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2022年9月

約束

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

「私の最期は工藤さんの病院で頼みますよ」
知り合いからたまにこんな風に声を掛けられます。
私のいる病院はホスピス緩和ケアと高齢者ケアの病院であり、ケアの先には看取りも含まれています。
人生の最期は穏やかに過ごしたい。痛みや辛さを取ってほしい。家族と一緒に過ごしたい。
だから工藤さんの勤めている、その病院で。

ありがたいなあと思います。そんな風に言ってもらえて。

この夏、知人が当院に入院されました。
数年前、この方から冒頭の言葉を受け取りました。
その時すでにがんを患っていて、かなり深刻な状況だったと後になって知りました。
私はその言葉を、医療者同士の社交辞令のように受け取ってしまったので
「何をおっしゃいますか。お元気でいてください」というような軽い言葉で返してしまったのです。
今の私なら、もう少しお話を聞けたのではないかと思いますが、申し訳なかったです。

入院されたお部屋にうかがって「〇〇さん、よくお越しくださいました。ありがとうございます」とお声を掛けました。
その方は私の方を見てうなづかれました。
「ここでは、ゆっくり、お楽にしていていいんですよ」というと、さらに目を大きく見開かれました。
長話もお疲れだと思いお部屋を辞しました。
ご家族との短くも濃い時間を過ごされて、翌朝静かに旅立たれました。
生涯現役の医療者として尊いお勤めを終えられ、今頃ゆっくりされているでしょうか。
もう少し時間があれば、昔話などしたかったのですが、きっとその日を選んだのですね。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
ナナカマドが白く咲いた日に。合掌。

お知らせ> | 更新日:2022-09-26

ナースコール考

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
先週ナースコールのことを書いたんですが、今日は別な視点を思いついたので書いてみます。

月イチくらいで行くお気に入りのCaféは、店主一人でやっているところです。
私はここのランチとコーヒーを楽しみにして出かけています。
お店に入って席に着くと、お水が運ばれてくる。
メニューを選び、テーブルの隅に戻すと店主が注文を聞きに来る。
食べ終わるころには、すっとコーヒーが置かれる。
まあ、当たり前といえば当たり前ですが、タイミングを見計らっている感じが実に自然で心地よいのです。
他のお客さんも店主がひとりなのを知っているので、誰かの食事を作っているときに、レジに行くのは控えている節がある。
時間がかかっても誰も文句を言わず、のんびり待っています。
こんな思いやりのある時間の流れを、店主とお客が一緒に作っているような感覚があるから、きっと好きなんですね。

一方先日行ったとあるCafé。
入り口で席を見定めていると「お待ちください」と入店を止められました。
見ると席は結構空いているが、テーブルが片付いてないようです。
ひとり客なのでカウンター席に座りました。
水が運ばれてきたがしばらく待っても注文を取りに来ません。
テーブルの隅に卵型の呼び出しボタンがあり、どうやらそれを押さないと来てくれないということがわかりました。
押そうと思った瞬間にほぼ同時に2カ所から呼び出しが鳴りました。
カウンター内で何か作っていたスタッフが「順番に参りますのでお待ちください」と声を張り上げました。
ホール係が順番に注文を聞きに行くのを少し待ってから、私はボタンを押しました。
すると「順番に参りますので・・」と先のスタッフがまた声を張り上げました。

私はあなたの目の前に座っているんだけどな・・・

物言いは一見丁寧だけど、「今忙しいんだよ!」と心の声が聞こえるような声音でした。
そしてスタッフは誰もお客の方を向いていません。
呼ばれて初めて客席に行くから、コップの水が空になっていても気づきません。

コーヒーはおいしかったけど、精神安定上よくないからここはもう行かない、と思います。

呼び出しボタン(ナースコール)は便利な道具だけど、接客(看護)という仕事の本質を見失うとこうなっちゃうんだな。
ナースコールが鳴る前に行け、と先輩ナースから教わった世代の小言です。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
今日は辛口。

地震と停電とナースコール

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
胆振東部地震から4年が経ちました。コロナウイルスで世の中がこんな風に変わるなんて思いもしなかった時の出来事です。

今年も9月の第一日曜日は防災訓練をしました。
毎年同じ訓練を繰り返す、これが大事なんだと思います。

2018年の地震の時、41時間停電が続きました。
非常用電源が脆弱なために入院患者さんにはずいぶんご迷惑をおかけしました。
電動ベッドが動かない、エアマットが停止した、トイレの電気がつかないetc…
ついにはナースコールも使えなくなり、患者さんが何かを訴えたくてもできなくなってしまいました。ナースコールは命綱、とも言われ患者さんが辛さ苦しさを看護師に伝える道具として欠かせないものです。
「こちらからお部屋に行って用事はないか、頻繁に声をかけましょう」
「患者さんを安心させるのが、今やるべき私たちの仕事」
と師長さんが呼びかけて、用事がないか、困りごとはないかと患者さんに声をかけていくようにしました。

患者さんが訴えたいタイミングで、スタッフが病室にいくかどうかは保証しがたいところですが、その時できる最善のことをしてくれた、と私は思っています。スタッフに声掛けをしてくれた病棟師長の素早い判断に、私も勉強させられました。

話は飛躍しますが、ナイチンゲールの時代もナースコールはなかったわけで、ろうそくをもった看護師が病室を回り、患者さんの様子を注意深く見てまわったのでしょう。
患者さんの微細な変化は日ごろの観察が物を言います。
患者さんの方も「もうそろそろ看護師が部屋にくるだろう」と期待して、伝えたいことを心でまとめていたかも知れません。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
練習しておくと安心するね。

3時のおやつはじゃがバター

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

8月が終わるね、と言っていたらあっという間に9月も数日過ぎていきました。
こんな調子だと、するっと来年になりそうですね。

先日、保育園の子供たちと芋ほりをしました。
病院西側シュヴァービングの森の前、ボランティアさんたちが丹精込めた菜園で、5月に植えたジャガイモの収穫の時期を迎えました。

土の中のおイモはどうなっているでしょう、そして土を掘ったら何が出てくるのかな?
保育士さんがパタパタ仕掛けのポスターを作ってくれて、気分を盛り上げてくれました。

当日は軍手と長靴を身につけて、さあ出発進行!
ボランティアさんが、先に来て子供でも掘り出しやすくしておいてくれました。
子供たちは小さな熊手やシャベルを手にして、おいも掘りに夢中です。
口をとんがらかして、土を掘る掘る。
自分の手よりも大きいおいもを落としたり拾ったり、大忙しです。

途中でお父さんやお母さん(職員)も見に来ました。
患者さんを車いすでお散歩がてら連れてくる職員もいました。
気が付くと2Fや3Fから覗いている人もいます。
みんなに見守られてわっしょいわっしょいとおいもを掘っては運び、大人たちはみんな笑顔になりました。

お昼寝の合い間に塩ゆでして、3時のおやつはじゃがバター。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
この平和がいつまでも続きますように。