人を幸せにするケア・POOマスターが2人誕生!
お食事しながらこのブログを開いた方にはごめんなさい。
今日は「便」がテーマのお話です。
石川県で保健師をしている榊原千秋さんと出会ったのは2年前。とある講演会の後の懇親会で、私はたまたま榊原さんの真向かいに座りました。
初対面だったので、お互いの仕事を自己紹介したときに、榊原さんが排便ケアのPOOマスターという取り組みをしていると教えていただきました。
病院や施設にいる高齢者の多くは排便がスムーズではなく、下剤を服用したり、3、4日便が出なければ浣腸をかけて出しています。
私も長年看護師をしていて便を柔らかくする薬と、腸の蠕動を促す薬を調節するのが当たり前と考えてきたのですが、薬に頼ると量が増えていきますし、その人の持つ排泄の力が失われてしまうのだそうです。
排便のメカニズムやその人の排便習慣を観察して、適切なケアを提供できると、気持ちよく出すことができる。
すっきりすると自然と食欲が湧き、元気になっていくもの。
その力を取り戻すために「POOマスター」(POOは“うんち“の意味)という講座を立ち上げ、全国で指導されていたのが、榊原さんだったのです。
私はお話にぐいぐい引き込まれました。
便秘と下痢を繰り返したり、おむつで排泄される方が看護師のケアで「気持ちよく」排泄できたら、どんなにいいでしょう。排泄は人間の尊厳にかかわることですし、できるなら人の手を介さず、自然にすっきりしたいものです。
「工藤さん、札幌で講座を開くときはきっとスタッフを来させてね。スタッフも元気になる講座だから」とにっこり笑っておっしゃったので「はい、わかりました」と即答しました。
このキラキラしたオーラは只者ではない。
実践に裏打ちされた自信と誇りに満ちている。
私はアンテナがピンと立って「絶対スタッフを出そう」と心に決めていたのです。
そして2020年。
当院から2名のナースが無事この講座を修了しました。
こういう時は関心のある人が行くのが一番です。
POOマスター講座は、単なる座学と違い、学んだことを実践して次の回を迎えるようなプログラムになっています。
当然「自分だったらどうやってこのことをみんなに伝えようか」と能動的な受講になるでしょう。
副主任Oさんの講義は、榊原さんが乗り移ったような迫力がありました。
そのあと日をあけて2度目の講座の後は患者さんの排便日誌をつけて、それに合ったケアを提供するという宿題でした。
詳しいことは割愛しますけれども、はっきり申しますね。
これは確実に患者さんを幸せにするケアです。
二人の受け持ち患者さんが教えてくださいました。
「やや硬めのいいうんこがすっきりと出て気持ち良かった」と。
健康な人にとっては当たり前の言葉ですが、これは私たちにとって、とても価値ある言葉なんです。
そして彼女たちの看護記録が明らかに変わりました。
お見せできないのが残念ですけど、排泄ケアのプロフェッショナルの記録です。
いろんなケアのプロがいて、だんだん高齢者ケアがアップしていく。
患者さんが喜んでくださると看護師も喜び、もっとよくしてあげたいと思う。
ご縁が結んでくれたケアに感謝です。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
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