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アート

幸せな働き方の一部として

院内のいろいろなところで、職員やボランティアさんたちが飾りつけをしています。
こうして表現できるというだけで、その人の強みというものを感じます。

ある方は「飾りつけ終わると、もう次の飾りつけをどうしようかな、と考えている」と言っていました。
根底には「誰かに喜んでもらいたい」「びっくりさせたい」という気持ちがあるんですね。

表現というのは誰かの記憶や感性を呼び起こしてくれます。
「きれい」「かわいい」「なつかしい」「ほっこりする」という言葉や「いつも楽しみにしている」「とても癒されている、ありがとう」というような感謝が、創作者のやりがいとなり、さらなる創造性につながります。

別な方は「ショーウインドウの飾りつけや雑貨のお店のディスプレイを写真に撮って参考にしている」とも言っていました。
そうやって視野を広げて新たなチャレンジを繰り返していくことで、洗練されていくのですね。

仕事そのものとは違ったとしても、こうした表現をすることが公認されていると
それがやりがいへつながる、幸せな働き方の一部になるのではないかなあと思っています。
これからも私は、そういう自由度を高めていこうと思います。

今週もこのブログに来ていただきありがとうございます。
くりかえし、くりかえす。

待合室の絵

6月は札幌のいちばんいい季節ですね。
札幌の街中を舞台に開かれる、よさこいソーラン祭りは毎年6月の初旬に5日間開かれ、初夏のお祭りとして観光客もたくさん訪れています。
今年は残念ながら開催中止となりましたが、外来待合のところに飾られている絵をぜひご覧ください。
道庁赤レンガをバックに躍動感あふれる踊りが表現されています。
汗や熱気や疾走感がふわっとよみがえってくる感じがして、心を動かされます!
そして絵の中に小さなメッセージも含まれていますので、来院される機会があったらぜひ近づいてじ~っと見てみてくださいね。
またこんな風にお祭りを楽しむ日が来ることを心から願っています。

それからもう1枚、同じ外来のピアノの上に飾られている絵は、深い緑の森の中に咲く「ニリンソウ」がテーマになっています。実はこれ、新築移転する平岡の「シュヴァービングの森」を描いています。見ているだけで森林のさわやかな空気が感じられて気持ちが落ち着いてきます。
ちょうど今新築移転先の設備について、建設会社の方と打ち合わせていた最中でしたので、院内のカフェからはこんな風景がきっとみられるのだなあと思います。

これらは当院の元看護部長さんの作品です。
お仕事を退職されてから趣味で描いておられ、季節の折々に持ってきてくださっています。身近な風景が多く、ときどき患者さんとご家族さんが絵を前にして「懐かしいね」なんて話しているのを見ると、私はひとりで嬉しくなります。
それにしても一枚一枚最後まで描き終えるってすごいなあ!!

いつまでも大好きな絵を描き続けてほしいと思っています。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
病院愛に満ちている!

「人生フルーツ」、観てきました。

巷で評判の映画「人生フルーツ」をようやく、観てきました。
90歳と87歳のご夫婦の、スローライフのドキュメンタリーで、ナレーションは樹木希林さん。
これだけでもかなりそそられるのですが、観終わった後からずうっと考えに耽っております。
この映画は、いろんな切り口から誰かと話したくなる。
まるで自分がこのご夫婦の知り合いにでもなったみたいに。

ご夫婦は愛知県の昔開発された「ニュータウン」の一角に、住んでいます。
ご主人は過去住宅公団の建築家として、高度成長期に都市計画に携わっていました。自然と共生し、ところどころに雑木林を作って風の通り道のあるデザインにしたいと考えていたのに、経済性と効率優先で、無機質な団地群になってしまいました。
そのアンチテーゼとして、自分の関わったニュータウンの一角に土地を買い、平屋の家を建て、雑木林を育てながら長く住んでいるのです。

枯葉やコンポストで作ったたい肥を土に漉き込んで、野菜や果物を作る。
できた作物で手間をかけた食事を作る。
(土鍋のシチューや手作りおやつがなんておいしそうな!)
買い物は対面販売の店で、信頼してる人から買う。
お店の人に「美味しかった」とお礼の手紙を書く。
そこここにユーモアと、いたわりのコトバ。知恵と工夫。

こんな丁寧な暮らしぶりが続くのだけど、観ていて全然飽きることがありません。
とにかくお二人ともよく動き、よく働き、手も頭も使い、笑顔が絶えません。
まぶしいほどにお元気で、健康です。

経済性と合理性の渦の中に、私も長いことおりました。
人生も仕事も、本当に大事なことは何かな、と考えさせられます。
「家は、暮らしの宝石箱でなくてはいけない」という映画の中のコトバに、過去を深く恥じ入る私です。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
あんまり書くとネタバレになるので、興味をそそられたらぜひ観に行って下さいませ。
札幌はシアターキノで。

http://www.theaterkino.net/sakuhin.html

病院×アートの可能性とは?

11/29(火)第一回新築移転院内セミナーを行いました。

新築移転事業の成功の為に、「病院」「移転」などをテーマにさまざまなセミナーを開催することになりました。

その第一回目は「病院において癒しの空間をいかに創るか~病院アートの可能性~」というテーマで、「びょういんあーとぷろじぇくと」代表の日野間尋子さんをお招きしました。
日野間さんは病院の中に音楽や絵画・飾り付けなど多彩なアートを取り入れて、病院を快適な癒しの空間にすることをお仕事としていらして、臨床美術士・園芸療法士として国内外で活躍しておられる方です。

 

病院というところは病気やけがを治すところ。それだけでいいの?

 

最近新築された病院は、スタイリッシュで機能的な空間をつくられている所が多いですね。

医学的な思考や技術を持って患者さんの治療を行う病院に、アートは「創造的で柔和な問題解決の場をつくる」と日野間さんはいいます。

とかく私たち医療者は「エビデンスがあるのか」とか「治療成績としてはどれくらいなのか」という成果指標で評価する癖がついていますが、喧々囂々の議論の合間にアートでほっとする時間や空間を持ち、共有できたらそれは「創造的で柔和な」対話につながっていくのではないかと、私は思います。

それは単にきれいな絵を購入して飾る、ということだけでなしに制作者と患者さんと医療者が相互にアートを通じて交流することから始まるものだと思うのです。

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病院にはどこにでもアートの可能性はある

 

日野間さんの語る病院アートは既成概念を破り、病院の外にも中にも天井にも、縦横無尽に空間を使って自由な発想を表現するものでした。

もともとこういうことが大好きな私は講演を聴いていて胸がどきどき。
ああ、これやってみたい。
これもいいなあ。
今、うちの病院でもできるんじゃないか?

などと大いに触発されました。

数年前に訪れたニューヨークの病院では、CT室の壁に海中の絵が描かれていました。

CTのとき患者さんは天井や壁しか見ませんものね。

最近の新しい病院は、最初からデザインも素晴らしいですが、たとえ当院のような古い壁でも、広いキャンバスと考えれば、自由な発想でいろんなことができそうな気がします。

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人の手を通した温かさは病院だからこそ必要

 

当院のあちこちにある飾り付けは患者さんやご面会の方に大変好評で、職員も時々立ち止まって見ている人がいます。
手作りの温かさは見る人の心に染み入り、時に感動の涙をこぼすこともあります。

先日当院で行われた「ボールペン画の世界展」でも、制作者ご本人とご家族、医療者、見てくれたお客さんとの心の交流が深まりました。

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患者さんやご家族にはほんの一時でも病気を忘れさせてくれたり、職員には仕事の合間にほっとする空間だったり、アートが得意な職員は新たな着想を得る場所だったりします。

こういうことが、柔軟な頭と心、癒しにつながり何らかの影響があることを私たちは確実に体感しているのですが、採血データが良くなった、というように成果として表すのは難しいですね。

新病院建設の際には庭園も含めたアートプロジェクトとして、私たちの病院にも取り入れたい要素がたくさんありました。

日野間さん、ご講演ありがとうございました。

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お知らせ, アート> | 更新日:2016-11-30