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お知らせ

伝えると伝わるの間

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
コロナでストップしていた集合研修が、あちこちで再開されるようになりました。


私も、法人内の師長研修で講義を受け持つことになり、春から決まっていたことなのに、やっぱりぎりぎりにならないと準備をしないという性分。困ったものです。一方で、自分が研修を受けているときには、講師あるいは講義について「どう伝えているか」「なにか盗めるものはないか」という視点で見ています。

そんな中で感じたのは、「伝える」というのは技術以上に人間力だなと痛感しました。

知識はもちろん、それに基づいた経験、そこに「伝えたい」という熱量が加わって、「体を通ったことば」になるのだと思います。

尊敬している石垣靖子先生の講義は、ささやくような語り口で、概念と事例との間を行ったり来たりします。うっかり聞き逃さないように、耳をそばだてて、ついつい前のめりになります。語られる事例の細やかさはひとつの物語のようで、プロの朗読を聞いたような心持になります。

もう一人、勝原裕美子先生は概念と事例の間を俯瞰したり、接近したりを繰り返します。そこでは参加者と対話しながらコーチングを行うので、参加者は自分自身の中にある答えに気づきます。まるで魔法にかかったようになります。そこにいるだけで、何かを体得したように感じて帰ることができるのです。

おふたりのことばは、もちろん「よいことば」を選んでいるだけでなく、日ごろから他者に対する敬意をもって接していることが伝わります。それが言葉のニュアンスとか温かみというベールをまとって、相手に渡される感じがするのです。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
いつも丁寧に。

ホームグラウンド

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
札幌は朝晩の気温が下がってきて、ようやく秋らしくなってきました。

病院の西側に、在宅緩和ケアのクリニックと訪問看護ステーションがあり、日ごろから連携しています。在宅の患者さんが入院されることもありますし、入院していた患者さんが家に帰られて訪問診療や看護と繋がる場合もあります。

家に帰られた患者さんはいったいどんな風に過ごしているのだろう。
百聞は一見にしかず、ということで病院ナースは訪問看護ステーションへ見学に。月に2人ほど、ぽつりぽつりと行っています。

在宅医療というのは、患者さんやご家族の「入っていいですよ」と許可が得られなければ成立しない世界です。その方、そのご家族の歴史や文化に足を踏み入れるのですから、こちらもそれなりの覚悟や礼儀作法が必要です。

今年もこの研修を始めて、看護師たちのフレッシュな気づきがレポートに書かれたので、少しご紹介したいと思います。(表現は少し変えています)

―こんなに笑って話す患者さん、こんなに明るく面白いご家族であることに、入院中は気づきませんでした。入院中に私たちが見る姿は断片的だと感じました。

―入院中は自分の勤務時間の中で症状や状況に応じたケアを実施しますが、在宅では今訪問中のこの時間内に、これ以降に起こりうることも含めてアセスメントし、決定していかなければなりません。それは症状から環境・家族の介護力まで非常に幅広い範囲です。看護師の力を感じました。

こんな風に、患者さんやご家族、そして訪問看護師についての見方が変わりました。

―これまでも患者さんやご家族の想いを大切に関わってきたつもりでした。しかし在宅を希望される患者さんの姿を、本当の意味で想像できていなかったこと、それを患者さんやご家族に合ったやり方で、聴いたり伝えたりすることはできていなかったと感じました。

―これからは患者さんやご家族の想いを確認し、尊重するケアをしたいです。退院前カンファレンスに向かう心持がかなり変わりました。

価値ある研修になったのは、訪問看護スタッフのチカラによるもの、そして行った本人の感性、何より受け入れて下さった患者さんとご家族のおかげです。 ありがとうございました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
家がいいんだよね、やっぱり。

祭り太鼓と認知症ケア

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
秋という季節が好きなのですが、今年は長く楽しめるといいですね。

さて9月の半ばに2F病棟で開いた「ギリギリ夏祭り」←ネーミングいいですね。

ようやく人が集まる催しを盛大にやることとなりました。
写真の多くはインスタグラムにも掲載されておりますので、そちらもご覧くださいね。
天井には「祭」の文字が並び、わたあめやかき氷といった縁日や、「シャーク釣り」にくじ引きなどもあって、準備も楽しそう!

一か月前から準備を始めたお神輿。これは介護福祉士のSさんの考案でした。最後はボランティアさんにも手伝ってもらって仕上げました。神輿の下の方に「お賽銭」の箱も付けたら、本当にお金を入れてくださる患者さんがいらしたり、いつまでもお神輿を拝んでくれたり。最後は車いすに座っている患者さんたちが、わっしょいわっしょいと担いでくれて、大盛り上がりでした。

そして今回、ボランティアのFさんから太鼓を寄贈いただきました。なんでもご主人のご実家に数十年前からあった歴史ある太鼓で、地元のお祭りで活躍していたのだそうです。今はもうお祭り自体がなくなってしまって、家の飾りになっていたようです。
せっかくだから使ってくださいとのお申し出、ありがたくいただくことになりました。

当日張り切っていたのは2Fのスタッフだけではなく、院長でした。
華麗なばちさばきで太鼓を叩き、病棟中いや、外来にまでその音を響かせました。

その音を聞いて涙したYさん。子供のころを思い出したのだそうです。
子供のころのお祭って特別でしたよね。

こうした行事や音楽によって昔のことを思い出すのは、回想法と言って認知症の進行を遅らせるのに役立ちます。その人だけが持っている記憶の入り口にスイッチして、当時の映像が蘇るのです。

今年入職した介護福祉士さんに「びっくりしたでしょう?病棟でお祭りするなんて」と声をかけたら「私、来年もっといろんなこと提案してみようと思います」と笑顔で言いました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。

まだまだ、引き出したくさんありそうな、そんな予感。

土のチカラ

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
急に涼しくなったかと思うと台風の影響で湿度が高くなったりして、まだまだ油断できない天候ですね。

先日保育園の子供たちが、2つ目の自家栽培スイカをおいしいね!と食べてくれました。インスタグラムに載った写真を見てニヤニヤしながら、食育について考えていたところ、北海道新聞(9/8朝刊)に「農作業をして野菜と触れ合うほど野菜好きになる」という記事が出ていました。

それによると、保育園児が苗を植えたり水をやったり、自らお世話をして実が育つ様子を観察することで、野菜に興味関心をもち、収穫した野菜の入っている給食の食べっぷりがよくなる、ということでした。

子供の野菜嫌いには理由があって、①知らない食べ物は本能的に安全性を確かめようとにおいを嗅ぐため、匂いがきらいだと食わず嫌いになる②酸味や苦みは避ける傾向がある③濃い色を避ける、などが原因のようです。

食わず嫌いの多い私は耳が痛い話です。私が食べないせいで、私の子供たちは給食で初めて春菊の存在を知った、といまだに言われます。

毎日園庭の入り口のスイカを見て、水をやり、収穫する。スイカを切るためのちょっとしたパフォーマンスが、子供たちに楽しい体験となったのは間違いないと思います。そして食べた結果甘くておいしいと認識されたことで、おそらくこれからもスイカを食べてくれるのではないかなと思います。

去年まで食べない子が多かったのは、きっと食わず嫌いも含まれていたのでしょうね。

それから、ネット上で「土に触れる生活が心身の健康につながる。抗ストレスの妙薬は土壌にあった」という記事が目に留まりました。土壌に生息する細菌マイコバクテリウム・ヴァッカエに、抗炎症作用や免疫調節、ストレス耐性などの性質がある、という米国コロラド大学が発表した研究結果です。牧場で暮らす子供にアトピーはいない、とは以前から言われていたことですが、泥やホコリにまみれる農村の子供たちや、ペットと暮らす子供たちは、都市部の住人よりも強い免疫システムを持ち、精神疾患のリスクも少ないのだそうです。自然の中にある微生物が、人間の身体を丈夫にしていることが証明されたのです。さらに研究チームは、不安やストレスを感じるイベントの前に、熱処理されたワクチンを接種することによって、ストレス耐性を高める効果があると発表しています。

まあ、痛いワクチンよりは、日常的に土に触り、お日様を浴び、自然に丈夫になって野菜好きな子供になってほしいなあと思います。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
看護師たちにも農作業を体験してもらって、土のパワーをもらってもらいたいもんだなあ!

祝福

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
まだまだ暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?

自分事で恐縮ですが、先日師長さんたちが私の誕生日をサプライズで祝ってくれました。
まったくそんな気配をみじんも感じさせずに準備をしてくれて、さすが名女優たちです。
しかも予定していた日に、私の急な出張が入ったため、結構大慌てで調整したのだとか・・。

そのあと、保育園の園児と保育士さんたちからもプレゼントをいただきました。
忙しい仕事の合間に、本当にありがとうございました!


誰かを喜ばせる、しかもびっくりさせる形で。
これってチームをひとつにするんですよね。
楽しい企てを共有し、巻き込み巻き込まれてXデイまで準備する。

最後は「あの人喜んでくれるかな。どんな顔するかな」だけを楽しみにして。

今回祝福を受ける側になってみるとですね、まあ照れくさい、照れくさい。
でもみんながこそこそ準備してくれたんだ~って思っただけで、何か体の内側からパワーが湧いてくるような気持ちがしました。
「よおし、なんだか力が湧いてきた!」みたいな。


今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
これからもゴキゲンで働きます。

9月第一日曜日

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
お盆が過ぎてもまだまだ暑い毎日ですが、いよいよ8月も終わり。

今度の日曜日は年に一度の防災訓練の日です。

2018年の9月6日に起きた胆振東部地震。

この5年間で、あの時には入職していなかった職員も増えてきました。

里塚の旧病院で、地震とそれに付随した2日間の停電。
電気がつけばなんということもなく日常が戻ってきたのですが、それがわからない間は一日千秋の思いでした。

写真を見れば、みんなで声を掛け合って、頑張ったよなあという思いがよみがえってきます。

今同じような地震が起きたらどうするか?

以前と違うのは非常用電源が丸2日位は持つこと。
だから初動段階でできること・できないことを見極めて、自分たちのBCPを発動していけばいい。
まずはそこからだ。

そしてできるなら地域の方たちが安心できるような病院でありたい。ケガや病気だけじゃなく、スマホの充電とか、トイレとかね。

あの地震のときに活躍した病棟師長さんは、その後災害支援を積極的にやっている病院に勉強に行き、さらに独学で勉強して「防災士」の資格まで取りに行ってきました。

人生何がきっかけになるかわかりません。
学んできたことを、みんなで共有できるようにしてくれました。

毎年9月の第一日曜日はそんなわけで、当院にとっては大事な日。
同じことを繰り返しているようだけど、実はそれが大事なんだな。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
人は忘れていくからね。

体温

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
残暑というにはまだまだ先がありそうな、お盆明けです。

先日ホスピスに入院中の患者さんのところへ、ワンちゃんの面会がありました。
話には聞いていたのですが、病室でのペットとの面会。
実際のところを知ったのは今回が初めてです。

おとなしいワンちゃんが2匹、ベッドの上に乗り、患者さんの手に抱っこされました。
「久しぶり。ねえどうしてここにいるの?」
「いつ帰ってくる?」
問いかけているような、かわいいお顔です。
ナースが記念写真を撮り、事務クラークがプリントしてプレゼント。
日常的によく写真を撮りますので、お手の物です。

それから、8/19(土)北海道新聞の朝刊に載っていた、作家・桜木紫乃さんのコラム。
愛犬を亡くしてから夢を見ることが多く、それも動物の体温を感じる夢ばかり、と書かれていました。

そう、ペットの存在って体温だなあとそれを読んで思いました。
手で触れ、ほっぺたをくっつけ、鼻をうずめて感じる体温。
そうすることが許されている飼い主との絶対的な信頼関係。
それが体温を通じて伝わるのですね。
この時ばかりは病気のことも忘れて、愛おしいこころのままに。
これが大事なんだな。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
動物って黙って寄り添ってくれるよね。

※患者さんとご家族には写真使用の許可は得ており、感謝いたします。

田村恵子先生をお迎えして

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
8月5日土曜日の午後、ホスピス緩和ケア界の草分け的存在である、田村恵子先生(大阪歯科大学 専任教授・がん看護専門看護師)が講演をしてくださいました。(NPO法人ホスピスのこころ研究所主催)

私自身、初めてお話を聴く機会でしたので、とても楽しみにしていました。
本や雑誌でお顔は拝見してましたが、実物の先生は私よりも小柄な方でした。シシリー・ソンダーズにいっぱいハグしてもらったり、サインしてもらった本が宝物だ、とおっしゃる田村先生はとても愛らしい方だなあと思いました。

さて、お話はホスピスの歴史から始まりました。
ホスピスというのは、旅人(巡礼者)をもてなす、とか傷病者のための安息所という意味を持つhospitiumを語源としています。
「ホスピス」ということばがカナダのフランス語圏ではネガティブなイメージで受け取られたため、palliate(緩和するのラテン語)、palliun(体を覆いつくすほどのマントで包み込む)からpalliative care(緩和ケア)に変化していったのだそうです。

日本においても、ホスピスと緩和ケアはどちらも患者の苦痛や苦悩を和らげることなのに、ホスピスは「死を待つ場所」と受け取られることがあり、そこから「緩和ケア」やPCU(palliative care unit)、BSC(best supportive care)のように受け入れられやすい言葉に変化していった経緯があると、前野総長から聞いたことがあります。

当院が新築移転した際に、病棟に何か名称をつけようとしたのですが、私たちの根底には「ホスピス」が根付いているから、シンプルにホスピス西病棟、ホスピス東病棟という風にしようと落ち着いたのでした。田村先生曰く、ホスピスとは「死にゆく者が静かで豊かな環境の中で家族と最期の時を迎える場所」と仰いました。苦痛や苦悩を和らげて、その人らしく最期まで生ききる場所。生き抜く場所。それがホスピスという場所です。誤解なく伝わるといいなと思います。

2時間という講演はあっという間でした。
最後にホスピスで忙しく働くナースに何かエールをお願いします、というと
「熱いマインドを持つこと。
寄り添いたい、関わりたい、それは理屈ではない。
心から湧き上がる思いを大事にしてください。
患者さんへかける時間はそれぞれ違うかも知れません。
必要とされる関わり、内容はそれぞれ違います。私たち看護師にとっても時間は有限だから、公平とか平等とかにこだわるのではなく、今この人に必要なケアをアセスメントして、たった5分でいいからきちんと向き合うことです」ということばに胸がアツくなりました。

自分自身をも大事にしながら目の前の人をケアする。そしてこれでよかったのかなあと教えていただく。そういうことですよね!

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
パワー、いただきました!

スイカ

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
毎日暑い中、街路樹が少し赤くなってきました。「もうそろそろ秋にしましょう」ということでしょうか。

当院に併設されている保育園には、1歳から4歳までのお子さんが通っています。
狭いながらも楽しい保育園になるように、いろいろやってます。

今年はプランターでお花や野菜の他、スイカ作りに挑戦しました。
家庭菜園で成功したことのある、地域看護室の棟方師長が師匠になり、水のやり方や人工授粉のタイミング、実が傷つかないようにベッドを作ってあげること、などのアドバイスをもらいました。
ラグビーボールのようなスイカ。
見るたびに少しずつ大きくなってきて、大人も子供も毎日スイカをチェック!

できたら「スイカわり」なんかもやってみたいと欲がでてきたところで、つるの途中からちぎれているのを発見!残念ながらここで成長は止まってしまいました。棟方師長の話では、あと2週間位成熟するのを待ちたかったのだそうです。

主任の保育士さんが、子供たちの朝の会でスイカわりとはどんなことかを身振り手振りで伝えました。
それから包丁を持ち出して、スイカをまな板の上に置きました。

私も含め、大人たちは「きっとスイカの中は成長しておらず、実も白くて食べられないだろう」と思っていました。

「スイカは何色だと思う?」
子供たちはそろって「赤!」と言います。
包丁の切れ目に視線が集まり、期待が高まります。
そして、切って見ると断面はうすい赤色でした!そしてスイカのいい匂いがします。
でもきっと味は・・と思っていたところ、味見した子供が「甘~い」と言うではありませんか!
え~?!小さく切ったスイカを一切れ、私と棟方師長もいただきました。

ほんとだ、甘い!
「おいしいね!」おかわりする子もいました。
結果オーライ、子供たちにはスイカを切るワクワクが伝わり、みんなで食べた楽しさも感じられたと思います。

私は自分の子供たちが幼児の頃、こんな風に食べ物のできる過程をゆっくり楽しむことができませんでした。
親としての在り方にはいろいろと後悔があります。
だからといってはなんですが、少しでもそんな楽しさ、美味しさが伝わるといいなと思います。

でもやっているとわたしの方が、成長する環境を整えたり、じっと待つことを教わっている気がします。
食育とは子供のためばかりではなく、関わる大人も育てられるのですね。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
子供たちの笑顔が次の原動力。

※この経過は公式instagramの札幌南徳洲会病院poro_minaで見ることができます。

音楽療法と夏の思い出

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
日本中、猛烈な暑さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?

先日、音楽療法士の工藤先生が病室に入るところに遭遇したので、ご一緒させていただきました。

4人部屋の真ん中に、先生がキーボードを持って入って行きました。
患者さんお一人おひとりにご挨拶していきます。
Kさんが先生の姿を見て、足でリズムを取り始めました。それがマーチのように聞こえたので、
「じゃあ三百六十五歩のマーチを歌いましょうか」

歌い終えて向かいのYさんに先生が話しかけます。
「懐かしいですね、50年も前の歌ですよ」
「Yさん、50年前どこに住んでいましたか?」

続いての歌は「海」
〜海は広いな、大きいな、月は昇るし陽が沈む〜
「Fさん 声ちゃんと出てましたね。寝ていても歌えますね」(うなづく)
「初めて海に行ったのはいつ頃ですか?」
「遠足の時」
「海に入ってどうでしたか?」
「冷たかった。膝のところまで入った」
「きもちよかったですか?」
(うなづく)
「良い夏の思い出ですね」
「波を追いかけてまた戻ってきて」
「あー、波打ち際でね。走って追いかけるけど、今度は波が戻ってくるからね」
Fさん、そこで急に涙ぐまれました。
受け持ちナースがティッシュを一枚シュッと取って、Fさんの手ににぎらせます。

古い歌を歌い、その歌に紐付いた問いかけをし、そこから記憶が呼び起こされます。
記憶は映像となり、当時の感情とともに、頭の中によみがえっているのがそばにいてよく分かりました。
子供時代?それとも青春時代?
Fさんは「みんないい思い出だ。悪い思い出なんて1つもない」と言いました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
こんな場面に遭遇して幸せを貰いました。

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