2019年5月
病院見学会のお知らせ
再び・なぜカンフォータブルケアなのか?に答えます
週末は京都で開催された日本認知症ケア学会に参加してきました。2年前から取り組んできた認知症対応カンフォータブルケアについて、効果があったことを発表するためです。機能評価受審が迫る中、師長さん2人との共同研究は忙しい中でも楽しいものでした。
口演した病棟師長さんはとても緊張していましたが、練習の甲斐あって落ち着いた声でゆっくりと発表でき、見ていた私もホッとひと安心しました。
終わって質問が2、3ありました。
そのひとつに「どうして(他のケア技術ではなく)カンフォータブルケアを選んだのか?」という問いがありました。詳しくは過去のブログを読んで頂ければ幸いですけれども、振り返って考えるとこれはきっかけを作ってくれたM師長さんの直感だったと思います。
直感で決めた!カンフォータブル・ケア
職種に関係なくみんなで取り組める。
言葉がやさしく敷居が低い感じ。
当たり前のことばかりで難しいと感じない。
特別な道具や高い研修費がかからない。
そして南さんの「現場のケアを良くしたい」という情熱。
みんなでこれに取り組んだら、患者さんだけじゃなく自分達もポジティブに仕事ができるんじゃないか、と信じられる何か。
こんなところが小規模の当院に合っていたと直感したのです。
ただし南さんは「みんなで同じ思いで取り組まないとうまくいかない。誰かが、私はやらない、と言い出すと台無しになる。」とおっしゃってました。だから私達は全員にこの研修を受けてもらって、意義を理解し共感してもらうことからできるだけ丁寧に始めました。
患者さんに良いケアを提供して周辺症状が良くなっていく。
それが実感できたことで、スタッフはこのシンプルなものを、まっすぐ受け取ってくれたのだと思います。
この2年間私達はカンフォータブルケアに取り組んで、成果を実感しました。患者さんの笑顔が増えて、薬の量と行動制限が減りました。看護師の言葉は変化し介護福祉士達はイベントを提供して患者さんを喜ばせようと一所懸命やってくれています。
お金のない病院や施設ほど向いている
研修にお金をかけられない中小の病院や高齢者施設ほど、カンフォータブルケアは導入しやすいように思います。
南さんご自身は全国にこの取り組みを広めたい、現場をよくしたい、という一心で活動されてますから。
現場の様子を見たい!という方は是非見学にお越し下さい。
まだまだ発展途上ではありますが、何かを感じていただける程度にはなってると自負しています。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
どれが一番とか正しいとかでなく。
病室でイチゴ狩り⁉
今年もボランティアの方々と職員のおかげで「あ・ぐり~んプロジェクト」の土づくりや種まきが一通り終わりました。
年々段取りがよくなって、患者さんの寝間着を泥で汚すようなこともなく、疲れさせずに楽しく過ごすことができるようになったな、と感じています。
病院前の植え込みには今年もいちごとじゃがいも「きたあかり」が植えられて、ここ最近の日当たりと追肥が功を奏してイチゴの花も大きく、ぐんぐん茎が伸びてきています。
昨年は6月下旬にいちご狩りの日だったのですが、当日は強い風が吹いてとても寒い日でした。
それで患者さんには1Fフロアに集まっていただき、ボランティアさんがイチゴを摘んできてくれて、その場で採れたてイチゴをひとつふたつと食べていただきました。
長雨の影響で、味はどうかなと心配していましたが、小粒で甘いイチゴになったようです。
屋上「ふれあいそらのガーデン」ではプランターでもイチゴを育てています。
2年前ホスピスで療養されている方のところへプランターごと運び、ベッドサイドでもイチゴ狩りをしていただきました。
患者さんにとってはベッドサイドでイチゴ狩りなんて思いがけないことでしたので、大変驚かれて、喜んでいただきました。
今年もお陽さまをたっぷり浴びた新鮮なイチゴの香りを、届けられますように頑張りたいと思います。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
病院らしくないことをこれからも。
ボランティアさん感謝の集い2019
少し前になりますが4月24日、ボランティアグループ「せら」のみなさんと感謝の集いを開きました。
2016年の1月着任してひと月ほどたったころ、私はボランティアさんたちにご挨拶しようとお声をかけていました。そのころは毎週水曜の午後ホスピスでお茶会を開くのと病棟内の飾りつけをしていただいてたのですが、人数は登録7名ほどで、毎週来られていた方が3~4名くらいでした。
挨拶したのと同時に「この春でボランティアを辞めようと思っています」と次々言われ、「え~?どうしよう!」と焦ったのがついこの間のような気がします。
ホスピスでは水曜日のお茶会を楽しみにしている方が大勢いらっしゃるので、なんとかお茶会だけでも存続を・・と必死に募集をかけて、ボランティア養成講座を開いたりしたのも懐かしい思い出です。
それから数年、今では30名以上の方が熱心に活動を支えてくださっています。
みなさんへの感謝の気持ちを表すために年に一度、ささやかなこの集いを必ず開催しています。
リフレクソロジー1000回を表彰!
そのボランティアの中心になっていただいている、元師長の鈴木孝子さんは、仕事をしながら「英国式リフレクソロジー」というマッサージの資格を取り、定年退職後はボランティア・コーディネーターをしながら、患者さん・ご家族・職員にそのマッサージを施してくれています。私も数回受けたことがありますが、むくんだ足が軽くなり、おしゃべりで心が軽くなり、全身癒されて家路に着くことができました。
このたびその活動が昨年の11月で1000回を超えましたので、表彰状を院長から渡されました。
いつも明るく、おやじギャグを飛ばしながら、ボランティアさんをまあるくまとめてくださり、感謝しています。
ボランティア活動は多彩・院内全体に広がる
ボランティア「せら」の活動は今や院内全体に渡っています。
お茶会・イベント・飾りつけ・裁縫・園芸・音楽・傾聴・お掃除とそれぞれが得意なことをしていただいて、活動後のおしゃべりに花を咲かせ、ここへ来るのを楽しみにしてくださっています。
職員もボランティアさんの活動から何かを感じているし、ボランティアさんも職員と同じ研修会に参加したりしてまるで病院職員と同じような存在になっています。
私は会場を準備しながら、今、ボランティアさんが一人もいないこの病院は想像できないな、と思いました。
もしボランティアさんがいなければ、病院の中はたちまち色彩のない、殺風景な景色になってしまうでしょう。
物理的にも心情的にも。それくらい、重要な存在です。
去年の活動のスライドを見て振り返りながら、なんて素敵な人たちが集まってるんだろうなとつくづく感じました。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
「ここへ来るのが楽しい。わくわくする」というコトバが最高にうれしいです。
なお今年もボランティアを募集します!詳しくはこちらをご覧ください↓
居酒屋ばぁば ~人生フルーツその後~
元号が変わり、史上初の10連休となったゴールデンウィークですが、病院は途中5月2日に通常診療をしました。
年末年始も連休も、病院は24時間365日の仕事。
患者さんを守ってくれる職員がいるから、私は夜寝ることができる。
おかげさまと感謝しています。
お休み中、ネットであれこれ調べているときに偶然映画「人生フルーツ」の奥様・津端英子さんの「その後」を見つけました。
この映画、今もシアターキノ(札幌)で月一で上映されています。
軽やかなピアノの音楽を背景に、津端さんご夫妻の日常生活が淡々と描かれています。
畑を作り、実がなって、枯葉で肥料を作り、また畑に漉き込む。
できた作物で手作りの料理をし、お菓子を作る。
周囲の人に手書きのはがきを送る。作物を分けて送る。
その生活の延長上にごくごく自然な形で死が訪れる。
死は特別なことではなく、時計が止まるように。
ナレーターは樹木希林さん。穏やかな言葉が映像に深みと味わいをつけてくれます。
「人生フルーツ」のその後、英子さんはどうされているんだろう。
あの大きな家で今も畑を守り、日々を丁寧に暮らしているのだろうか。
よけいなお世話ですが、勝手に心配していました。
2017年の動画ですが、この「居酒屋ばぁば」、英子さんと樹木希林さんの女子会です。
お二人の結婚観や人生観が伝わってきます。
英子さんの大事にしている、「ときをためる暮らし」。
私にはとてもできないけれども、少なくともちゃんとしたものを食べることや自分の体の声を聴くこと、家族を大事にすることは心がけようと思ったのでした。
https://joholinear.com/all-about-tsubata-hideko/
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
今は鬼籍に入った樹木希林さんの、内田裕也さんを想う気持ちもいいんだな。