https://sapporominami.com/nurse/

文字の大きさ変更

サイトマップ
0118830602

カテゴリー一覧

高齢者ケア

認知症マフ

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

「部長、マフってご存じですか?」

ボランティア・コーディネーターの鈴木さんが突然看護部へやってきて、こう聞かれました。
「マフ?知らないなあ。何かあたらしいもの?」

「これ、みてください」

と差し出されたのは毛糸の筒状のものがふたつ。花模様やウサギの装飾がついていて、手を入れると中から何か出てきます。丸いボール状の毛糸玉。
これは認知症マフと最近話題になっているものだそうです。

認知症マフはイギリス発祥です。地元の主婦がこのマフを作ってオックスフォード大学病院に入院中の認知症患者さんに使ってみたところ、手が温まり気持ちが安定して、コミュニケーションが促進されたことから、ワークショップが開かれ、じわじわと広まっているものだそうです。

日本でも朝日新聞厚生文化事業団が普及を進めています。
浜松医科大学病院、鶴岡市立荘内病院、札幌では定山渓病院がこのモフを取り入れているとのこと。

いや、全然知りませんでした、私。

毛糸の配色や手触り、中に入っているアクセサリーは形の異なるものを複数入れて、それを握ることでストレスが緩和して快の刺激になるのだそうです。
柵を握りしめたり、たたいたりする患者さん、逆に動きが乏しい患者さんにとっては、アクセサリーを握ることで運動になるという、そんな効果があるようです。

びっくりしたのはそれを作ってくれたのは、昨年ボランティアグループせらに入られた、Mさんという方で、編み物が好きで、家にあるありあわせの毛糸でさくっと作ってくれたのだとか。これはまた新しい強み発見!
実は認知症ケア認定看護師のSさんから「こんなの作れるだろうか・・」と鈴木さんに依頼があり、それをMさんがネットで調べて数日で作ってくれたのだそうです。


さっそく認定看護師Sさんのところへ持っていくと

「え~! もうできたんですか? どれどれ、スゴイ、思っていた以上です。うれしい! すぐに使いたい人がいるんです。」とそのまま病室へ。
患者さんに話しかけ、ひとつ選んでもらうと、手を中に差し入れてすぐになじんでおられました。う~ん、なんかいいなあ。

Sさんの狙いがドンピシャだったみたいです。

この連関に、私はいつも胸をアツくします。

投げかける人がいて・得意な人が作って・手渡して・誰かがハッピーになる。

それを見てかかわった人が、みんなハッピーになる。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
これを読む人もハッピーでありますように。

イチゴ一笑

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

6月14日水曜日、2階の障害者病棟でいちご狩りをしました。鉢植えのイチゴを患者さんのところに運び、とれたてのイチゴを味わってもらう、と言う催し。

ボランティアのTさんが、ご自宅の畑で丹精込めて育てられた大粒のイチゴ、その名も「ゆきらら」と言う可愛らしい名前の品種です。それを惜しげもなくたくさん提供してくださいました。

Tさんは当院にボランティアで来ていただいて、花壇や鉢植えの手入れを6年位お願いしています。年々、土や育て方を研究されて、改良を重ねていますが、今年のイチゴは特に大きく香りが高く、甘味の強いものになりました。

聞くと、雨風のときには覆いをかぶせ、暖かい日は風を通し、我が子のように手厚く、優しく育ててきたそうです。
ボランティアさんが、イチゴの器を色紙で折ってくれて、患者さんたちに一つ一つ手渡しします。
眠っていた方も、目覚めるほどの甘い香り。音楽療法士の工藤先生が「夏は来ぬ」をBGMで演奏してくださり、スタッフも患者さんもみんな笑顔で過ごしました。

これぞ本物のビタミン、今週はホスピスにもイチゴが届きます。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。これこそ、イチゴいちえ。

人を幸せにするケア・POOマスターが2人誕生!

お食事しながらこのブログを開いた方にはごめんなさい。
今日は「便」がテーマのお話です。
石川県で保健師をしている榊原千秋さんと出会ったのは2年前。とある講演会の後の懇親会で、私はたまたま榊原さんの真向かいに座りました。
初対面だったので、お互いの仕事を自己紹介したときに、榊原さんが排便ケアのPOOマスターという取り組みをしていると教えていただきました。
病院や施設にいる高齢者の多くは排便がスムーズではなく、下剤を服用したり、3、4日便が出なければ浣腸をかけて出しています。
私も長年看護師をしていて便を柔らかくする薬と、腸の蠕動を促す薬を調節するのが当たり前と考えてきたのですが、薬に頼ると量が増えていきますし、その人の持つ排泄の力が失われてしまうのだそうです。
排便のメカニズムやその人の排便習慣を観察して、適切なケアを提供できると、気持ちよく出すことができる。
すっきりすると自然と食欲が湧き、元気になっていくもの。
その力を取り戻すために「POOマスター」(POOは“うんち“の意味)という講座を立ち上げ、全国で指導されていたのが、榊原さんだったのです。

私はお話にぐいぐい引き込まれました。
便秘と下痢を繰り返したり、おむつで排泄される方が看護師のケアで「気持ちよく」排泄できたら、どんなにいいでしょう。排泄は人間の尊厳にかかわることですし、できるなら人の手を介さず、自然にすっきりしたいものです。

「工藤さん、札幌で講座を開くときはきっとスタッフを来させてね。スタッフも元気になる講座だから」とにっこり笑っておっしゃったので「はい、わかりました」と即答しました。
このキラキラしたオーラは只者ではない。
実践に裏打ちされた自信と誇りに満ちている。
私はアンテナがピンと立って「絶対スタッフを出そう」と心に決めていたのです。

そして2020年。
当院から2名のナースが無事この講座を修了しました。
こういう時は関心のある人が行くのが一番です。
POOマスター講座は、単なる座学と違い、学んだことを実践して次の回を迎えるようなプログラムになっています。
当然「自分だったらどうやってこのことをみんなに伝えようか」と能動的な受講になるでしょう。
副主任Oさんの講義は、榊原さんが乗り移ったような迫力がありました。

そのあと日をあけて2度目の講座の後は患者さんの排便日誌をつけて、それに合ったケアを提供するという宿題でした。
詳しいことは割愛しますけれども、はっきり申しますね。
これは確実に患者さんを幸せにするケアです。

二人の受け持ち患者さんが教えてくださいました。
「やや硬めのいいうんこがすっきりと出て気持ち良かった」と。
健康な人にとっては当たり前の言葉ですが、これは私たちにとって、とても価値ある言葉なんです。

そして彼女たちの看護記録が明らかに変わりました。
お見せできないのが残念ですけど、排泄ケアのプロフェッショナルの記録です。
いろんなケアのプロがいて、だんだん高齢者ケアがアップしていく。
患者さんが喜んでくださると看護師も喜び、もっとよくしてあげたいと思う。
ご縁が結んでくれたケアに感謝です。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
POOマスターについてご興味のある方はこちら↓

https://sorabuta.com/wp/product/poo_unchicchi/