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2023年7月

音楽療法と夏の思い出

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
日本中、猛烈な暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?

先日、音楽療法士の工藤先生が病室に入るところに遭遇したので、ご一緒させていただきました。

4人部屋の真ん中に、先生がキーボードを持って入って行きました。
患者さんお一人おひとりにご挨拶していきます。
Kさんが先生の姿を見て、足でリズムを取り始めました。それがマーチのように聞こえたので、
「じゃあ三百六十五歩のマーチを歌いましょうか」

歌い終えて向かいのYさんに先生が話しかけます。
「懐かしいですね、50年も前の歌ですよ」
「Yさん、50年前どこに住んでいましたか?」

続いての歌は「海」
〜海は広いな、大きいな、月は昇るし陽が沈む〜
「Fさん 声ちゃんと出てましたね。寝ていても歌えますね」(うなづく)
「初めて海に行ったのはいつ頃ですか?」
「遠足の時」
「海に入ってどうでしたか?」
「冷たかった。膝のところまで入った」
「きもちよかったですか?」
(うなづく)
「良い夏の思い出ですね」
「波を追いかけてまた戻ってきて」
「あー、波打ち際でね。走って追いかけるけど、今度は波が戻ってくるからね」
Fさん、そこで急に涙ぐまれました。
受け持ちナースがティッシュを一枚シュッと取って、Fさんの手ににぎらせます。

古い歌を歌い、その歌に紐付いた問いかけをし、そこから記憶が呼び起こされます。
記憶は映像となり、当時の感情とともに、頭の中によみがえっているのがそばにいてよく分かりました。
子供時代?それとも青春時代?
Fさんは「みんないい思い出だ。悪い思い出なんて1つもない」と言いました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
こんな場面に遭遇して幸せを貰いました。

おむつマイスター講座2023始まる

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
毎日暑い日が続きますね。本州の方には叱られるかも知れませんが、札幌も暑いです。
カラっとした暑さはまだしも、湿気が加わると途端にしなしなになってしまう、札幌っ子でした。

さてさて今年もおむつマイスター講座を開講しました。
当院で開催するのは2年ぶり。やはりコロナでストップしていた間に、こうした技術の伝承というのはむずかしいものだなあと思いました。
もちろんオンライン研修もありましたが、手を使った技術、指の力加減が左右するもの、形が変化するものが対象だと、オンラインでは正しく伝わっていかないのではないかなあ、と思います。


今年もD社のインストラクター松橋先生を講師にお招きして、月に1回・5か月間の講座を開講しました。
座学と実技を繰り返して、最後に試験を受け合格したら修了証とバッチがもらえるというこの講座、全国的に知られてきて大人気の講座になっているそうです。
松橋先生も引っ張りだこのようで、早めに頼んでおいてよかった~と思いました。

私は毎回写真を撮る目的でそばにいて聴いていますが、やはりプロの方が扱うと「様式美」があるなあと思います。
手元がゆっくりしていて、ポイントをしっかりキャッチしていて、形が美しく崩れない。
そしてなにより、つけている患者さんが苦しくなく楽である。
ここが重要ですよね。

紙おむつ道、なるものがあるとしたらこういうことを言うのではないかなあ。
ということを私も毎回言っているような気がします。
やっぱり伝承のための場をつくらないと。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
みんなマイスター(親分)になれ!

「てがみをかくよ」をかくよ!

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
日本各地で豪雨災害が発生し、かの地に住む友人の顔を思い浮かべながら悶々としています。一日も早く復旧することを、ただただ祈っております。

連休中は久しぶりに大型スーパーへ出かけて、欲しかったけどなんとなく我慢していたものを買い、ささやかな幸せを感じました。
家人からは「そんなもの我慢してたなんて信じられない」と呆れられましたが、実は冷水でお茶を作るポットが欲しかったのです。 私が求めていたのは、冷蔵庫のドアポケットに収まる形で容量は1㍑位、そしてポットの中に手を入れて洗える、こんな条件でした。まず形状から言うと取っ手はいらない。取っ手がついてると、うちの冷蔵庫ポケットには入らないのです。そして棒のついたスポンジ、あれは好きじゃないんです。容器の隅にきちんと届かないし、スポンジそのものの置き場所に困る。だから手を突っ込んで隅々まで洗える奴が欲しかったのです。

「こんなのは季節商品だから、時期が過ぎれば売ってないよ」とも言われ、間に合ってよかったな~と思いました。

さて休みの間に届いた本は、ジョンソン祥子さんの「てがみをかくよ」です。

祥子さんはアメリカ・ミシガン州で夫と息子さんと暮らしています。息子さんが生まれる前から飼っていた、Maruちゃんというワンコとの暮らしを写真に撮り、写真集にしていました。(「ことばはいらない」がおススメです)

私はもっぱらTwitter(最近はinstagram)で祥子さんの投稿を追っかけていました。穏やかで優しい、そしてユーモラスなワンコでした。そんなMaruちゃんが今年の3月に旅立ちました。急なことでした。その後、これまでの犬生をまとめた小さな本を出されると知りました。

「てがみをかくよ」とは、すてきなタイトルです。祥子さんがMaruちゃんに書くのか?それともMaruちゃんが書くのか。いやいや、ネット上で家族のように愛しんできた、私のようなファンのために書いてくれるのか。いろいろに受け取れます。

祥子さんは15歳になったMaruちゃんと、いつかお別れの時が来るのをずっと覚悟していらした。それが投稿の行間からびしばし伝わってきていたのです。
人の悲しみの表し方というのはさまざまだなあと思います。この本を出して、日々の暮らしから見えなくなってしまった存在を、今はしみじみと感じていらっしゃるのかも知れません。

動画を見ていた私ですら、Maruちゃんのタッタッタという足音が聞こえてきそう。そう思って胸がきゅっとなります。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。

本の購入はinstagramからのみ。

カンフォータブル・ケア学びに来ました!

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
6月の終わりに、認知症カンフォータブル・ケアの研修に来て下さった方がいました。

以前「精神科看護」という看護雑誌に、棟方師長と私が書いたカンフォータブル・ケアについての記事があるのですが、それがきっかけでお申込みいただいたそうです。(うれしい!)

その方、Aさんは認知症の専門病棟にお勤めの方で、私たちよりはるかに知識や経験が豊富です。
4年ほど前にカンフォータブル・ケアの提唱者・南敦司さんの講演を聴いて、ご自分の部署で取り入れようと始めたそうです。しかしなかなか全体に浸透しない、どうやったらみんなでできるだろう。それがAさんの課題です。

お話を聴いていると、できているところはいっぱいある。でもスタッフにそのフィードバックが足りなかったかもしれない。「今のでいいよ」「そのケアで患者さんが喜んでくれてよかったね」と返したり、みんなで共有するといいかも。ご自身の気づきがいっぱいありました。
カンフォータブル・ケアって患者さんだけじゃなく、一緒に働くスタッフもカンフォータブル(心地いい)になっていくんだ。カンフォータブル・ケアをしたら、結果看護が楽になるし、時間がかかるようでいて、逆に早く物事が進むんだよ、ということをスタッフが体感したら、きっと進んでやるようになるよね。
ってなことを、棟方師長&長谷川師長のカンフォータブル・ケアコンビと対話しました。

カンフォータブル・ケアって、お金もほとんどかからないし、いつでも始められるし、どうして普及しないんですかね。知らない人多いですよね、って話になりました。

これって認知症高齢者のためだけじゃなく、看護すべき対象者全部に必要なケアだと思うし、職場の同僚に対しても有効だと思うんです、とAさん。
確かに~全員同意です。
カンフォータブル・ケアの中心軸は他者へのリスペクト(敬意)だと私は思うのです。
混乱がおさまって落ち着いた患者さんは、その人らしさを見せてくれます。
よい人間関係と深い相互理解が生まれるケア、やってみた私たちが立証します!と表現しなくちゃね、そんな風に私たちも課題をいただきました。
たくさんの刺激をいただき、自分たちがどんなに恵まれた環境にいるかを感じました。
ありがとう、Aさん。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
コンビは講師としてガンガン出て行ける人たちです。

転職・人生の転換点

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
今年も半分が終了し7月になってしまいました。早いですね。

先日当院で働きたいという方の、一日体験研修をしました。
当院は経験者の方の求人を出しておりますが、応募してこられる方の動機は様々です。

緩和ケアをやりたい、という明確な目的を持った方、それから認知症高齢者のケアに関心がある方。大きくはこの二つに分かれます。
今回来られた方はブランクがありましたので、いろいろと不安をお持ちでした。
自分が果たしてそこでの仕事を覚えきれるか、電子カルテの操作、家庭との両立などなど。
新しいことを始める時には希望と期待の反面、自分の今までしてきたことからの脱却を恐れる気持ちや、防衛本能が働きます。ひとつところでずっと働いてきた方も、わりと変化に対する恐れが強いように思います。

そんな方には「一日体験研修」を提案しています。
百聞は一見に如かず、ということばがありますが、看護部長が100の言葉で説明するよりも、実際現場に行って体感し「これならなんとかなりそう」と思えたら、その方がお互いに安心です。

当院に関心を向けてくださる方は、私のこのブログを読んでくださっていることが多く、認知症カンフォータブル・ケアをしていることや身体抑制がゼロになったこともご存じです。
「本当にそんなケアをしているのなら、ここで働きたい。」と思って下さる方も増えてきました。
いいケアをしようと取り組んでいると、いい仲間が集まってくるのです。
そういう意味で私は現場の人たちを信頼しています。
看護部長としては、とても、とても幸せなことです。

転職、というのはエネルギーがいります。いったんプラグを抜いて、これまでの慣れ親しんだ環境での自分を手放し、物事を新しいやり方や人間関係の中で始めなければなりません。そして新たな自分の立ち位置を見つけていく必要があるのです。
新しいプラグの場所が自分にフィットするかどうか、見分けるような試験紙があればいいのですが、人生の重要な転換点ですから、「この方向で間違ってなかった」と思ってもらえるためにも、ぜひ一日体験をご活用いただけたらと思っています。

いつもこのブログに来て下さりありがとうございます。
結果、断られても大丈夫ですよ(^^)/