あなたの「ふつう」とわたしの「ふつう」
こんにちは。
やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
緊急事態宣言が解けて、わたしたちの病院では朝礼を以前のように再開することにしました。
ある日の朝礼スピーチはホスピスの主任さんでした。
とても学びになる内容だったので、ここでちょっと紹介したいと思います。
『患者さんにケアをするときに、私はこんな質問を投げかけます。
「お風呂の温度はどのくらいがいいですか?」とか
「歯ブラシに歯磨き粉はどれくらいつけますか?」とか。
それに対してよくある答えが「普通でいいです」というものです。
私は「普通?普通ってなんだ?どれくらいがこの方の普通なんだろう?」と考えます。
その方の「普通」と私の「普通」は違う。
お風呂の温度はぬるめがいいか、熱めがいいか、もう少し詳しい情報をお尋ねする。
最終的に「これでいいですか?」と尋ねて「ちょうどいいです」と言ってもらえたら、その温度や量をスタッフで共有して、次も同じようにできるようにしておく。
そういう情報がスタッフみんなから集まると、その人らしい心地よい環境で暮らしていける。
日々のケアの中で、そうした小さな「その人にとっての普通」を集めていくことが大事なことなんじゃないかと思います』
朝礼に出ていた職員が何人も、うんうんとうなづいて聴いていました。
心がしんと鎮まり、背筋が伸びるようなスピーチでした。
患者さんが求めているケアだったかどうかは、患者さんに聞くことでしか評価はできない。
そして今日のケアが明日も心地よいかどうか、それも患者さんにしかわからない。
だから日々「これでよかったですか?」と問い続けていく。
ケアは奥深い。
そして絶対はなく、面白い。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
現場の優れた人に教わる、これもまたよろこびですね。