の向かいにある高齢者施設職員やケアマネージャーが参加してくれて、興味深い話し合いになりました。

お家では朝遅く起きるので、朝ご飯を食べないという人にとっては、病院の日課で朝早く起こされ、朝ご飯を強要されるのは不愉快なことでしょう。
当然、不機嫌になり食事は拒絶の態度につながります。
ごはんは一日2食でいいというなら、それでいいのです。
病院の看護師は病院の日課が身に沁みついていますので、3食食べていただくことが当たり前と思いがちです。
しかし看護師自身も休みの日に、ゆっくり朝寝坊して朝昼兼用のごはん、ということはよくあることです。
ここに「病院の中の正しい生活」と患者さんの日常のズレがあるのです。

よく「患者さんの気持ちを尊重して」ということが言われますが、「病院の中の正しい生活」という価値観を一度立ち止まって考える必要があるでしょう。
自分や家族の身に置き換えるとわかることも、多職種の意見を聴くことで、腑に落ちるものです。
大事なのは行ったケアを振り返って、もっといい対応はなかったか、その人に適切な環境だったかを問い続けることなのです。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
私が認知症になるのなら・・・と考えても仕方ないな。