ボランティア
認知症マフ
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
「部長、マフってご存じですか?」
ボランティア・コーディネーターの鈴木さんが突然看護部へやってきて、こう聞かれました。
「マフ?知らないなあ。何かあたらしいもの?」
「これ、みてください」
と差し出されたのは毛糸の筒状のものがふたつ。花模様やウサギの装飾がついていて、手を入れると中から何か出てきます。丸いボール状の毛糸玉。
これは認知症マフと最近話題になっているものだそうです。
認知症マフはイギリス発祥です。地元の主婦がこのマフを作ってオックスフォード大学病院に入院中の認知症患者さんに使ってみたところ、手が温まり気持ちが安定して、コミュニケーションが促進されたことから、ワークショップが開かれ、じわじわと広まっているものだそうです。
日本でも朝日新聞厚生文化事業団が普及を進めています。
浜松医科大学病院、鶴岡市立荘内病院、札幌では定山渓病院がこのモフを取り入れているとのこと。
いや、全然知りませんでした、私。
毛糸の配色や手触り、中に入っているアクセサリーは形の異なるものを複数入れて、それを握ることでストレスが緩和して快の刺激になるのだそうです。
柵を握りしめたり、たたいたりする患者さん、逆に動きが乏しい患者さんにとっては、アクセサリーを握ることで運動になるという、そんな効果があるようです。
びっくりしたのはそれを作ってくれたのは、昨年ボランティアグループせらに入られた、Mさんという方で、編み物が好きで、家にあるありあわせの毛糸でさくっと作ってくれたのだとか。これはまた新しい強み発見!
実は認知症ケア認定看護師のSさんから「こんなの作れるだろうか・・」と鈴木さんに依頼があり、それをMさんがネットで調べて数日で作ってくれたのだそうです。
さっそく認定看護師Sさんのところへ持っていくと
「え~! もうできたんですか? どれどれ、スゴイ、思っていた以上です。うれしい! すぐに使いたい人がいるんです。」とそのまま病室へ。
患者さんに話しかけ、ひとつ選んでもらうと、手を中に差し入れてすぐになじんでおられました。う~ん、なんかいいなあ。
Sさんの狙いがドンピシャだったみたいです。
この連関に、私はいつも胸をアツくします。
投げかける人がいて・得意な人が作って・手渡して・誰かがハッピーになる。
それを見てかかわった人が、みんなハッピーになる。
今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
これを読む人もハッピーでありますように。
じゃがいもにお布団を
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です
札幌は5月13日現在八重桜が満開です。欲を言えばもうあと10日位、咲き続けてくれないかなあ。と身勝手なことを考えています。
先日、3年ぶりにボランティア募集説明会を開きました。
当院のボランティアグループ「せら」さんは、現在20名ほど。最盛期は35名位いらしたので、ずいぶんと少なくなりました。私の理想を言うと、院内外のあちこちにボランティアさんがいるような病院になれたらなあと思っています。
ボランティアさんは社会の風を吹き込んでくださる存在で、患者さんやご家族、職員の伴走者なのです。
皆さん仲が良くて活動だけではなく、メンバー同士の交流も楽しみにいらっしゃいます。
新しい方たちも、早く馴染んでくださるといいなあと思っています。
同じ日の夕方に、ボランティアの「あ・ぐり~んメンバー」がジャガイモを植えました。
とまと保育園の子供たちと一緒にする、恒例行事となっています。
事前にジャガイモを土に植えるとじゃがいもはどうなっていくのか、子供たちに絵で説明をしてくれました。食育の一環です。
あらかじめボランティアさんが作っておいてくれた畝の中に、種いもをポトンと入れて、「土のお布団をかけてあげようね」。
植えたおいもは全部で17個。じっくり、ゆっくり収穫の時を待ちましょう。
昨年はじゃがバターをおやつに出したのですが、子供たちにはあまりウケませんでした。
子どもたちがよろこぶおやつを考えなくては。
これもまた楽しき哉。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
毎年変わらぬ営み。
ボランティア活動を始めてみませんか?
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
今日はボランティアへのお誘いです。
当院には「せら」という、ボランティアグループがありまして、様々な活動をしていただいております。
コロナ禍でこの3年間は、患者さんに直接かかわるのは休止していましたけれども、3月から様子を見ながら再開しているところです。
現在の活動は、季節の飾りつけ・裁縫でモノつくり・花壇や畑の手入れ・イベント裏方・寄り添い・傾聴などをしてもらっています。
登録されているボランティアさんは現在26名で、50~83歳まで幅広く、集っていらっしゃいます。
「特技はないのですが・・」とおっしゃる方も、ボランティア・コーディネーターや他の皆さんと一緒に活動しながら、楽しい時間を過ごせます。ボランティアさんが院内にいらっしゃることで、病院の中に「社会の風」が吹き抜けていくと、私たちは考えています。
5月10日14:00~ ボランティア募集説明会を開きます。
ご興味のある方はぜひお越しください。お待ちしております。
札幌南徳洲会病院 ボランティアグループ「せら」メンバー募集説明会
日時:令和5年5月10日(水)14:00~15:00
場所:札幌南徳洲会病院 1F 講堂
お申込み:℡011-883-0602 またはEmail: kango@sapporominami.com まで
仰げば尊し
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
吹き抜けのデイルームに「仰げば尊し」のメロディが響いています。
ここは病院、というのをしばし忘れて、卒業式の気持ちに引き寄せられていました。
3月は卒業式シーズンですもんね。
患者さんはどんなお気持ちで聴いていたでしょうか。
音楽療法士の工藤先生が、週に2回、3つの病棟を回って音楽セラピーをしてくださっています。
この3年間、個別セラピーが主体でしたが、最近デイルームに患者さんが集まり、一緒に聞いたり歌ったりしています。
患者さんからのリクエストは唱歌からJ―POPまでと幅が広く、最近はフォークソングも多いのだそうです。
松山千春が好きな人、いやいや中島みゆきがいいという人、リクエストは100人いたら100通りです。
当然それだけ楽譜の数も増えるわけでして、その整理が大変そうです。
今はネットですぐに楽譜を手に入れられるので、タブレットを見ながら演奏するのも普通の光景となりました。
が、タブレットの楽譜めくり(タップ)を間違うと、前のページに戻ってしまったりして、それはそれでご苦労なさっているのだそうです。
今月から、ボランティアさんも病棟に入室できるようになり、患者さんの傍らに座って一緒に歌を聴いてくださっています。
曲の合間には感想を言い合ったりして、場が温まる感じがなんともいい光景だなあ、とうれしくなります。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
少しずつ、少しずつ。
イチゴ狩り2022
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
北海道は夏の果物がこれからおいしい季節ですね。
イチゴ・さくらんぼ・ブルーベリー。
太陽をたっぷり浴びた路地物の果物を食べると、体が喜ぶ感じがしませんか?
病院では今年もいちご狩りをやりました。
去年までは旧病院の玄関横にいちご畑があったのですが、今年はプランターで作ったものを病棟内に運んで、ベッドサイドやデイルームでイチゴ狩り(狩り、というよりは摘み、の方がしっくりきます)をしました。
クラークさんが作ってくれたポスターが目にまぶしいっ!
ボランティアさん宅で収穫されたイチゴが別に用意されてまして、スタッフがワゴンサービスでお届けしました。
この日を楽しみにして、イチゴ狩りの夢まで見てくださった患者さんがいたり、昔農家だった患者さんは「これこれこの味!これが本物のイチゴの味だよ」と絶賛していただいたり。
105歳の方がもくもくと食べてくださったり。
自然の恵みと、ボランティアさんの愛情がいっぱい詰まったイチゴは、患者さんと職員を幸せにしたのでした。ありがとうございました!
今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
これこそ「ビタミン」ですね。
森のさんぽ
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
札幌はリラ冷えで寒い日が続いております。みなさまお変わりないですか?
先日ボランティア園芸部の方たちが整えてくださった花壇の道を、いよいよ患者さんに通っていただく日がやってまいりました。
「森のさんぽ」と名付けたイベントです。
車いすでバラのアーチの下をくぐり抜け、色とりどりの花を見ていただく、ただそれだけのことですが、職員がシャボン玉をしたり写真を撮ったり、音楽の生演奏もついています。
シュヴァービングの森は今、新緑でいっぱい。
風の音、葉っぱのさやさやいう音、小鳥の声がします。
花をいっぱいにしたくて、鉢植えやアサガオの造花まで駆り出されました 笑。
保育園の園児たちにはジャガイモを植えてもらいました。植えているその姿を、働くお母さんたちに見てもらって、なんだかほっこりする時間を過ごしました。
大事に育てて秋には一緒に収穫しましょう。これもひとつの食育になるでしょう。
2F病棟のテラスには大きなパラソルが来ました。
ミニトマトやインゲンなどがトートバッグの形をしたポットに蒔いてありました。
もう少し温かくなったら、パラソルのあるあたりに置いて、ここでも患者さんと一緒に水やりや、収穫が楽しめそうです。
今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
大人も子供も土に触れ植物を一緒に育てるっていいですね。
花からもらうパワー
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
今年もボランティアさんの園芸部が集まり、花壇の整備をしてくださいました。
シュヴァービングの森の横、そら豆型の花壇には背の高いアーチが置かれ、根元にはバラが植えられています。アーチをくぐって車いすの方が花や野菜に触れることができるように、という大胆なレイアウトになりました。
昨年私たちの病院がクラスターになっていたとき、職員も幹部も苦しい思いを毎日重ねていました。
患者さんやご家族への申し訳ない気持ち、倒れていく職員への心配、いつになったらこの状態を抜けられるのかという不安の中で、毎日を過ごしていました。
クラスター収束後からは移転に向けての準備が急加速したので、立ち止まる暇もありません。
職員がただ前に進むしかない中、ボランティアさんたちが花壇に集まり、瓦礫を取り除き土を入れ、花の苗を植えてくれました。正直に言うと私は花壇のことまで頭が回らず、翌年からでもいい、とさえ思っていましたが、ボランティアさんたちは自主的に集まり、オープンに間に合うように花壇を整えていてくれたのです。
そこからどれだけパワーをいただいたことでしょうか。
私たちの病院はボランティアさんなくしては成立しません。
音楽・アート・飾りつけ・お裁縫・イベントの裏方etc・・・。
その折々に文字通り花を添えてくださり、温かさや優しさを醸し出してくれています。
病院職員だけでこのような雰囲気はだせるものではありません。
適切な感謝の言葉がみつかりませんけれども、これからもみなさんがお元気で活動してくださることを祈っております。
今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
心が煮詰まったら、土仕事だね。
世界でたった一つの、私だけの服
病院にボランティアさんがいることを、私たちは「社会の風が入る」と言っています。
医療者でもなく患者でもない、ごく普通の人が、普通の格好をして普段の暮らしを院内に持ち込むことで、患者さんは当たり前の日常を感じることができます。
そして医療者も普通に生活する人の感覚を取り戻すことができるのです。
ボランティアグループ”せら”の中でソーイング(裁縫)チームは、入院患者さんの暮らしの環境を確実に豊かにしてくれています。
イベント時の着ぐるみで笑いを取り、ベッド周りに彩りを添え、輸液ポンプの「医療的な姿」を温かく消し、ふんわりあったかなぬくもりを感じさせてくれる存在です。
世の中お金を出せばなんでも買える。でも本当にそうでしょうか。
病気のために既成の服が合わなくなった方がいます。
このデザインが気にいってたのに。この柄が好きだったのに。
脚のリンパが腫れて入らなくなったズボンやスカート。お腹が張って傷つきやすくなった皮膚。
そういう患者さんの洋服を直すことで、もう一度おしゃれを楽しむことができる。
ソーイングチームの中心Kさんは、着られなくなった患者さんの洋服を上手に再生してくれます。
肌を傷つけないようにウエストにはゴムを緩めに入れて柔らかな綿で覆ったり、縫い目が肌に触れないように工夫してくれます。
既製品では得ることのない、細やかな気遣いで、世界にたったひとつの価値ある洋服になるのです。
ポイントは①買わずに作る ②味のあるリサイクル ③世界にたった一つの価値あるもの、なのです。
患者さんや職員に喜ばれた形あるものは数知れず。
作ったものが誰かの体験となって記憶に残っていきます。
今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
自分のすることが誰かの役に立つって幸せですよね~。
マスクをつけた五人囃子
コロナ禍になってから院内のボランティア活動は休止してきたのですが、少しずつ、数人ずつ健康観察をしながら始まっています。
昨年の今頃はマスクが手に入りにくくなっていたので、手作りマスクやフェイスシールド、ビニールエプロンをたくさん作っていただきました。おかげで私たち、心丈夫でした。
院内各所の季節の飾りも、患者さんと接しないように配慮しながら、毎月変えていただいたので、ありがたかったです。
3月3日の桃の節句に先駆けて、ホスピスと外来待合室に7段飾りを出していただきました。
五人囃子にはマスクが付けられているのも今年ならではのことです。
人間お内裏様は着付けチームが美しく着付けてくださいました。
今年は臨床宗教師の米本さんとナースのIさんのお二人です。
ひな祭りのお菓子と甘酒、バラや椿の造花に手作りカードが添えられました。
おひとりずつ届けて、季節の行事を感じていただけたんではないかなと思います。
喜んでくださる患者さんを見て、私どもの病院にはボランティアさんたちの活動が、欠かせないものになっていることを、つくづく感じました。
マスクなしでおしゃべりしたり、集まって何か一緒にするということがずいぶん昔のことのように思います。
その自由さがどれだけ幸せなことなのかを、しみじみ感じられたこの一年でした。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
もしボランティアさんがいなかったら・・?
どんなにか色彩のない、殺風景な病院になるでしょうね。
初めてのCANDLE NIGHT
2月10日に「CANDLE NIGHT」というイベントを開催しました。
場所は4階のテラス。普段は花を育てているところですが、サンルームからテラスに並べたアイスキャンドルを眺めるって、非日常的でいいんじゃないかと思ったのです。
1月半ば、私と医局クラークのMさんはアイスキャンドルを作るところからスタートしました。
栄養課で毎日出る牛乳パックと空き缶を利用して、まるで理科の実験みたいに色を付けたり、お湯から作ると透明な氷になるらしいとか言いながら、毎日数個ずつ作っていきました。
無印良品のキャンドルが、中に入れるのにちょうどいいサイズ。
キャンドルだけじゃ物足りないので、途中で小雪像を作ろうと欲が出てきました。テラスに積もった雪が少なく、気温が上がって思うようにいきませんでしたが、施設管理のTさんと看護部有志が手伝ってくれて、オラフやチコちゃん、雪ウサギなどができました。
「CANDLE NIGHT」という素敵なチラシを作ってくれたのはUさん。
さらにそれを拡大して記念撮影スポットを作ってくれました。
音楽療法士の工藤先生がオルゴールのような音色で生演奏をしてくれて、ムードは満点。
病棟ナースはもちろん、他部署の職員やボランティアさんが患者さんの移送を手伝ってくれました。
「患者さんに喜んでもらおう」という目標があって、仕事の中にこうした遊びの要素があるというのは、スタッフも心がひとつになり、お祭りのようでなんとも楽しいものです。
そういうとき、一人一人が自然とリーダーシップをとるんですね。
「このイベントをもっとよくしよう」という人たちがそれぞれにいい仕事をしてくれて、何も言わなくてもいい具合に仕上がって行きました。
まだまだ未完成な部分があるけれど、まずは一度形にしてみるってことが大事な気がします。
夕暮れに温かい炎が揺らめいて、小雪像たちも一層引き立ちます。
患者さんたちが「わ~かわいい」「きれいだねえ」と、まなじりを下げ、感極まって涙を流される方もいらっしゃいました。
思い思いに記念写真を撮り、短い時間でしたが楽しんでくれたようです。
今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
一粒で何度もおいしかった~~