2024年11月
私を変えた患者さんのひとこと
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
8月から毎月1回、看護部の役職者研修が行われています。
副主任・副主任フォローアップ・主任・師長と段階的な研修をプログラムしていて、北海道内の病院で受けられます。 さらに上位の師長・副看護部長・看護部長は徳洲会本部が企画する研修があり、看護協会の研修もあります。教育体制が整ってきたなあと思います。
ウン十年前に私が役職をいただいたときは、研修らしい研修はありませんでした。今看護部長の方たちは多かれ少なかれ同じような環境だったかと思いますが、「盗んで覚えろ」の昭和世代は、それが当たり前でした。
副主任のまま師長代行になってしまった私は「師長とはなんの仕事をするんだろう」ということがわからずにいました。勤務表を作る人? 苦情を聞く人? 壊れた備品を修理に出す人? どれも必要に迫られてやっている仕事でした。患者さんとの距離は遠くなり、用事がないと気軽にお部屋に行けなくなったような気がしました。そしてスタッフとも雑談ができなくなったように感じました。
先輩師長の真似をしても、どうも上っ面だけに思えます。
そんな風にもやもやしている私を見透かしたように、ある長期入院していた患者さんがこう言ってくれました。
「あのな、なんにもしてくれなくていいから、週に1回、師長が部屋に来て挨拶してくれたら患者は安心するんだぞ」
その言葉にはっとなりました。用事があるとかないとかに関係なく、患者さんと会話する。それは私が一番できてないことでした。
反省した私は、入院した翌日の朝お部屋に入り「昨夜は眠れましたか」「何かお困りのことや、看護師で至らないことがありましたら、遠慮なくおっしゃってください」とご挨拶しました。 そして週に1度か2度、お部屋を回って短時間でもお話を聴くことにしました。
主治医には言えないような込み入ったお話を聴くこともありましたし、苦情を聞くこともありました。けれども大方は感謝の声が多く、カーテン越しにいる看護師にもそれは伝わっていたと思います。
いつだったかある看護師に「師長が患者さんに“看護師で至らないところがありましたらいつでも仰ってください“と言っているのを聞いて、変なことはできないと思いました」と言われたことがあります。 それはそれは、と二人で大笑いです。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
今は懐かしい思い出。
10年と20年
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
ついに札幌にも初雪が降りました。雪の降り始めはなぜかワクワクする、札幌っ子。
風がない夜にしんしんと降り積もる雪が好きです。
さて先週は北海道ブロックの主任研修に行ってまいりました。
コロナ禍中はオンライン研修でしたが、今年度からブロック内の病院で開催するようになりました。忙しい現場を離れて、2日講義を受け対話するのは、主任さんたちにとって良い気分転換になったようです。普段ゆっくり話をする暇もありませんが、こういう場だとリラックスしていろんな話ができるものです。
講師はグループ病院で活躍する、5人の副看護部長たちです。お互いに副主任・主任・師長と成長してきた中で、研修でもお互いを知り切磋琢磨してきたので、講師として会場で出会うと「わ~」「きゃ~」と親交を温めています。そんな姿もかわいいですが、20年前初めて出会い、自分の部下だった人が、成長して今講師をしているということに感動しています。
そして最新の知識を熱く講義してくれる頼もしい姿に、ほれぼれして聞いている私です。
一緒に過ごした10年という年月。私の10年と彼女の10年はもちろん違う人生だけれども、その時たまたま同じ場所で働いていました。それぞれの立場で、それぞれの困難さがあって、お互いに影響を受けあって、なんとかやってきて今があるという、その不思議。縁と言ってもいいのですが、少しばかり長いつながりです。
私自身も上司や周りの方から導いてもらい、育ててもらいました。
歴史というには短すぎるけれども、人が育つ・育てるっていうのは、こんな風に細い糸を編むようにして、時間をかけてつながっているのですね。
次代を担う彼女たちの講義から、学ばせてもらいました。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
今回の学びは「コウモリの目(逆さから見てみる、疑って見てみる、の意)」
看護補助者の「初!」べスプラ研修
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
まあ、毎回同じようなことを書いておりますが、先週道内のグループ病院から看護補助者の方が研修に来られました。
看護補助者のベストプラクティス研修は、今年度始まったもので、お互いに初めて同士です。
今回も2F障がい者病棟に、お願いしました。
特別なプログラムはありませんが、認知症看護認定看護師の副主任が中心となり、カンフォータブル・ケアの活動を一緒にやっていただくことで、何か受け取ってもらえるのじゃないか、ということになりました。
初日はピアノタイムとそのあとのレクレーションをご一緒に。
翌日はカンフォータブル・ケアの講義を聴いてもらい、入浴介助や食事介助などを一緒に動いてもらいました。
お昼は恒例の「ランチョン・ミーティング」。仕出しのお弁当を取り、関わった人達でテーブルを囲みました。夕方は振り返りの時間です。
研修生さんからは「自分がやりたいと思っていたことが、すべてここにはありました」というもったいない言葉をいただきました。
それを受けて当院の補助者さんが、こんな話をしてくれました。
「夜勤に来ると、まず今日の担当は私ですよ、という自己紹介から始まる。食事や排せつのチェックリストを見ながら、今日はお昼にお便が出てないから、夜に出るかも知れないな、と心積もりしながら観察している。私たちの対応ひとつで、夜間のせん妄を防ぎ、安心して眠れるようにと声をかけている」ということでした。
いろんなことを想定しながら、なおかつ自分自身の存在が、患者さんにとって温かく安心できるように、いっぱい考えて仕事をいることがわかりました。
研修生を受けるということは、自分たちのケアや在り方を振り返ることになる。そして実のつまった対話。ここに発見があるなあ。こういうのを聞くとうれしくなっちゃう。
遠くから来て下さってありがとうございました。
一人からでもできるカンフォータブル・ケア。小さく始めましょ。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
種を一粒。