あなたの青春の一曲はなんですか?
緩和ケア病棟では月に2~3回、生の音楽演奏を聴く機会があります。
水曜日の午後、ボランティアさんが落としてくれる薫り高いコーヒーを飲みながら、音楽療法士さんやフルート&ピアノのデュオの方の演奏を聴くのを多くの人が楽しみにしています。
どの演奏も、昔流行った曲、映画音楽、演歌、童謡、小学校唱歌、などわかりやすく耳になじみある曲が多く、時には一緒に口ずさんだりします。
歌詞のコトバの解説を聞き、「こんなにいい曲だったんだ」と改めて思うこともあります。
先日はヴァイオリン&ギターデュオのコンサートがありました。
せっかくなのでたくさんの人に聴いてもらいたくて、他の病棟の患者さんを誘いに行きました。
「ホスピスでギターとヴァイオリンのコンサートがあるんだけど、行きませんか?」
「いや、億劫だからいい」
「あら、私が車いす押していきますよ。生の演奏だから行きましょうよ」
「いや、なんか調子悪くて」
多少、断られてもひるみません。5分くらいおいて再びトライ。
「ほんの1曲聴いて、いやだったらすぐ帰りましょう」
「そうかい?すぐ帰れるかい?」
「疲れたな、と思ったらすぐ帰りますから」
「それなら行ってやるか」
コンサートは、「愛の挨拶」「禁じられた遊び」「ロンドンデリーの唄」など、なじみ深い曲ばかり。
アンコールを入れて40分ほどでした。
みなさん拍手喝采で、いい表情です。
先ほどの方も結局最後まで聴いていらっしゃいました。
それどころか
「生の音楽っていいなあ~~感動した」
「長く座ってらしたけど、疲れませんでしたか?」
「時間なんか感じなかったよ」
と涙をこぼして感動していらっしゃいました。
音楽療法というくくりで調べると、欧米と日本では表現に違いはありますが、体と心に働きかけて、健康状態の回復や維持、改善のために意図的に働きかけていく、とあります。
音楽を聴くことで平和で安心した気持ちになったり、青春時代を想い起こさせる曲で記憶を刺激し、一時的にでも病気である現在を忘れることができたり、認知症の方にはよい刺激となって心身が活性化することにもつながっています。
誰しも曲から想起されるシーンを頭に浮かべて胸がきゅんとなることがありますよね・・
今日もこのブログに来ていただき、ありがとうございます。
入院したときに「あなたの青春時代の一曲を教えてください」と聞くのもこれからは必要かも、と思います。