2023年2月
何を召し上がりたいですか?
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
病院の食事というと「おいしくないもの」と、世間一般に考えられているようです。
手前みそで恐縮ですが、当院の食事は「おいしい」と言っていただけることが多いです。
転院されてきた患者さんが、よく、そうおっしゃってくださいます。
私も時々職員食堂でお昼をいただいてますが、味付けがよく、楽しみにしています。
輸入食材はなるべく使わないという、管理栄養士さんの心意気も好きです。
さて昨年からホスピスで、試験的に始めた「お楽しみ食」。
月に1度、たったお一人の患者さんのためだけに、リクエストにお応えして特別なお食事を提供しています。
病院給食という概念を取り払い、出来るものをおつくりしますよ、というコンセプトで始まりました。
お手本にしたのは、淀川キリスト教病院の「リクエスト食」です。
これまでのリクエストで断トツ多かったのは「揚げたての天ぷら」。
やっぱり揚げたてをサクっと音を立てていただく、これは普通の給食ではなかなかかなわないものでして。
ホスピス病棟内の小さなキッチンで、油を温めて衣をつけた素材を、白衣の調理師さんが手際よくあげていきます。
添えられた天つゆ、大根おろし。それから少量のお刺身。お新香。
揚げたてをサービスしてくれて、まるで本物の天ぷら屋さんのランチのようです。
作って提供する喜びもさることながら、食べる患者さんの身体のコンディションが重要なのです。
ぜひ一番の大好物を召し上がって、笑顔でお過ごしください。
ちなみに先日のリクエストは「お雑煮」。
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あなたなら何を注文しますか?
忍者の修行
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
先日、保育園内の壁にこんな手紙が張り出されていました。
「とまとほいくえんのみんなへ
このまえのしゅぎょう、とてもじょうずだった
こっそりみていた
きょうは
くぐりのじゅつ
わるにんじゃにかくされたしゅりけんさがし
をみんなにたのみたい
じょうずにできたらごうかくだ
にんじゃより」
どうやら忍者からのお手紙です。
少し前から、忍者の手紙が3通ほど来ていたようです。しかも巻物になって。
お部屋の中でジャンプするのも修行のひとつだそうです。
保育士さんが外の遊び場に手裏剣をこっそり仕込んであって、手紙通り子供たちはそれを探すのが修行のひとつになっているとか。
聞いているだけでワクワクします。
2017年に短期研修でデンマークを訪れたことがあります。
「森のようちえん」を見学させてもらったのですが、そのとき「3匹のやぎのがらがらどん」という絵本をテーマに、幼稚園とその広い敷地全部を使って、物語を楽しむ仕掛けがされていました。
3匹のやぎは、橋の向こうにある広い草原に行ってお腹いっぱい草を食べたいと思っているのですが、橋の下にはトロールという怪物がいて、橋を渡ろうとすると自分たちが食べられてしまう、じゃあどうやって渡ろうか、と考える冒険のお話です。
自然いっぱいの敷地を、子供たちは自由に行き来し、木枝を使ってトロールをやっつけるとか、落とし穴を準備するとか発想をして実際に作っていくのです。
1年間の間には劇で発表したり、絵を描いたり、繰り返し3匹のヤギのがらがらどんの世界を体験することで、物語が子供たちの中に沁みこみ、知らず知らず想像力を働かせるようになっていく。
物語と現実を行ったり来たり、ユニークな教育だと思いました。
忍者の手紙を読んで、ふいにそんなことが思い出されました。
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きみたちのせいちょうをかげからみまもっているよ。
宝石のようなご縁
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
最近透析室では「南徳 透析通信」と名付けた、こんな取り組みをしています。
クリスマスやお正月のごちそう、何をどう食べたらいいのか?
冷えや便秘など体調を整えるツボはどこか?
など、気持ちよく過ごせるポイントを掲示板いっぱいに表しています。
患者さんからの反応も「いいね!」シールなどでいただき、ちょっとしたコミュニケーションの場にもなっているようです。
さてこの頃うれしいのは、当院のケアがいいと感じて就職を希望される方がいらっしゃることです。
・施設の入居者さんを外来受診にお連れしたときの、職員の対応がやさしかった
・以前ホスピスで家族をケアしてもらい、自分もその中で働いてみたいと思った
・看護添書(病院同士のお手紙)に書かれている言葉を読むと、患者さんが大事にされていると感じた
こうした話を聴くのは、とてもうれしいですね。日々のケアの積み重ねであり、そこにスタッフの真心がこもっているからだと思います。
だからといって「そこで自分も仲間になって働く」という気持ちにまでなるのか、と考えさせられます。
そしておそらくそういう気持ちになるほどの関わりだったんだろう、そしてその一員になりたいと感じられる気安さもあったのかな?と思い、胸がアツくなります。
期待を持って来てくださる方をがっかりさせないようにしたいと、姿勢が伸びる気もします。
「札幌南徳洲会はいつも看護師を募集していない」と変な噂が流れているようですが(笑)私どもは現在も看護師さんを募集しております。
看護師たちが自分の生活を大事にしながら、患者さんとご家族によいケアを続けていく、そのために今、看護師を増やしたいと考えています。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
関心のある方に、どうかこの思いが届きますように。
おにぎり
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
週末映画を観に行ってきました。その中でおにぎりが何度か出てくるんですよ。
コンビニのじゃなくて、家族が握ったおにぎり。
美味しそうだなと思って見ていました。
新人だった頃、少しだけ怖い先輩がいて、その人が握るおにぎりをもらったら、一人前と思われた証拠、なんていう人がいた。ある夜勤明けの朝、出勤してきたその先輩と休憩室で一緒になった。昨夜は急変も緊急入院もあって、今日はたぶん昼頃までかかりそうだなという、ぐだぐだの朝だった。先輩は鞄の中から大きなおにぎりを出して、黙って私の手にポンとくれたのだ。この先輩からおにぎりがもらえる日が来るなんて、それもこんなへとへとの朝に。あまりに唐突だったので、しばらくポカンとしてしまった。私が一人前かどうかはともかく、そのおにぎりはありがたかった。てのひらにまだほんのり温かく、とてもおいしかった。
それから、看護助手の人からもおにぎりをもらった。ご主人と息子さんに作ったのと同じだよ、と手渡されたそのおにぎりは野球のボールよりも大きくて、食べると具が3種類入っていた。梅と鮭と昆布。たまにザンギ(鳥の唐揚げ)がごろんとひとつ入っていることもあった。「〇〇さんの3種混合」と呼ばれていて、もらえるとツイてる!と思える一日になった。
それからもう3年ほど前のことだけれど、ある方からおにぎりをいただいた。小ぶりの三角形で、男性なら3口くらいで食べきれるかわいいサイズ。ごはんの炊き加減、塩加減と握る強さが絶妙で、一口かじると口の中でご飯がほどけるように広がり、こんな美味しいおにぎりは初めてだった。体が喜ぶ、といったらいいのか、「体にいいものを食べた」と感じられる、そんなおにぎりだった。記憶は鮮烈に残っているけれど、もう食べることはかなわない。本当に、ごちそうさまでした。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
おにぎりも一期一会だなあ。
写真は法人グループの笠利病院の看護部長さんから送られてきた、奄美の緋寒桜。
同じ2月なのにかたや雪の中、日本はスゴイですね。