がんと表現
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
連休中札幌はお天気に恵まれ、さわやかな風が吹いて過ごしやすい気候です。
桜というのは、長い冬が終わって一斉に咲きだすピンク色や、吹雪のように終わる潔さが、日本人の心情にマッチしているのでしょうね。四季がはっきりしている北海道だからこそ、桜の開花を待ち焦がれるのかも知れません。
さて今日も本の紹介を。
このところ本を読んでおります。いい傾向です。
今日ご紹介するのは西加奈子さんの「くもをさがす」です。
西加奈子さんの本は実は一冊しか読んだことはありませんが、書店の店頭に面陳列されていたので手に取ってめくっていたら、「あ、これは買って帰らないと」と思わせてくれた本です。
「くもをさがす」はいわば西さんのドキュメンタリー。カナダに住み、乳がんがみつかり、小さいお子さんを育てながら治療に挑む、その過程でさまざまな人の助けを得て、悩みながら前に進む姿が描かれています。がんというのはほんとに、待ったなしで決断の連続ですものね。がん当事者も、家族も、友人も、医療関係者もこの本から得られることがなにかあると思います。
がんという病気にかかると、病気についての表現の仕方は本当に人それぞれです。同じ病名病状でも、置かれている立場や状況はさまざま。だからその人固有の体験となる。
がんになったことを隠さずに表現する人もいれば、できるだけ人に知られたくないという人もいる。
西さんは自分の体験を(脚色はされていると思いますが)表現することで、読む人はカナダに住みながらがん治療をする一人の女性を、疑似体験することができます。そこにはつらさばかりではなく、闘病中のちょっとしたジョークや、親身になってくれる友人のありがたみなど、リアルな日常が描かれています。
私は医療者なのでカナダの医療保険の仕組みや、治療の予約がうまくいかなくて西さんがイライラする描写などに興味が魅かれました。それから文中カナダのナースたちは大阪弁で西さんに話しかけます。そんなわけないでしょうけどね、でもそれが重いテーマを明るく軽くしてくれているのは確か。
それにしても、人は一人では病と闘い続けることはできない。周りの人に上手に手を借りる強さと勇気を持てるといいですね。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
ゴールデンウイークは読書週間だな。