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看護部からのお知らせ

人間的な判断はチームで行う~柏木哲夫先生の講演から

ホームケアクリニック札幌は10年前に緩和ケア専門の在宅診療所として産声を上げました。
当院総長の前野先生と田中師長さん、ソーシャルワーカーの故提箸さんの3人でスタートし、10年の間に変化しながら、地域の中で必要とされていることをコツコツ丁寧に続けてきました。

先日札幌市中心部で10周年記念の講演会が行われました。
記念講演をされた柏木哲夫先生は日本のホスピスを築いてこられた方で、前野総長の師匠です。
ということは当院のマインドも柏木先生の教えから続いているもの、ということです。
本もたくさん出版されています。どの本も温かい言葉でつづられていて、人は死の間際までユーモアを持つことができると、先生の本で知りました。

そんな先生の講演を間近に聴くのは初めてです。
聴衆の半分は一般市民の方でしたので、先生は易しい言葉を選んでお話されました。

人間的な判断はチームで行う

患者さんを診るとき、当たり前のことですが医師は医学的判断、看護師は看護的判断をします。ソーシャルワーカーは社会制度から見た判断、理学療法士は身体運動機能からの判断となります。
それぞれは専門的ですが一つの方向からだとその人の全体像は見えません。

一人一人の専門職集団が、自分の領域から見聞きしたことを一つの場で話し合い、情報を共有することによってその人の全体像をとらえることができるのです。
全体像を人として見て関わるためには、偏らないでメンバーが何でもいえる場を作ること、そして他のメンバーの意見を受け止めて、リーダーがそれをまとめる必要があるのです。
これが今医療界で言われているチーム医療です。
でもこれがなかなかできてないことが多いのです。
医師も看護師もソーシャルワーカーもそのほかの職種も、対等にモノがいえないところがまだまだいっぱいあるのです。

柏木先生は「人間的な」とおっしゃいました。
人間的な判断をするには医学的専門的判断だけでは偏りが生じるので、様々な視点が必要なのです。
いいこともよくないこともありのまま受け止める寛容さを、チーム全体で持つというニュアンスが、先生のお話から感じられました。
それには、弱さを出してもいい場を保証し、見下したりせず穏やかに話し合える場にならないといけないのでしょう。
見栄やプライド、専門用語で覆って、意見を言うと批判に聞こえてしまうような場や、話す人は決まっていて一言もしゃべらない人がいるのでは、表面的な話に終わってしまうのです。
医療者は特に謙虚で素直になって、他者の話をよく聴く必要があります。

って「言うは易き、行なうは難し」ですね。
若い世代が、基礎教育のところから一人の患者さんについて対等に話し合うトレーニングを積むべきじゃないか?と思います。
人間とは?とか生きるとは?という話を柔らかい頭で話し合い、患者さんの話を聞くことにもっと時間を割いたらいいな。きっと。

そうしてお互いに聞きあうことで、人間性がはぐくまれていくのだと思います。

新人時代お世話になった矢崎先生も会場に!

 

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
人の話をよく聴いてないことが多い私は、ちゃんと聴こうと思います。