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札幌南徳洲会病院看護部長 工藤昭子の やさしさビタミンブログ

プラチナナースと夏ばっぱ

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
「プラチナナース」ということばが出始めたのはいったいいつだったのでしょうか。

看護協会が先だと思いますが、厚労省も言い出してるし、定年退職した後も働き続けるベテランナースのことが、いつの頃からかこう呼ばれるようになりました。労働人口の減少、医療現場の人手不足、年金だけでは暮らせない現実。さまざまな要因があって、こんなネーミングで持ち上げられたようですが、自分事としてそう呼ばれるとしたら、この言葉は相当気恥ずかしいですね。

当院にも数名、定年後も継続してプラチナナースたちが働いています。
ベテランがいるって患者さんにも後輩にも、安心につながりますね。
体力・経験・経済的なことを考えて、みんなが幸せに働けるようにと願っています。

その中のひとり、Qさんが夜勤も含めた仕事を継続してくれることになりました。
長年慣れているとはいえ、この仕事は体力勝負。
Qさんは「いい仕事をするために」ジムに通って、体力と柔軟性を磨いているとのこと。ほんと、すごいなあ。
テラスで幾種類もの植物を育て、何度も胡蝶蘭を蘇らせる達人でもあります。

こうして1年、また1年と経験を重ねながら患者さんのケアに当たってくれている、本当にありがたいことです。そして同じ仕事で現役を貫いていく、というのは尊いことだなあと思います。同時に、新しく入職される方の中には「看護師人生の最後を、ここで働きたい」と言ってくださる方もいて、心が震えます。

私は、職員がみんな健康で、ほどほどの忙しさで、患者さんへのケアにやりがいを持って、休みを満喫できるような、そういう病院にしたいんですよね。WELL-BEING。もう、それに尽きる。職員が幸せに働けること。それが患者さんへのケアにつながっている。

この春から朝ドラで「あまちゃん」を再放送していますね。
これに出てくる“夏ばっぱ”(=宮本信子さん)に、Qさん似ているんですよ。
いつまでもみんなのお母さんとして、元気でいてください。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
さあ、どうする?定年!

コーヒーと看護

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

特別コーヒー通というわけではありませんが、カフェ巡りが大好きです。
先日、札幌から2時間くらいのところにある、知り合いのコーヒー店に行ってきました。

車を降りた途端鼻腔を刺激する香ばしい香り!お店に入ると20種類くらいの豆の入った木箱が並んでいます。その生豆を丁寧により分けて、その場でお好みに焙煎してくれるコーヒー屋さんです。木の温もりいっぱいの店内は、一瞬で居心地がいいとわかります。お店の方に温かく迎えられて、窓側の席に座りました。

どんなコーヒーが好きか聞かれて、酸味の少ない、濃いめのコーヒーが好きと答えました。

豆によって酸味や苦みは限定されるのかと思っていたのですが、どうやらそうではないらしい。豆の種類ももちろん関係するけれど、浅く炒るか、深く炒るかによっても味わいが変わるのだそうです。さらにコーヒーの淹れ方もいろいろあるから、自分がベストだと思うコーヒーを探しあてるには相当な数を飲まないと・・っていうことですね。

まだまだ出会ってないコーヒーがいっぱいあるわけですね。奥が深いです、コーヒー道。

私の頭の中には豆の種類と浅炒り・中炒り・深炒りのエクセルの表が思い浮かんでしまいました(笑)。これこれの豆でこのような味に提供できますよ、という風におススメするのかとおもいきや、「いえいえ違います。お客さんがどんなコーヒーをお好きなのか、まずはその方の好みをお聞きします。それに合ったコーヒーを淹れるんです。」
「あ、そっか。逆ですね」

「看護と一緒ですね」とママさんは笑います。

あちゃあ~、まいりました。コーヒーを飲みに来て新たな視点を教えていただきました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
ガトーショコラがまた美味しくて。

分人

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
コロナが始まってから3年余り、全然本を読むことができなかったのですが、最近また読めるようになってきました。

看護師という仕事をしていると、自分や家族が病気になったときに視点が変わり、自分がどの立ち位置で物を見て対応しようとしているのか、わからなくなる時があります。

そんなとき作家の平野啓一郎さんの本を読み、腑に落ちるものがありました。
家族と一緒の時の自分と、会社にいるときの自分は同じだろうか?高校時代の友人といるときの自分は?と考えると、自分の中にいろんな顔があり、それらは矛盾していない。それを平野さんは「分人」ということばで表しました。

つまりわたし、工藤昭子という人間は普段は「看護師」であり、「看護部長」であり、働いている病院は緩和ケアや認知症ケアなどを行う病院であって、働いている一日の大半はそう認識されているのですが、自分や家族が病気になると途端に自分ごととしてとらえるため、「一患者」や「患者の家族」という「分人」の側面で認識されるということです。
平野さんは「分人とは、対人関係ごとの様々な自分のことである」と書いています。そして「一人の人間は複数の分人のネットワーク」だというところが、腑に落ちたのでした。

たとえば患者として医療者との間にトラブルがあったとき「こんなことは患者としては不愉快だな」と思う一方で、「こういう状況は医療者側もつらいよね」と共感するような出来事があったとします。
こんなとき私の中で「どっちの立ち位置(患者か医療者か)で物を見たらいいんだ?」と少々混乱が生じるわけです。
逆にすごくいいケアをしてもらったときに、一人の人として「ありがとう」と言いたいだけなのに、そこに看護管理者としての目線が邪魔をすることもあります。素直になれないのは単に性格の問題かも知れませんが・・。

「看護師の私」と「患者としての私」の間を、行ったり来たりしながら人間性を高める勉強をさせてもらっている。
仕事を通じて自分にはできない別な人生を学ばせてもらい、違う価値観に気づかせてもらっている。
そのことを謙虚に学ぶことが大事なのかな、と思います。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございました。
「自分探し」ってことばもあったよね。

プライドと貧乏性

こんにちは、やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
新年が始まったと思ったらもう4月。早いものですね。

当院にも今年新たに9名入職されました。
毎年思うのですが、数ある病院、会社の中から当院を選んでいただきうれしく思います。
みなさんが幸せに働けるような組織でありたい、そしてその手でケアを受ける患者さんやご家族が幸せでありますようにと、そんな風に願っています。

さて、今年に入り対面での会議が増えてきました。
先日東京に出張した際に、泊ったホテルで「全国旅行支援クーポン」をいただきました。2千円分のお買い物クーポンです。初めてのことで素直にうれしい。使用期限は翌日の23:59まで。
クーポンは紙のままお店に出してもいいし、アプリに入れてもいい、そのように書いてありました。アプリをスマホにいれたものの、時間がなくてクーポンのチャージまではできませんでした。
翌日私はお店に立ち寄り、レジでクーポンを紙のまま出したのですが、店員さんから「うちはアプリじゃないと使えないんです」と言われました。
ふ~とため息。
アプリまでは入れたが、チャージはできてない旨を伝えると「ゆっくりやってください、大丈夫ですから」とのこと。幸い後ろに誰も並んでいないので、「じゃあやってみます」と取り掛かりました。しかし焦っているせいか、QRコードが読み込めなかったりエラーが連続して時間ばかりかかります。私はあきらめて現金で支払いました。

店を出てから気持ちがもやもやしました。落ち着いて焦らない状況でやればできるはずなのに、ここで諦めるのはなんだかくやしい。プライド&貧乏性。こんな仕組み、スマホを持ってない人には使えないじゃないか。だいたい紙でもいいって書いてあるのに、アプリしか使えないってどういうこと?心で悪態をつきます(笑)

目的の駅に着いてトイレに立ち寄ると10人くらいの行列。気長に待つ間、先ほどのアプリを再挑戦。ようやくチャージできました。トイレを済ませるとちょうど向かいにお店がありまして、ここで無事に2千円、使いきったのでした。
モヤモヤが晴れて、すっきり。しょうもないプライドです。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
ここであきらめるか・立ち向かうかが分かれ目だ!(大げさ)

ボランティア活動を始めてみませんか?

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

今日はボランティアへのお誘いです。

当院には「せら」という、ボランティアグループがありまして、様々な活動をしていただいております。
コロナ禍でこの3年間は、患者さんに直接かかわるのは休止していましたけれども、3月から様子を見ながら再開しているところです。

現在の活動は、季節の飾りつけ・裁縫でモノつくり・花壇や畑の手入れ・イベント裏方・寄り添い・傾聴などをしてもらっています。
登録されているボランティアさんは現在26名で、50~83歳まで幅広く、集っていらっしゃいます。

「特技はないのですが・・」とおっしゃる方も、ボランティア・コーディネーターや他の皆さんと一緒に活動しながら、楽しい時間を過ごせます。ボランティアさんが院内にいらっしゃることで、病院の中に「社会の風」が吹き抜けていくと、私たちは考えています。
 5月10日14:00~ ボランティア募集説明会を開きます。
ご興味のある方はぜひお越しください。お待ちしております。

札幌南徳洲会病院 ボランティアグループ「せら」メンバー募集説明会
日時:令和5年5月10日(水)14:00~15:00
場所:札幌南徳洲会病院 1F 講堂
お申込み:℡011-883-0602 またはEmail: kango@sapporominami.com まで

ようこそ!ナースマンたち

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
3月は卒業や移動のシーズンですね。なんとなくさみしい季節です。

先週珍しいお客様がいらっしゃいました。
仙台にある、看護短大の学生さん達と先生です。

先生とは旧知の仲でして、学生にこの病院を見せたいんだ、と言っていただき嬉しく思います。

コロナ禍で実習は計画通りにいかず、苦難の3年間だと聞いていました。
病院内を見る機会さえ充分ではない中を、わざわざ遠くから来てくださり、大歓迎です。
院内を案内していると、各部署で若い男性の集団に、職員が目をぱちぱちしています。
(そのくらい、珍しいってことです)

聞けば皆さん10歳前後の時に311を経験しているそうで、そこで出会った災害救助の人に憧れを抱いた方もいらっしゃいました。
私たちも2018年に胆振東部地震を経験しましたが、そのことと比べようもないくらい、人生を揺るがす出来事だったと思います。
お一人おひとりに、固有のストーリーがあり、それぞれ純粋で眩しく感じました。
生きているだけで宝物、こうして看護師を目指してくれてありがたいです。


ルイカ(地域緩和ケアセンター)ではお一人様用の椅子でまったりしたり、お試しアロマオイルを使ってみたり。
イマドキのナースマンはこんなやさしい感じなのね〜!と孫を見る心境です。 笑。

いよいよ今週は国試発表。
サクラサク、お祈りしております。

今週もこのブログに来ていただきありがとうございます。
数年後どんなナースマンになっているか、楽しみです。
いつかまたお会いできますように!

仰げば尊し

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

吹き抜けのデイルームに「仰げば尊し」のメロディが響いています。
ここは病院、というのをしばし忘れて、卒業式の気持ちに引き寄せられていました。
3月は卒業式シーズンですもんね。
患者さんはどんなお気持ちで聴いていたでしょうか。

音楽療法士の工藤先生が、週に2回、3つの病棟を回って音楽セラピーをしてくださっています。
この3年間、個別セラピーが主体でしたが、最近デイルームに患者さんが集まり、一緒に聞いたり歌ったりしています。
患者さんからのリクエストは唱歌からJ―POPまでと幅が広く、最近はフォークソングも多いのだそうです。
松山千春が好きな人、いやいや中島みゆきがいいという人、リクエストは100人いたら100通りです。

当然それだけ楽譜の数も増えるわけでして、その整理が大変そうです。
今はネットですぐに楽譜を手に入れられるので、タブレットを見ながら演奏するのも普通の光景となりました。
が、タブレットの楽譜めくり(タップ)を間違うと、前のページに戻ってしまったりして、それはそれでご苦労なさっているのだそうです。

今月から、ボランティアさんも病棟に入室できるようになり、患者さんの傍らに座って一緒に歌を聴いてくださっています。
曲の合間には感想を言い合ったりして、場が温まる感じがなんともいい光景だなあ、とうれしくなります。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
少しずつ、少しずつ。

シン・看護学生

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
人間、いつ何がきっかけとなって人生が変わるかは、自分でもわかりません。
あの時、ここで出会わなかったら、今の私はここにはいません、というような出来事が起きました。

2年前の春に当院に就職した看護事務のA子さん。
病院の仕事は初めてながら、現場で必要なものごとを的確にキャッチして、次々と仕事に生かしてくれました。看護の現場というのは、少し整理したりチェック表があると便利だなっていうようなことが、ちょこちょこあるんです。

あ、ここに見出しがほしいな、とか、テプラでそろえると美しくて見やすいだろうな、というようなこと。それから患者さんのベッドサイドに貼る「ピクトグラム」というサインや、研修会のチラシなど、あっという間にパソコンで作ってくれました。
彼女に1頼むといつも10くらいの質と速さで返ってくる。
頼んだ以上のクオリティで作ってくれると、単にうれしいというだけじゃなくて、「ちゃんと伝わってて、ありがたい」というレベルになりますね。

その彼女が、ひそかに看護学校を受験し合格していました。
受かってからの報告で申し訳ないと恐縮しつつも、晴れがましい表情をしています。
「ナースコールが鳴って、患者さんのところへ行くと、看護師さんじゃないとダメだと言われる。患者さんにはすぐに対応できなくて申し訳ない、自分じゃ用が足りないことへの悔しさもある。それで受験してみました」という。

何がうれしいって、看護の現場で働いていてそう思ってくれたこと。看護師やその仕事に幻滅していないこと(笑)。そして新たな看護学生がまさか院内から生まれるとは思いもしなかった。これは全力で応援しますよ。
最近、「シン・ウルトラマン」とか「シン・ゴジラ」って「シン」が付くタイトルを目にしますが、「新」「真」「進」というような意味が含まれているそう。
さしずめうちのA子さんも「シン・看護学生」。
当院にとっては「新」ながら「真打」って感じもするし、彼女の人生は「進」んでいるのです。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
資格を身につけて、大きくなって帰るのを楽しみに待ちます。

何を召し上がりたいですか?

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

病院の食事というと「おいしくないもの」と、世間一般に考えられているようです。
手前みそで恐縮ですが、当院の食事は「おいしい」と言っていただけることが多いです。
転院されてきた患者さんが、よく、そうおっしゃってくださいます。
私も時々職員食堂でお昼をいただいてますが、味付けがよく、楽しみにしています。
輸入食材はなるべく使わないという、管理栄養士さんの心意気も好きです。

さて昨年からホスピスで、試験的に始めた「お楽しみ食」。
月に1度、たったお一人の患者さんのためだけに、リクエストにお応えして特別なお食事を提供しています。
病院給食という概念を取り払い、出来るものをおつくりしますよ、というコンセプトで始まりました。
お手本にしたのは、淀川キリスト教病院の「リクエスト食」です。


これまでのリクエストで断トツ多かったのは「揚げたての天ぷら」。
やっぱり揚げたてをサクっと音を立てていただく、これは普通の給食ではなかなかかなわないものでして。
ホスピス病棟内の小さなキッチンで、油を温めて衣をつけた素材を、白衣の調理師さんが手際よくあげていきます。
添えられた天つゆ、大根おろし。それから少量のお刺身。お新香。
揚げたてをサービスしてくれて、まるで本物の天ぷら屋さんのランチのようです。

作って提供する喜びもさることながら、食べる患者さんの身体のコンディションが重要なのです。
ぜひ一番の大好物を召し上がって、笑顔でお過ごしください。

ちなみに先日のリクエストは「お雑煮」。


今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
あなたなら何を注文しますか?

忍者の修行

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

先日、保育園内の壁にこんな手紙が張り出されていました。

「とまとほいくえんのみんなへ
このまえのしゅぎょう、とてもじょうずだった
こっそりみていた
きょうは
くぐりのじゅつ
わるにんじゃにかくされたしゅりけんさがし
をみんなにたのみたい
じょうずにできたらごうかくだ
にんじゃより」

どうやら忍者からのお手紙です。
少し前から、忍者の手紙が3通ほど来ていたようです。しかも巻物になって。
お部屋の中でジャンプするのも修行のひとつだそうです。
保育士さんが外の遊び場に手裏剣をこっそり仕込んであって、手紙通り子供たちはそれを探すのが修行のひとつになっているとか。
聞いているだけでワクワクします。

2017年に短期研修でデンマークを訪れたことがあります。
「森のようちえん」を見学させてもらったのですが、そのとき「3匹のやぎのがらがらどん」という絵本をテーマに、幼稚園とその広い敷地全部を使って、物語を楽しむ仕掛けがされていました。
3匹のやぎは、橋の向こうにある広い草原に行ってお腹いっぱい草を食べたいと思っているのですが、橋の下にはトロールという怪物がいて、橋を渡ろうとすると自分たちが食べられてしまう、じゃあどうやって渡ろうか、と考える冒険のお話です。
自然いっぱいの敷地を、子供たちは自由に行き来し、木枝を使ってトロールをやっつけるとか、落とし穴を準備するとか発想をして実際に作っていくのです。
1年間の間には劇で発表したり、絵を描いたり、繰り返し3匹のヤギのがらがらどんの世界を体験することで、物語が子供たちの中に沁みこみ、知らず知らず想像力を働かせるようになっていく。
物語と現実を行ったり来たり、ユニークな教育だと思いました。

忍者の手紙を読んで、ふいにそんなことが思い出されました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
きみたちのせいちょうをかげからみまもっているよ。

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