2023年8月
9月第一日曜日
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
お盆が過ぎてもまだまだ暑い毎日ですが、いよいよ8月も終わり。
今度の日曜日は年に一度の防災訓練の日です。
2018年の9月6日に起きた胆振東部地震。
この5年間で、あの時には入職していなかった職員も増えてきました。
里塚の旧病院で、地震とそれに付随した2日間の停電。
電気がつけばなんということもなく日常が戻ってきたのですが、それがわからない間は一日千秋の思いでした。
写真を見れば、みんなで声を掛け合って、頑張ったよなあという思いがよみがえってきます。
今同じような地震が起きたらどうするか?
以前と違うのは非常用電源が丸2日位は持つこと。
だから初動段階でできること・できないことを見極めて、自分たちのBCPを発動していけばいい。
まずはそこからだ。
そしてできるなら地域の方たちが安心できるような病院でありたい。ケガや病気だけじゃなく、スマホの充電とか、トイレとかね。
あの地震のときに活躍した病棟師長さんは、その後災害支援を積極的にやっている病院に勉強に行き、さらに独学で勉強して「防災士」の資格まで取りに行ってきました。
人生何がきっかけになるかわかりません。
学んできたことを、みんなで共有できるようにしてくれました。
毎年9月の第一日曜日はそんなわけで、当院にとっては大事な日。
同じことを繰り返しているようだけど、実はそれが大事なんだな。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
人は忘れていくからね。
体温
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
残暑というにはまだまだ先がありそうな、お盆明けです。
先日ホスピスに入院中の患者さんのところへ、ワンちゃんの面会がありました。
話には聞いていたのですが、病室でのペットとの面会。
実際のところを知ったのは今回が初めてです。
おとなしいワンちゃんが2匹、ベッドの上に乗り、患者さんの手に抱っこされました。
「久しぶり。ねえどうしてここにいるの?」
「いつ帰ってくる?」
問いかけているような、かわいいお顔です。
ナースが記念写真を撮り、事務クラークがプリントしてプレゼント。
日常的によく写真を撮りますので、お手の物です。
それから、8/19(土)北海道新聞の朝刊に載っていた、作家・桜木紫乃さんのコラム。
愛犬を亡くしてから夢を見ることが多く、それも動物の体温を感じる夢ばかり、と書かれていました。
そう、ペットの存在って体温だなあとそれを読んで思いました。
手で触れ、ほっぺたをくっつけ、鼻をうずめて感じる体温。
そうすることが許されている飼い主との絶対的な信頼関係。
それが体温を通じて伝わるのですね。
この時ばかりは病気のことも忘れて、愛おしいこころのままに。
これが大事なんだな。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
動物って黙って寄り添ってくれるよね。
※患者さんとご家族には写真使用の許可は得ており、感謝いたします。
田村恵子先生をお迎えして
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
8月5日土曜日の午後、ホスピス緩和ケア界の草分け的存在である、田村恵子先生(大阪歯科大学 専任教授・がん看護専門看護師)が講演をしてくださいました。(NPO法人ホスピスのこころ研究所主催)
私自身、初めてお話を聴く機会でしたので、とても楽しみにしていました。
本や雑誌でお顔は拝見してましたが、実物の先生は私よりも小柄な方でした。シシリー・ソンダーズにいっぱいハグしてもらったり、サインしてもらった本が宝物だ、とおっしゃる田村先生はとても愛らしい方だなあと思いました。
さて、お話はホスピスの歴史から始まりました。
ホスピスというのは、旅人(巡礼者)をもてなす、とか傷病者のための安息所という意味を持つhospitiumを語源としています。
「ホスピス」ということばがカナダのフランス語圏ではネガティブなイメージで受け取られたため、palliate(緩和するのラテン語)、palliun(体を覆いつくすほどのマントで包み込む)からpalliative care(緩和ケア)に変化していったのだそうです。
日本においても、ホスピスと緩和ケアはどちらも患者の苦痛や苦悩を和らげることなのに、ホスピスは「死を待つ場所」と受け取られることがあり、そこから「緩和ケア」やPCU(palliative care unit)、BSC(best supportive care)のように受け入れられやすい言葉に変化していった経緯があると、前野総長から聞いたことがあります。
当院が新築移転した際に、病棟に何か名称をつけようとしたのですが、私たちの根底には「ホスピス」が根付いているから、シンプルにホスピス西病棟、ホスピス東病棟という風にしようと落ち着いたのでした。田村先生曰く、ホスピスとは「死にゆく者が静かで豊かな環境の中で家族と最期の時を迎える場所」と仰いました。苦痛や苦悩を和らげて、その人らしく最期まで生ききる場所。生き抜く場所。それがホスピスという場所です。誤解なく伝わるといいなと思います。
2時間という講演はあっという間でした。
最後にホスピスで忙しく働くナースに何かエールをお願いします、というと
「熱いマインドを持つこと。
寄り添いたい、関わりたい、それは理屈ではない。
心から湧き上がる思いを大事にしてください。
患者さんへかける時間はそれぞれ違うかも知れません。
必要とされる関わり、内容はそれぞれ違います。私たち看護師にとっても時間は有限だから、公平とか平等とかにこだわるのではなく、今この人に必要なケアをアセスメントして、たった5分でいいからきちんと向き合うことです」ということばに胸がアツくなりました。
自分自身をも大事にしながら目の前の人をケアする。そしてこれでよかったのかなあと教えていただく。そういうことですよね!
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
パワー、いただきました!
スイカ
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
毎日暑い中、街路樹が少し赤くなってきました。「もうそろそろ秋にしましょう」ということでしょうか。
当院に併設されている保育園には、1歳から4歳までのお子さんが通っています。
狭いながらも楽しい保育園になるように、いろいろやってます。
今年はプランターでお花や野菜の他、スイカ作りに挑戦しました。
家庭菜園で成功したことのある、地域看護室の棟方師長が師匠になり、水のやり方や人工授粉のタイミング、実が傷つかないようにベッドを作ってあげること、などのアドバイスをもらいました。
ラグビーボールのようなスイカ。
見るたびに少しずつ大きくなってきて、大人も子供も毎日スイカをチェック!
できたら「スイカわり」なんかもやってみたいと欲がでてきたところで、つるの途中からちぎれているのを発見!残念ながらここで成長は止まってしまいました。棟方師長の話では、あと2週間位成熟するのを待ちたかったのだそうです。
主任の保育士さんが、子供たちの朝の会でスイカわりとはどんなことかを身振り手振りで伝えました。
それから包丁を持ち出して、スイカをまな板の上に置きました。
私も含め、大人たちは「きっとスイカの中は成長しておらず、実も白くて食べられないだろう」と思っていました。
「スイカは何色だと思う?」
子供たちはそろって「赤!」と言います。
包丁の切れ目に視線が集まり、期待が高まります。
そして、切って見ると断面はうすい赤色でした!そしてスイカのいい匂いがします。
でもきっと味は・・と思っていたところ、味見した子供が「甘~い」と言うではありませんか!
え~?!小さく切ったスイカを一切れ、私と棟方師長もいただきました。
ほんとだ、甘い!
「おいしいね!」おかわりする子もいました。
結果オーライ、子供たちにはスイカを切るワクワクが伝わり、みんなで食べた楽しさも感じられたと思います。
私は自分の子供たちが幼児の頃、こんな風に食べ物のできる過程をゆっくり楽しむことができませんでした。
親としての在り方にはいろいろと後悔があります。
だからといってはなんですが、少しでもそんな楽しさ、美味しさが伝わるといいなと思います。
でもやっているとわたしの方が、成長する環境を整えたり、じっと待つことを教わっている気がします。
食育とは子供のためばかりではなく、関わる大人も育てられるのですね。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
子供たちの笑顔が次の原動力。
※この経過は公式instagramの札幌南徳洲会病院poro_minaで見ることができます。