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2023年10月

緩和ケアナースを目指している方へ

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
街はすっかり紅葉し、雪虫も到来。自転車通勤できるのもあとどれくらいだろうなと思うと寂しくなります。

さて今日はいたって大真面目、そもそも緩和ケア看護師の役割ややりがいについてこれまで私、ここに書いてこなかったな~ということにいまさらながら気づいてですね。
将来緩和ケアを目指そうかなという方にも届くように書いてみます。

緩和ケア看護師の役割というのは、患者さんの苦痛な症状を緩和し、ご家族も含めたケアをすることです。一般病棟ではがんに対して「治るために闘う」治療を行います。しかし緩和ケア病棟では治療よりも「つらさ」にフォーカスして、できるだけその人らしく日常生活を送りながら最期まで支えることを目的としています。それには医師・看護師・ソーシャルワーカー・その他の職種と協働しながら進めていきます。身体のつらさは薬剤を使ったり、体に触れたり、お話を聴くことで和らぐことにつながります。ですので、一般病棟のように治療に向かってテキパキと働くというよりは、優しい笑顔で忙しさを感じさせないような雰囲気の人が求められます。また辛さをうまく表現できない方もいらっしゃるので、観察によって微細な変化をキャッチするようなアンテナが養われます。容態の変化をキャッチしながら、ご家族とのデリケートな意思疎通も必要なので、コミュニケーションスキルは特に大事です。不安と悲嘆(グリーフ)に揺れ動く心を理解し、できるだけご希望に添えるようにサポートすることが私たちの役目です。

緩和ケア病棟では患者さんの負担になるような検査や処置は極力行いません。一方で苦痛を取るための処置は「積極的緩和医療」といって、おこないます。専門的な学習はここでも欠かせません。

緩和ケア病棟のやりがいは、患者さんが尊厳ある生を精一杯生ききり、ご家族へも寄り添うことによって、心のこもったお気持ちを示されたときに感じられます。またその患者さんの人生そのものから学べることも、一人の人間として成長できるところです。そのような関係性が結べたときに、医療者と患者・家族というよりは、人間対人間の関係性となり、忘れがたいご縁になることもしばしばあります。

緩和ケアはこのようにやりがいのある職場であると同時に、ストレスの大きい場所でもあります。
一般病棟に比べると患者さんの旅立ちに接することが多いですし、患者さんやご家族の不安や悲しみ、時には行き場のない憤りに直面することもあるため、心理的な消耗が強く感じられる場でもあります。そのようなときは仲間同士で支えあったり、運動や気分転換など、自分を大切にし心身を癒す対処法を持っておくことがとても大切です。

当院では現在緩和ケア病棟で勤務する看護師さんを募集中です。
病院説明会は11/11(土)と12/16(土)いずれも10:00~

お申し込みはこちらからおはいりください。
https://sapporominami.com/nurse/careers/

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
看護師というのは人の「ドラマ」をみせていただく、いい仕事なんです。

応援

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
行事予定がぎゅぎゅっと詰まっていた数週間がようやく終わり、久しぶりの2連休でした。

市街は紅葉と落葉が進み、顔に当たる風はどんどん冷たくなってきました。冬が近いですね。

先日朝礼の1分間スピーチで、山登りについて語った職員がいました。

「日本百名山をこれから目指すという夢を持つことにしました。そうしたら日常のいろいろなことが、山登りのためのトレーニングや準備につながっていると感じました。まずは北海道内の山を来年3つ登ります。そのあと何歳まで登れるかわかりませんが、本州の山を踏破します」ざっくりですが、こんな内容でした。

それを聞いてなんとも清々しい気持ちになったのは、私だけではないだろうと思います。

「これ、大好きなんだ」と語れる人、そして実行できる人は幸せだなと思いますし、応援したくなります。

それからまた別な日。

敷地内にある「地域緩和ケアセンターruyka」で、壮行会が行われました。
当院で週に一度piano timeに来て演奏してくださっていた、村上明子さんがこれから国際協力に出かけられるのです。仲間から激励されたあとに、村上さんはこれまでの経緯と決意を静かに語りました。

「いつかやろうと思っていたけど、そのうち、ではなくて今がそのタイミングなんだ」と一歩前に足を踏み出しました。若さと情熱が全身を包み込んで、まぶしく感じられたのは私が年を取ったからでしょうか。

誰かを応援するというのは、パワーをその人に向けて送っているようでいて、実はその人からパワーをもらっているのですよね。

村上さんのお話は前野先生のブログに詳しく書かれていますので、よろしければお読みになってください。↓

https://hospice-kokoro.com/2023/07/04/%e5%89%8d%e9%87%8e%e5%ae%8f%e3%81%aemind-and-heart%e3%80%80%e7%ac%ac2%e5%9b%9e/

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
お土産話、待っています♪

新しい風

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

あんなに暑かった夏はどこへやら、ちゃんと秋はやってきて、イチョウが黄色く色づいてきました。

先月の終わり、北海道新聞の生活欄にボランティア募集のお知らせを掲載していただきました。
すると電話での問い合わせが10件弱ありました。すごいですね、新聞掲載の効果。

数名集まったら説明会を開こうと、のんきな考えでおりましたが、コーディネーターの鈴木さんと話しあい「来週やろう!」ということに。

外部に向けて募集を謳ったのは最後2019年のこと。あれからコロナがあって、引っ越しがあって、ボランティアさんの活動も最近ようやく、ようやく広がってきたところ。

コーディネーター鈴木さんとよく話しているのは、今は決まった曜日に来ていただいてるけれど、いずれは曜日や時間に関係なく院内のあちらこちらにボランティアさんがいる、そんな姿です。

究極は、ですね~。
長い夜の時間に、ほら今みたいに秋の月のきれいな夜に、ちょっとだれかと話したいなというような時、デイルームの電気を消して月明かりを見ながら雑談をする、とか。
いい香りのするハーブティーなんか飲みながら、ね。

あ、これは単に今の私の願望ですね 笑。

さてさて、ボランティア説明会には6名の方がいらしてくださいまして、なんとなんと全員が加入!うれしいですね~。ありがたいです~。

そんなわけでボランティアグループせらは、この秋パワーアップする予定です。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
病院ボランティアは社会の風なんですよね。

緩和ケアセミナーin sapporo 2023

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
急に寒くなってきましたね。毎朝夏服の上にテキトーな上着をひっかけて出勤しています。

さて10/7(土)、法人グループの中で第4回目となる「緩和ケアセミナー」を開催しました。
今回は当院がホスト病院です。札幌市中央区の「道民活動センター かでる2・7」をお借りして終日熱い一日となりました。

コロナ禍で3年間できなかったので、しばらくぶりの対面式に緊張しましたが、蓋をあけてみたら実に和やかな会合となりました。

グループには全国に75の病院があり、その中に緩和ケア病棟を持つところが8病院、緩和ケアチームのあるところ、ないところもまだまだありますが、その中から約100名の方が集まってくださいました。

各施設の現状や、コロナ禍で緩和ケアをどのように行っていたかなどを発表し、後半は職種別の分科会を行いました。やはり面会の問題にはみんな頭を悩ませており、感染状況とのバランスに今も苦しい思いをしているところがありました。

思うように実習ができない学生時代を過ごした若手のナースは、基礎研修が中断されコロナ病棟の仕事を任せられてよくわからないままやってきたが、仲間と支え・励ましあって今日までやってこれた、と話してくれました。それを受けて「やっぱり一人でやっているわけじゃない、みんなに支えられているんだよね」と別の病院の主任さんが言いました。

会場の後ろには「ご当地みやげコーナー」を設けて、各病院から有志の方が持って来て下さったスイーツを並べました。北海道から沖縄まで、珍しい~有名なおやつがたくさんでテンションが上がりました。

当院看護部からも2人の師長が発表をしました。教育師長の梶原さんは緩和ケアを学ぶ看護師への教育体制について、当院で行われているELNEC-Jをグループ内で広めていってはどうかという提案をしました。もう一人棟方師長は認知症対応カンフォータブル・ケアを実践し続けることは、認知症緩和ケアと同義語じゃないかと気づいた、という内容の発表をしました。

発表後にはそれぞれ反響がありました。緩和ケア認定看護師さんが一人のところから、ELNECーJの講師を何人かで分担して、東・西日本でやれるのではないか、とか講師を派遣してほしいとか。

またあるドクターが棟方師長のところへやってきて「今日あなたの発表を聞いたのが一番の収穫でした。感動しました」と言っていただきました。

そのほか、何年も前に当院の緩和ケアを学びに来たナースが、今は緩和ケア病棟のある病院に転勤し、中心スタッフとして働いていると報告してくれたり、いままでポツンポツンとやってきたことが線でつながり面になりつつあることを実感しました。

なんともいえない、幸福感に包まれ会を後にしました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
収穫の秋、て感じです。

転職をお考えの看護師さんへ

緩和ケア病棟見学会のお知らせ

札幌南徳洲会病院では、緩和ケア病棟で勤務する看護師さんを募集中です。

緩和ケア病棟の見学会を開催しますので、ぜひいらしてください。

日時:R5年10月14日(土)・11月11日(土)・12月16日(土)いずれも10:00~12:00

お問い合わせ・お申し込みは こちらから(←クリック)

伝えると伝わるの間

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
コロナでストップしていた集合研修が、あちこちで再開されるようになりました。


私も、法人内の師長研修で講義を受け持つことになり、春から決まっていたことなのに、やっぱりぎりぎりにならないと準備をしないという性分。困ったものです。一方で、自分が研修を受けているときには、講師あるいは講義について「どう伝えているか」「なにか盗めるものはないか」という視点で見ています。

そんな中で感じたのは、「伝える」というのは技術以上に人間力だなと痛感しました。

知識はもちろん、それに基づいた経験、そこに「伝えたい」という熱量が加わって、「体を通ったことば」になるのだと思います。

尊敬している石垣靖子先生の講義は、ささやくような語り口で、概念と事例との間を行ったり来たりします。うっかり聞き逃さないように、耳をそばだてて、ついつい前のめりになります。語られる事例の細やかさはひとつの物語のようで、プロの朗読を聞いたような心持になります。

もう一人、勝原裕美子先生は概念と事例の間を俯瞰したり、接近したりを繰り返します。そこでは参加者と対話しながらコーチングを行うので、参加者は自分自身の中にある答えに気づきます。まるで魔法にかかったようになります。そこにいるだけで、何かを体得したように感じて帰ることができるのです。

おふたりのことばは、もちろん「よいことば」を選んでいるだけでなく、日ごろから他者に対する敬意をもって接していることが伝わります。それが言葉のニュアンスとか温かみというベールをまとって、相手に渡される感じがするのです。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
いつも丁寧に。