2018年5月
桜のじゅうたん踏みしめて ~ちょっと遅めのお花見会~
新鮮な空気。
強すぎない日光。
やわらかく流れる風。
桜の花びらのじゅうたん。
札幌ではお花見というと、5月の連休の頃を連想しますが、ここホスピスのお花見会は今年5月23日(水)に行われました。
連休あたりは混みますし、何より気候が安定してなくて寒いので。
なのでちょっと遅いかな~と思いつつ、今年は23日に決めたのです。
ソメイヨシノはもちろん終わってましたが、八重桜はまだまだ満開中。
平岡樹芸センターhttps://www.sapporo-park.or.jp/jyugei/
は人もまばらで空いています。(ラッキー!)
ここに患者さんとご家族と職員合わせて50名ほど、車4台でピストン輸送。
真ん中の広場でボランティアさんがテーブルを広げ、温かいお茶とコーヒーを用意して迎えてくれました。
「外出は数か月ぶり」という方。
「ここは亡くなった父と来た想い出の場所。」というご家族さん。
「まだ桜が見られるとは思わなかったわ。」と目を潤ませた方。
ちょっぴりビールを口にしたり、
にわか手品師になって大笑いしたり。
一緒に来られなかった方へ桜の花びらを集めて持ち帰る職員がいました。
訪問診療を終えて院長も途中から合流しました。
その日その瞬間を大事に大事に。
輝くような笑顔の写真をたくさん撮って、やさしい時間を共にしました。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
もっといろいろできるといいなぁ。
再び認知症ケアの先生・南敦司さんをお迎えして
認知症というコトバが定着する一昔前までは、痴呆症と言われていました。
高齢の家族に痴呆症の人がいると、ご近所には知られたくない、家の外に出さないというような時代があり、
病院の中でも認知症の患者は言葉で抑えつけられたり、身体を縛られたり、薬で寝かせきりにさせられたりしていました。
今、当院では「カンフォータブル・ケア」という技術を取り入れて、患者さんが心穏やかに過ごせるようにしようとしています。
去年の9月にこの「カンフォータブル・ケア」を提唱している南敦司さんをお呼びして、研修会をしたのがきっかけです。
https://sapporominami.com/nurse/category/blog-c/dementia/
それはそれは楽しい研修でした。現場で起こる「あるある」な出来事を軸にして、南さんの話はとにかく面白い。(関西人だから、というのも多分あります)
ケアの10の原則を身振り手振りで説明してくださって、小さなグループワークがあって、まるで私たちの脳を活性化するかのように楽しくて引き込まれました。
研修の後、認知症の患者さんにこの技術を使ってみたい気持ちでわくわくしたのです。
ただ、その時は終業後の時間だったので、多くの人に聴いてもらうことが出来なかった。
それで今年は2回、同じ研修をしてたくさんの人に聴いてもらおうということになったのです。
師長さんたちには2回の研修にできるだけ多くの人を出してもらうようにお願いしました。
そして看護部だけじゃなく、病院全体にもできるだけ出てねとお願いしました。
今や南さんは全国区の講師なんです。めったにこんなチャンスは作れません。
当日は南さんに4時間たっぷりしゃべってもらって、約50人位の人が参加できました。
ボランティアさんや向いの施設職員にも呼びかけました。
次回も同じくらい出られたら、職員の2/3の人がこれを聴いたことになる。
10の原則のひとつひとつはそれほど難しいことじゃありません。
ひとりひとりが1つでも続けて実践してくれたらずいぶんいいことだと思います。
ひとつ習慣化したら次の原則を取り入れる。
そうして病院職員の2/3がこれを習慣化してくれたらもっとすごいことです。
研修ってのはそういう風に実践行動にしてくれるのを狙ってるんですよね。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
いい、と思うことを地道に続けよう。
身体がよろこぶ!!土の匂い
今週も「あ!ぐり~んプロジェクト」のお話です。
5/9は正面玄関前の花壇と、4Fサンルームで「ふれあい空のガーデン」のプランターに種まきをしました。
植物のある環境や植物を育てる活動を取り入れることは、心身機能の改善や認知症予防につながるというお話を、去年ボランティアでもある、園芸療法士の土角千尋さんから教わりました。
過去のブログ⇒ https://sapporominami.com/nurse/category/blog-c/kandan/
そこで今年はぜひ土づくりのところから患者さんに関わってもらいたいと思っていました。
ガーデニングチームのリーダー、徳光三千代さんがあちこちで苗や種を買い集め、細かい段取りを準備してくれました。
外はめちゃめちゃ寒かったので、花壇の方はボランティアさんたちにお任せして、患者さんには4Fに集まってもらいました。
桶に土と肥料を入れて膝の上でまぜまぜ。
それをプランターに入れて。
吹き飛びそうな小さなバジルの種は、泥団子にまぜて。
車いすに座ったままでも、こうして種植えができる。
身体が思うように動かなくって、もう畑仕事は叶わなくなったという方も、久しぶりに土に触れ、においをかいで懐かしい感覚を呼び戻したのでは・・と思います。
そしてそして、実は私たちが4Fでこうしている間に、別のボランティアさん2人はベッドから降りられない方のところへ、土を出前していたことを後から知りました。
ある方は指が拘縮(かたくなって動かないこと)していたのですが、土に触るとあら不思議、動かないと思っていた指が土をにぎにぎしていたのです。そしてふわっとやさしいお顔で笑って下さった。終わったあとも「楽しかった~」と言ってくださったとか。
ボランティアさんが「感動しました~~」と教えてくださって、それがまた嬉しい。
去年もそうでしたが、園芸を通して患者さんが役割を持ち、意欲が高まったり、普段は見せない姿や力を発揮するのに驚きます。このあとは自分で植えた種がその後どうなったのかを見にくることにつながりますし、成長をしたものを愛で、収穫を楽しみ、給食で食べていただけたらと思います。
今日もこのブログに来て下さりありがとうございます。
ボランティア「せら」のみなさんありがとう~~多くの人に支えられて、成り立ってます。
今年もあ!ぐり~んプロジェクト始動!
spring has come!
今年も畑の季節がやってまいりました。
一昨年から病院周囲の小さなスペースを使って、野菜や花壇を作って楽しんでいます。
去年はそれに「あ!ぐり~んプロジェクト」という名前を付けて面白がっていました。
患者さんも24時間病気のことばかり考えたり戦っているわけじゃない。
ほんのちょっとした、いつもと違うことが楽しいと思ってもらえたら、その日は少しいい日になるに違いない。
なんてことを考えてました。
「今日は午後2時から種イモを植えるよ」と朝礼や通りすがりに言って歩きました。
そしたら2時前に温かい上着を着た患者さんが何人も車いすで来てくれました。
同じ数だけ職員も一緒です。
あらかじめ掘り返した土の中に種イモを入れました。
昔は私も野菜作ってたの・・といいながら器用にベストポイントに着地。
隣ではイチゴがいくつか花を咲かせています。
筆を使って授粉をお願いしました。
「収穫したら俺も食べていいのか?」
「もちろんです。」
「おお!じゃあ一杯たべるぞ!」
あっという間の10分間でした。
雨がぽちっと降りだしてちょうどいい頃合い。
「去年は私と患者さん一人だったんです。それが今年は詰所のみんなが誰を連れていくか、何時に着替えるかってみんなでわいわいして降りてきたんです。患者さんが笑顔でお部屋に帰るのを見たら、自分たちも行きたくなるんですよね。それがうれしくて・・・」
と目をうるうるさせてくれた師長さん。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
その目を見てこちらまでうるうる・・。