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ありがとう! 月刊ベストナース

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
三寒四温とは言いますが、晴天で雪解けの日だったと思えば翌日真っ白な雪景色。まだまだ油断ならない札幌です。

さて本日は、長年お世話になっていた医療情報誌「ベストナース」の休刊のお知らせについてです。
北海道医療新聞社が発行していた、この雑誌を見始めたのはいつからでしょう・・看護師詰め所に必ず一冊置いてあって、休憩中にぱらぱらとめくっていたものです。

管理者になってからは、「〇〇病院のナントカさんが載ってる」とか「△病院に先越された~」とか、知り合いや自院の取り組みと合わせて読むようになりました。
看護部長になってからは取材を受けたり、あるいは「こんなイベントやるので取材に来ませんか?」とネタの提供もしておりました。
2024年の3月号が休刊前の最後になると聞き、驚きました。出版業界の苦境は知っているつもりでしたが、こんな身近なところにも・・と思いとても残念です。新聞も夕刊がなくなり、紙面が薄くなりました。電子媒体で読めるのはわかってますが、紙をめくり開いて読むのはやっぱりいいものです。
記者の方はよき聴き手であり、看護職を応援してくれていました。つらつらとしゃべったことを、過不足なくわかりやすい言葉で表現してくださり、初校を読むだけで「こんなすてきな記事になるなんて!」とうれしくなりました。ある時、なかなか看護師が集まらず落ち込んでいた私に、記者の方が励ましのお手紙を送って下さったこともありました。

当院のことを言えば、ベストナースに載っていた記事がもとで、認知症対応カンフォータブル・ケアを取り入れ、そのおかげで身体抑制はゼロになりました。現場で努力した師長たちは、今や講師として呼ばれるようになり、また多くの方が当院に学びに来てくれるようになりました。ベストナースがきっかけを作ってくれたのは、間違いありません。
これまで応援してくださり、さまざまな情報提供をありがとうございました。どうかお元気で。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
別れと出会いの季節ですね。

「てがみをかくよ」をかくよ!

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
日本各地で豪雨災害が発生し、かの地に住む友人の顔を思い浮かべながら悶々としています。一日も早く復旧することを、ただただ祈っております。

連休中は久しぶりに大型スーパーへ出かけて、欲しかったけどなんとなく我慢していたものを買い、ささやかな幸せを感じました。
家人からは「そんなもの我慢してたなんて信じられない」と呆れられましたが、実は冷水でお茶を作るポットが欲しかったのです。 私が求めていたのは、冷蔵庫のドアポケットに収まる形で容量は1㍑位、そしてポットの中に手を入れて洗える、こんな条件でした。まず形状から言うと取っ手はいらない。取っ手がついてると、うちの冷蔵庫ポケットには入らないのです。そして棒のついたスポンジ、あれは好きじゃないんです。容器の隅にきちんと届かないし、スポンジそのものの置き場所に困る。だから手を突っ込んで隅々まで洗える奴が欲しかったのです。

「こんなのは季節商品だから、時期が過ぎれば売ってないよ」とも言われ、間に合ってよかったな~と思いました。

さて休みの間に届いた本は、ジョンソン祥子さんの「てがみをかくよ」です。

祥子さんはアメリカ・ミシガン州で夫と息子さんと暮らしています。息子さんが生まれる前から飼っていた、Maruちゃんというワンコとの暮らしを写真に撮り、写真集にしていました。(「ことばはいらない」がおススメです)

私はもっぱらTwitter(最近はinstagram)で祥子さんの投稿を追っかけていました。穏やかで優しい、そしてユーモラスなワンコでした。そんなMaruちゃんが今年の3月に旅立ちました。急なことでした。その後、これまでの犬生をまとめた小さな本を出されると知りました。

「てがみをかくよ」とは、すてきなタイトルです。祥子さんがMaruちゃんに書くのか?それともMaruちゃんが書くのか。いやいや、ネット上で家族のように愛しんできた、私のようなファンのために書いてくれるのか。いろいろに受け取れます。

祥子さんは15歳になったMaruちゃんと、いつかお別れの時が来るのをずっと覚悟していらした。それが投稿の行間からびしばし伝わってきていたのです。
人の悲しみの表し方というのはさまざまだなあと思います。この本を出して、日々の暮らしから見えなくなってしまった存在を、今はしみじみと感じていらっしゃるのかも知れません。

動画を見ていた私ですら、Maruちゃんのタッタッタという足音が聞こえてきそう。そう思って胸がきゅっとなります。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。

本の購入はinstagramからのみ。

発想を変えよう、思い込みを捨てよう

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
研修の時に講師の先生から言われたことば、「Out of box」がずっと心に残っていて、今年のキーワードは「発想を変えよう、思い込みを捨てよう」にしました。
これまでやってきたことに慣れ切っていると、それが正しいとか前からやってるからと、どうしても思い込みがちですが、頭をやわらかくしてみると、世の中にはもっといいこと、やりやすいこと、楽しいことがあるはずです。

普段の自分ならしないことを、やってみるというのもそのひとつ。

あるとき職員と、立ち話をしていてお互いが今読んでいる本の話になりました。彼女の推し本を教えてもらいまして、すごく興味が魅かれたので早速買ってきました。巷で話題になっていても、手に取らない本は五万とありますね。彼女がこれだけ推すのだから、きっと面白いに違いない。きっかけをいただき、新しい読書の世界が広がりました。

また別な日には、違う職員から今度は映画の推し!をいただきました。
楽器をやっていた私なら、きっと興味があるだろうって教えてくれたのです。
これも、調べると映画館での上映はあと1週間!しかも夜しかやってない!
出不精を振り切って「行こう!」
いや~ 行ってよかった。面白かったし、まるで映画をみたのかライブに行ったのか、両方味わったようなそんな興奮に包まれました。最近は映画もドラマもインターネットでわりとすぐみられる時代ですが、やっぱり映画館で集中して観るっていいですね。その世界に没入できるから。

それから、病院の公式インスタグラムを立ち上げました。看護部の精鋭3人とチームで始めたのですけど、これがなかなか楽しい。みんなSNS初心者ですが、日々「こんな機能があった」と発見があり、文字を入れるのが上手な人や、くすっと笑顔になるような投稿をする人、困ったときには疑問を解決してくれる人がいるのです。
試行錯誤しながらやってるこのプロセスが実に楽しい。

まだまだ発展途上ですが、お時間がありましたらぜひのぞいてくださいね。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
エスコンフィールドにはまだ行けてません(^^)

分人

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
コロナが始まってから3年余り、全然本を読むことができなかったのですが、最近また読めるようになってきました。

看護師という仕事をしていると、自分や家族が病気になったときに視点が変わり、自分がどの立ち位置で物を見て対応しようとしているのか、わからなくなる時があります。

そんなとき作家の平野啓一郎さんの本を読み、腑に落ちるものがありました。
家族と一緒の時の自分と、会社にいるときの自分は同じだろうか?高校時代の友人といるときの自分は?と考えると、自分の中にいろんな顔があり、それらは矛盾していない。それを平野さんは「分人」ということばで表しました。

つまりわたし、工藤昭子という人間は普段は「看護師」であり、「看護部長」であり、働いている病院は緩和ケアや認知症ケアなどを行う病院であって、働いている一日の大半はそう認識されているのですが、自分や家族が病気になると途端に自分ごととしてとらえるため、「一患者」や「患者の家族」という「分人」の側面で認識されるということです。
平野さんは「分人とは、対人関係ごとの様々な自分のことである」と書いています。そして「一人の人間は複数の分人のネットワーク」だというところが、腑に落ちたのでした。

たとえば患者として医療者との間にトラブルがあったとき「こんなことは患者としては不愉快だな」と思う一方で、「こういう状況は医療者側もつらいよね」と共感するような出来事があったとします。
こんなとき私の中で「どっちの立ち位置(患者か医療者か)で物を見たらいいんだ?」と少々混乱が生じるわけです。
逆にすごくいいケアをしてもらったときに、一人の人として「ありがとう」と言いたいだけなのに、そこに看護管理者としての目線が邪魔をすることもあります。素直になれないのは単に性格の問題かも知れませんが・・。

「看護師の私」と「患者としての私」の間を、行ったり来たりしながら人間性を高める勉強をさせてもらっている。
仕事を通じて自分にはできない別な人生を学ばせてもらい、違う価値観に気づかせてもらっている。
そのことを謙虚に学ぶことが大事なのかな、と思います。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございました。
「自分探し」ってことばもあったよね。

日曜の午後、オンラインで

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

以前にも書いたことがあるのですが、私は勝原裕美子さん(オフィスKATSUHARA)を尊敬していて、ブログや著書を読んだり、主催する勉強会に時々お邪魔しています。
日曜の午後、オンラインで「トランジション」のワークショップに参加しました。

勝原さんは大学を卒業後に百貨店で働き、主任まで昇格したあと看護大学に入りなおして看護師になりました。その後大学教員になり、さらに聖隷浜松病院の看護部長に転身。このプロフィールだけでもとても興味深い。仕事と仕事の間にどんなことをお考えになり、決心したのだろう。凡人の私からすると、まるで看護界のスターのような心持で見てしまいます。心酔する熱心なファン。はい、そう思います。

看護部長さんだった頃に書いておられた「やらまいかっちゃん」というブログに、未熟な管理者である私はどれだけ救われたことでしょうか。その後独立して個人事務所を立ち上げ、現在は私塾で看護管理者のための学び場を開いておられます。
ああ、私もその私塾に行きたい!と思いながらぐずぐずと月日だけが過ぎていってます。

勝原さんのセミナーは、毎回不思議と時間を忘れてしまいます。
勝原さんの伝えたいことがまずあって、それから参加している個人の体験に符合するところがあって、心の中で講義と自分の体験を行きつ戻りつします。
勝原さんから繰り出される、絶妙な問いによって過去の体験や感情が引き出されていきます。コーチングを受けているような、そんな感じで進んでいきます。そしてこの揺さぶられ感がなんとも心地いいのです。オンラインでは3~4人のブレイクアウトルームで自らの体験を話しあい、最後に今日のゴールへと導かれてクロージングとなります。そのプロセスが自然で無理がありません。
しかも終了後は「もう少しこのことを学びたい」という余韻が残ります。
さっそく本をぽちっと買いました。これがめっぽう面白い。

本当に魅力的で素晴らしい授業。こういう先生にずっと学びたい。
そして学ぶばかりではなく、out putもしないとね、と思ってはいるのですが、まだまだ修行が足りません。
なんとか勝原流を自分にも取り入れようと頑張ってます。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
遠くてもオンラインで学べるのは、本当にありがたいね。

「宇宙兄弟」に学ぶ人との関係性

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

週末は管理者研修のスライドを作っていました。
私は30の手前で管理職になりました。リーダーの素質もなくもちろん自信もなく、たまたまそうなってしまいました。それ以来現在に至るまで、どうしたら自分がいいリーダーになれるか、スタッフが気持ちよく働ける場所を作れるか、ということをずっと考えつづけてきたように思います。

昨年知人に「あなたの知らないあなたの強み」という本を教えてもらいました。
自分のことはわかっているようで案外わからないものです。この本は「宇宙兄弟」という漫画がベースになっています。漫画を読まなくてもわかる本ではありますが、読んでいた方がより理解が深まる、そう考えてまずは漫画の方から読み始めました。40巻あるんですがこれがめちゃめちゃ面白い。すっかりハマりました。

職業としての「宇宙飛行士」のことなど、まったく未知の世界です。
主人公南波六太(ナンバムッタ)とその弟(ヒビト)の二人の宇宙飛行士の話ですが、単なるヒーローズストーリーではありません。人と人との関係性やリーダーシップの題材が含まれています。ムッタを含め登場人物はみんな個性的です。その個性を科学的に分析するのがこの本に書かれていることでした。

ムッタはいわゆるヒーローではありません。むしろ本当にやりたいことを前にして尻込みしたり、ぐずぐずと言い訳をしたりして、情けない一面を持っています。けれどもチームの中にいるとメンバーの良いところを観察し引き出し、自分の得意なことを率先して役立て、共に課題を解決していく様が描かれています。

漫画の中にはいろんな名言が出てくるんですが、
「グーみたいなやつがいて、チョキみたいな奴もいて、パーみたいな奴もいる。誰が一番強いか答えを知ってる奴いるか?」
というのが私のお気に入り。
ほんとにそうだなあと思うのです。けれども実際私たちの身の回りでは人と人との諍いが日々起きています。
自分が我慢するというのでもなく、相手を変えようとするのでもなく、互いにいいところを認め合って、楽しく仕事をできたらいいのに。私はそう思います。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
たくさんの人にこの漫画を読んでもらいたいなあ。

わたしも、欲が出ました

ヨシタケシンスケさんのエッセイに「欲が出ました」という本があります。
人があまり気が付かないようなところを掘り下げた文章とかわいいイラストで、ついクスっと笑ってしまう本です。
今日はその題名にあやかって、書いてみます。

もう3年以上も前になりますが、私どもの病院で「認知症対応カンフォータブル・ケア」を取り入れました。
過去のブログにもその経緯を何度か書いたのですが、このたびその取り組みが「精神科看護」という雑誌に掲載されました。
呼びかけてくれた棟方師長さんと、看護管理者の私にそれぞれ書いてほしいというご依頼、ありがたくお受けしました。
頼まれごとは試されごとですものね。

そして軽い打ち合わせだけでお互い書きだしたのですが、結果的には同じことを違う視点から書いた形になりました。
実践したことってこうなっちゃうんですね。
3年間を総まとめという感じで、out putしてすっきりした私たちです。

カンフォータブル・ケアというのは、認知症の方に対して「快」の刺激による対応を心がけることと、相手に敬意を払い温かく接することを中心としています。
看護職者は環境の一部なので、これが常にキープできるように、そして劣化しないようにこれからも気をつけていきたい、と思っています。

当院は緩和ケアを前面に出しているのですが、私は高齢者医療の場としても質のよいケアをしている病院だ、と認知されたいのです。
自分の中だけでそう思っていても、言葉で表していかないと人には伝わらない。

何をもってそう表せるだろうか。
独自性を出すにはどうしたらいいのだろうか。
てなことを、連休中は家にこもって考えておりました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
「自分の親を預けたいと思う病院」だよなあ。

一日3つ!感謝を書く習慣

私は今EMS(エッセンシャル・マネジメント・スクール)という社会人のオンライン大学院のようなところで学んでいます。
毎週講義を聴き、10名ほどのグループで対話しながら進むのですが、同じチームに慶応義塾大学大学院の前野隆司教授がいらっしゃいまして、そのご縁で「幸福学」という学問を学び始めたところです。

先日前野先生から送っていただいた本『7日間で「幸せになる」授業』(PHP研究所)を読んでいる最中で、その中で「これはいいな~」と思う習慣を今実践しているところなので、お伝えしたくなりました。
幸福になる因子は4つありまして、その中のひとつ「ありがとう力」を高めるトレーニングについてお伝えします。
自分の身の回りに感謝の気持ちを持つことで幸福度は高まります。
普段忙しくて感謝の気持ちを忘れがちですが、感謝の対象は実はいくらでもあるのです。
例えば私は朝出勤するとまず花壇と4Fの鉢植えたちに「おはよう。今日もきれいでありがとう」と声をかけています。
院内を歩くときは「(夜勤者に)患者さんを守ってくれてありがとう」「今日は誰も欠勤せずありがとう」「暑い中お風呂の介助を頑張ってくれてありがとう」などと言うようにしています。

これはメンタルトレーニングを学んでいた時にも教わったことがあって、以前から習慣にしていました。
けれども書き出すということまではしてませんでした。
そこで試しに手帳に書いてみることにしました。毎晩寝る前に手帳を開き、今日起きたことの振り返りをしながら書いています。そうすると脳が勝手に感謝の出来事を探すようになり、日々書くことが増えていきます。そして感謝する出来事が発生した時点で「これは夜、手帳に書こう」と自然にピックアップされるようになりました。

前野先生の本によると感謝の心を持つことによって脳内のセロトニンやオキシトシンという幸せ物質が増え、物欲やストレスが減るという研究もあるそうです。
1週間書き綴っただけですが、これは楽しい記録=記憶にもなることがわかりました。
書くことなんてないよ~という方は「今日は晴れててありがとう」からおすすめです。雨が降っていたら「畑の作物のためにありがとう」。曇っていたら「日焼けしなくて助かった。ありがとう」と言ったらいいのです。
感謝は思っただけでは伝わりません。コトバにして発信することで人に温かいエネルギーを送ることができ、書き留めることで自分のエネルギーになります。
振り返って読むとその時の感情が湧きあがり、また感謝の念がよみがえってくるような気がします。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
そういえばこれも感謝でしたねえ。

最近読んだ本 直木賞受賞「熱源」

自粛要請の影響で、自宅で本を読んだりオンライン講義を受ける時間が増えています。
連休中に直木賞を受賞した「熱源」を読み終えました。
歴史は不得意ですが、史実に基づいた人間ストーリーだと俄然興味が湧いてきます。
しかし世界の動きがわからないとだめですね。
なぜ日露戦争が起きたのかとか、世界大戦に続いた背景とか、こんな年になってお恥ずかしいですが今頃勉強をしているところです。

アイヌの人々の歴史も、北海道で生まれ育ちながらよくわかっていませんでした。
読んでいて思うのは、家族のため民族の誇りを守るために何かを成し遂げようとする人の「熱」についてです。
今をもっとよりよくしようと人生を賭ける人の「熱」は、それ以外の人にも影響し心をアツくさせます。
それが人から人へ営々と続いて、今ここで私たちが生きているということ。
これは奇跡だなと思います。

今私たちは未知なるウイルスと闘っています。
これも大いなる歴史の一部となるでしょう。
目には見えず音もなく忍び寄り、広がっている。
国全体、世界全体が状況に合わせて変化を強いられています。

私たちは今できる最善のことをして、自分や自分の周りの大切な人を守る。
それを日々繰り返していきましょう。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
ドラマになるといいな、熱源。

冬休みに読む「ライオンのおやつ」

私の周りには本好きな人がいっぱいいます。
先日「これ読んでみて」と前野先生から渡されたのは、小川糸さんの「ライオンのおやつ」です。
前野先生大絶賛です。
朝礼でも勧めていて、職員みんなに読んでもらうために、この本を数冊買って病院に置いておく、とまで言っていました。
そして「こういうホスピスを作りたいんだ」と。
ああ、ホスピスの話なんですね、というと
「いや、病院の話じゃないんだ」。
「??」


最初に貸してもらった私は、お正月休みに読もうとゆっくり考えていたのですが、借りた2日後には「読んだ? どうだった?」と感想を聞かれたので焦ってしまいました。

これは旅立つ人の物語ですが、つらいものではありません。
むしろ最後こんな風に旅立てるのなら、私もこの本に書かれてあるホスピスに行きたいと思いました。
瀬戸内の温暖な気候。美しい海。レモンやブドウ。自然の中の小径。

主人公には死を前にして、さまざまな症状が立ち現れてきます。
例えばせん妄という意識障害は、私たち医療者はとても気を付けるところです。
時空間の認識がわからなくなり、筋力や体力の低下もあって、転倒しやすくなるからです。
そのせん妄状態と思われる描写さえも、小説の中では甘やかで幸せな時間なのです。
こんな世界にいるのなら私はせん妄状態の人を、じゃましないでそっとしておいてあげたいと思うようになりました。

登場人物は優しく、自然な成り行きを大事にしてくれて、湿っぽくはありません。
それから、こういうホスピスを作りたいという、前野先生の気持ちもよ~くわかりました。
医療の場ではありませんが、医療も確かに必要としていて、最期まで生ききることの支えのひとつとなっている。
私たち医療者ができることなど、わずかなことだなあと思いました。

それから全編食べ物の話が出てきます。
そのどれもが温かい情景とともに、湯気や香りが感じられました。
「ライオンのおやつ」という題名も、読むとしみじみわかります。
私はその中でも毎朝土鍋で炊くお粥さんがおいしそうで。
もしこんなホスピスができるなら、私はそのお粥さんを炊くおばあさんになりたいと思ったのでした。

死と、その先にある未来へ希望が持てる本です。

今年もこのブログにたくさんの方が来てくださいました。
ありがとうございました。
どなた様も、よいお年をお迎えください。

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