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札幌南徳洲会病院看護部長 工藤昭子の やさしさビタミンブログ

3月を泳ぐ

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
3月という月は人との別れがあったり、4月の入職者の準備があったりで、忙しい月ですが、今年は第三者評価を受ける年なので、いつも以上に気ぜわしく過ごしています。

第三者評価を受けたのは5年前のことで、新病院に移転してからは初めてです。以前は古い病院だったので、いろいろ言い訳した部分もありました。けれども、設備的なことよりも機能や役割が正しく整っているか、を見られることになっています。そして患者さんが受付にいらしてから外来にかかり、検査や診察を終えて帰られるまで、そして入院された場合にはどのような説明がされて、それを患者さんがどう受け止めておられるか、などの過程を評価されることになっています。

一人でやるとなかなか進まないものごとも、声を掛け合ってやると、思っていたより進むことがあります。先日も院内メールで他部署の所属長に「教えてください」と送ったら、たちまち返事が返ってきて、あっという間にひとつ片付いたことがありました。

隣にいる教育師長が「これとこれは私が引き受けますね」と言って、ファイルを数冊自分のデスクに持って行ってくれました。これで私の肩の荷がだいぶ減りました。ありがたいことです。

 

不足しているものごとを、私たちはよく話しあいます。看護部だけで話しあっても解決がつかないことも多いのですが、いろんな人がいろんな立場で話しあうことで、徐々に合意形成が図られていく。おそらくこのプロセスが大事なんだろうと思います。水の中を泳ぐように、この課題、あの課題とキャッチしては手放していきたいものです。

忙しいのはお互い様、あと数か月大変だろうけど、がんばろうね。

 

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。

一日にたとえ5mmでも、前に、前に。

ありがとう! 月刊ベストナース

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
三寒四温とは言いますが、晴天で雪解けの日だったと思えば翌日真っ白な雪景色。まだまだ油断ならない札幌です。

さて本日は、長年お世話になっていた医療情報誌「ベストナース」の休刊のお知らせについてです。
北海道医療新聞社が発行していた、この雑誌を見始めたのはいつからでしょう・・看護師詰め所に必ず一冊置いてあって、休憩中にぱらぱらとめくっていたものです。

管理者になってからは、「〇〇病院のナントカさんが載ってる」とか「△病院に先越された~」とか、知り合いや自院の取り組みと合わせて読むようになりました。
看護部長になってからは取材を受けたり、あるいは「こんなイベントやるので取材に来ませんか?」とネタの提供もしておりました。
2024年の3月号が休刊前の最後になると聞き、驚きました。出版業界の苦境は知っているつもりでしたが、こんな身近なところにも・・と思いとても残念です。新聞も夕刊がなくなり、紙面が薄くなりました。電子媒体で読めるのはわかってますが、紙をめくり開いて読むのはやっぱりいいものです。
記者の方はよき聴き手であり、看護職を応援してくれていました。つらつらとしゃべったことを、過不足なくわかりやすい言葉で表現してくださり、初校を読むだけで「こんなすてきな記事になるなんて!」とうれしくなりました。ある時、なかなか看護師が集まらず落ち込んでいた私に、記者の方が励ましのお手紙を送って下さったこともありました。

当院のことを言えば、ベストナースに載っていた記事がもとで、認知症対応カンフォータブル・ケアを取り入れ、そのおかげで身体抑制はゼロになりました。現場で努力した師長たちは、今や講師として呼ばれるようになり、また多くの方が当院に学びに来てくれるようになりました。ベストナースがきっかけを作ってくれたのは、間違いありません。
これまで応援してくださり、さまざまな情報提供をありがとうございました。どうかお元気で。

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別れと出会いの季節ですね。

PERFECT DAYSと小確幸

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

季節の変わり目ですが、みなさまお体の調子はいかがでしょうか。
札幌はまだ寒い日もありますが、確実に春に近づいているなと思います。

最近、調べものをしていて私のブログに行きついたとお声をかけていただいたり、ずいぶん前にお世話になった方からお電話をいただいたり、ということが続いています。駄文も時には役に立つのだなとうれしく思いますし、「工藤さん、まだ働いてたのね!」という生存確認にも(笑)一役かっているようです。

さてさて年度末で仕事が山積みですが、そういう時こそ意図的に頭を空っぽにする必要がありまして、映画「PERFECT DAYS」を観てきました。

ネットでは賛否両論ありますね。きれいなトイレばかり掃除しているとか、汚物が映らないのは不自然だとか・・私は役所広司さんが好きなので、そういうツッコミは気にせず観てきました。

周りはシニア世代の人ばかり(あ、自分もか)です。テレビをつけると、戦争や独裁者や腐敗した政治家の顔ばかり、だからきっとこういう話を欲しているのかも知れません。つつましい暮らしの中で本を読み、いい音楽に親しみ、銭湯で足をのばす。
人生における小さいが確固とした幸せの一つを小確幸と言ったのは村上春樹さん(「ランゲルハンス島の午後」)だそうです。「小確幸」しょうかっこう、と読みます。私はドラマの「昨日何食べた?」が大好きなのですけど、これも小確幸のヨロコビを丹念に描いています。

変わりない生活のようだけれど、一日一日はそれぞれ違っていて、ルーティン通りにはいかない。そんな日々の中でにこっと笑える瞬間をどれだけキャッチできるかな。小確幸が身の回りにあると気づくことが、PERFECT DAYS(複数形)なのでしょうね。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
物欲にまみれたバブル時代も、国の勢いだったんだろうね。

Piano time 隣に座るのがオシゴトです

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

プラス気温で雪山が消滅しかかったと思えば、一晩で40センチの大雪が降ったりして、今年はなんともきまぐれなお天気ですね。

当院では毎週木曜日に、piano timeという時間がありまして、1Fのシュヴァービング広場から2F病棟、3Fデイルームへと同じ曲目を3回演奏していただいています。

演奏はアンサンブル・グループ奏楽(そら)さんのピアニスト前田朋子さんが中心になり、ときどきバイオリンやチェロの演奏者がいらしてくれます。

曲目は患者さんのリクエストに応えてくださったり、その季節や患者さんの年齢に合わせて昔の流行歌だったり、当日のお楽しみです。

先日2/21の曲目には「北国の春」「いい日旅立ち」「ありがとう」が含まれていました。
実はその日で実働最終日の職員がおりました。
前田さんからあらかじめその人に贈る曲を相談されていました。こういうところが、なんとも温かいなあ、ありがたいなあと思います。

患者さんのそばに座り、歌詞カードをもらって、私も小声で歌いました。
「いい日旅立ち」は若い時からいい歌だと思っていましたが、改めて歌詞を見ながら歌うと、亡くなった両親のことを思い出し、そして新たな場所へ旅立つ職員のことを思って鼻の奥がつんとしました。

私がこの病院へ来たばかりのころ、ホスピス病棟ではこうした音楽会が開かれていました。患者さんをデイルームにお連れして、隣の椅子に職員が座り、一緒の時を過ごす。「ここでは隣に座るのが仕事のひとつです」とホスピスの看護師に教えてもらいました。
頭の中では「あれをしなきゃ」「これもしなきゃ」と走り回っていても、そのひとときは患者さんのそばで共に過ごし、音楽に耳を傾ける。声を出して歌う。手でリズムを取る。

今は全館でコンサートを聴く機会に恵まれています。木曜日の午後、デイルームには患者さんと職員が集い、共に過ごすのがあたりまえの光景となりました。

看護部にいても、階段の吹き抜けを通じてピアノの音色が聞こえてきます。
生演奏をBGMに仕事するなんて、なんとも贅沢ですね。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
いい日旅立ち。お元気で、また会いましょう!

経験値

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

2月から3月は、年度のまとめと新年度の計画を同時進行でしているところです。
私は会議の年間計画を立てるとき、毎月の司会と書記をあらかじめ明文化しておきます。
とある会議に、新年度新しいメンバーが加わります。書記は持ち回りで行うので、新メンバーにも当然やっていただくことになります。私は特に深く考えもせず、その新メンバーの方の書記を前年度の流れに従って6月に予定しました。そうしたら、既メンバーから「新メンバーに6月に書記をやってもらうのは早いんじゃないか」とのご意見をいただきました。

「そうかなあ、議事録のひな型はあるわけだし、そんなに難しいことではないんじゃないかな。必要なら録音していただいてもかまわないんだけど。」と私は答えました。結局新メンバーご本人の考えも聞いてみることとなり、その場では結論に至りませんでした。

数日後、某師長さんがこんなことをつぶやきました。
「とある外部の会議に出たときに、書記をする人がいなかったので、私が手上げしました。書記くらい、いつも職場でしているからどうということもないと思っていたのです。ところが、皆さんの話の中には過去に話しあった出来事や、明文化されていない決まり事みたいなことがポンポンと出てくる。私はその会議に出るようになったばかりなので、みなさんが話していることが何の話かわかりません。そして今の発言を議事録に残しておくべきなのか、雑談のひとつなのかの判断もつきません。書記をやりますと簡単に引き受けてしまって、少し後悔しました」という内容です。

先述の話とあまりに符合するのでびっくりしました。
そうか、経験値。
その場にいることで体得したものごと、共有した感情などは少しずつ積みあがって今につながる。
冒頭で意見を言ってくれた方も、初めて書記をしたときに「この人たちは何の話をしているのだろう」という経験をしたのかも知れなかったのです。いつかはどこかで経験しなければならないから、「わからないことがわからない」の状態からやってみるのもひとつではあります。その「わからないこと」を尋ねるというのも、大事なことだし。しかし現実にはすべてのことを既メンバーのように知ることはできないわけでして。

私は別な視野を授けられて、「あ、なるほど」と腑に落ちたのでした。
1年経てばすべてわかるかと言われると、そうではありませんが、少なからず新しいメンバーにとって、書記を後ろにずらすのは、やさしい配慮だとわかりました。ややこしい話、伝わりましたでしょうか。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
想像力がだんだん乏しくなっているのな。

大人の雪遊び キャンドルナイト

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
いやあ、終わりました、一大イベント。キャンドルナイトというイベントを4年前から始めたのですが、年々規模が拡大しておりまして、ありがたいやら怖いやら。

毎年ブログで書いているのでもうご存じの方もいらっしゃると思います。
きっかけは2021年。当時はコロナウイルスについて試行錯誤してましたから、人が集まるものごとは、ことごとく中止になりました。
何か「人がしゃべらずにできる楽しみ方はないものかな」と思っていたときに、「ろうそくのあかりをただ見るだけ」というのはどうだろうか、とボランティア・コーディネーターの鈴木さんと話しあったのです。
数名の職員に手伝ってもらって、小さな雪だるまや雪像をつくり、キャンドルを適当に並べました。
音楽療法士の工藤先生がキーボードを弾いてムードを添えてくださり、病棟から患者さんをご案内してほの明るい光を一緒に眺めてもらいました。
ただそれだけのことですが、見る人も準備した人もみんなハッピーな顔になるので、毎年やめられなくなりました。

平岡に越してきてからは広大なスペースがあり、2Fテラスと病院西側のシュヴァービングの森を舞台に、規模が拡大しました。
今回から仕事の一環と認めてもらって、正々堂々と(笑)実行委員会を立ち上げ、計画的にしてきました。
おかげさまで職員やボランティアさんだけじゃなく、職員のご家族やご友人、地域の方なども協力してくださって、去年よりいろいろ進化しました。
恥ずかしながらインスタライブに挑戦もしてみました。何事、やってみないとわかりません。
来年に向けてのまた課題が出てきました。

会場のキャンドルに明りが灯り、夕闇が濃くなってくるころ、私は病院のガラス窓を見上げます。
後ろでは子供たちが滑り台で歓声を上げています。
患者さんと、職員が一緒に明りを眺めてみんないい顔をしている、ああ、今年もこのためにやってきたなあと胸がアツくなるのです。
翌日病棟ナースから「制作中からずっと窓の下を眺めている患者さんがいて、何もないところから出来上がっていく姿を楽しそうに見ていましたよ」とか、火を見て拝んでいる患者さんがいらしたとか、そんなことを聞けるのもうれしかったのです。そこここに、あたたかなエピソード。
緩和ケア病棟のナースたちも、頭を空っぽにして雪の中の作業に没頭できたら、いいなあ。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
遊びだけど仕事、大事だよね。

手紙

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
札幌は雪まつりシーズンでたくさんの観光客でにぎわっています。
久しぶりですね。

前略 匿名希望さま

先日はお手紙ありがとうございました。
そしてパイン飴、ごちそうさまでした。仲間で美味しくいただいています。
他にもプレゼントをありがとうございました。

私の駄文を毎週楽しみにしてくださっているなんて、とても光栄です。

私がブログを始めたのは、ふたつ理由がありまして。
ひとつにはこの病院の中のことを外の人に知ってもらいたいと思ったこと、それともう一つはお金をかけずに看護師を集めたいという下心があったからです。

2016年の11月からなので、はや7年を過ぎました。途中、コロナのクラスターに初めて遭遇したときは、どう進むべきか暗中模索の毎日で、とても書く気持ちになれず、しばらくお休みをしました。
そのときも匿名希望さまから励ましをいただきましたね。あのころは心がすさんでいたのでずいぶん力をいただきました。ありがとうございました。

毎週こうして書けるのは、日々患者さんと笑ったり泣いたり、いろんなドラマがあるからです。この病院には一生懸命で心優しいスタッフが、たくさんいます。彼らが日々頑張ってくれているから、そのことをなんとかして伝えたい。これは、看護部長としては大変幸せなことだと思っています。
でも、本当にお伝えしたいことは、実は書けないものです。患者さんとご家族の生きることと、それを支えるスタッフの真の姿は、胸に迫り、人として教えられることばかりです。私の書くことなんぞ周辺のことばかり。
ですから「北海道から遠く離れたところにいても、ビタミンブログに救われ、励まされています」というおことば、ありがたくもったいないくらいです。私の方こそ、匿名希望さんからのお手紙を手帳にはさんで、時々読み返してはニマニマしようと思います。

今日もこのブログに来て下さりありがとうございます。
匿名希望さんもどうぞお体お大事に。暖かい春がもうすぐですね。

草々

 

認知症マフ

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

「部長、マフってご存じですか?」

ボランティア・コーディネーターの鈴木さんが突然看護部へやってきて、こう聞かれました。
「マフ?知らないなあ。何かあたらしいもの?」

「これ、みてください」

と差し出されたのは毛糸の筒状のものがふたつ。花模様やウサギの装飾がついていて、手を入れると中から何か出てきます。丸いボール状の毛糸玉。
これは認知症マフと最近話題になっているものだそうです。

認知症マフはイギリス発祥です。地元の主婦がこのマフを作ってオックスフォード大学病院に入院中の認知症患者さんに使ってみたところ、手が温まり気持ちが安定して、コミュニケーションが促進されたことから、ワークショップが開かれ、じわじわと広まっているものだそうです。

日本でも朝日新聞厚生文化事業団が普及を進めています。
浜松医科大学病院、鶴岡市立荘内病院、札幌では定山渓病院がこのモフを取り入れているとのこと。

いや、全然知りませんでした、私。

毛糸の配色や手触り、中に入っているアクセサリーは形の異なるものを複数入れて、それを握ることでストレスが緩和して快の刺激になるのだそうです。
柵を握りしめたり、たたいたりする患者さん、逆に動きが乏しい患者さんにとっては、アクセサリーを握ることで運動になるという、そんな効果があるようです。

びっくりしたのはそれを作ってくれたのは、昨年ボランティアグループせらに入られた、Mさんという方で、編み物が好きで、家にあるありあわせの毛糸でさくっと作ってくれたのだとか。これはまた新しい強み発見!
実は認知症ケア認定看護師のSさんから「こんなの作れるだろうか・・」と鈴木さんに依頼があり、それをMさんがネットで調べて数日で作ってくれたのだそうです。


さっそく認定看護師Sさんのところへ持っていくと

「え~! もうできたんですか? どれどれ、スゴイ、思っていた以上です。うれしい! すぐに使いたい人がいるんです。」とそのまま病室へ。
患者さんに話しかけ、ひとつ選んでもらうと、手を中に差し入れてすぐになじんでおられました。う~ん、なんかいいなあ。

Sさんの狙いがドンピシャだったみたいです。

この連関に、私はいつも胸をアツくします。

投げかける人がいて・得意な人が作って・手渡して・誰かがハッピーになる。

それを見てかかわった人が、みんなハッピーになる。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
これを読む人もハッピーでありますように。

一流の講義 その二

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
前回に続き、井部俊子さんの講義について。

テーマが「最善を尽くせ、しかも一流であれ」。
日本の医療のトップランナーたる大学、病院で管理者をしてこられた井部先生。
どんな講義をされるんだろうと興味深々です。

私が思うよい講義とは、伝わる講義です。
優れた講義というのは理論と経験とが行ったり来たりしながら「語られる」、そしてそれが受け手の経験や感情に触れて、腑に落ちる感覚になるのが、伝わる講義だと思います。
井部先生の講義もエピソードが詰まっていて、しかも易しい言葉で語られるんですよね。

「一流のマネジメント」のひとつ、外注先との付き合い方について、ご紹介しますと。

三流のマネジャーは外注先を「業者」と呼び、二流のマネジャーは「うまく付き合おう」と考える。
さて一流はどうかというと「チームのメンバーと考えて付き合おうとする」。

私達病院というのは、様々な人に支えられています。医療専門職や事務、コメディカル職員たちは病院職員ですが、それ以外にお掃除や給食、患者さんの送迎や保育園など委託会社のおかげで病院が成立しています。
師長の中には、お掃除の方の名前をきちんと憶えてる人もいます。コロナのクラスターが起きたときは看護師が掃除しなければならず、普段いかにお世話になっていたか、身に沁みました。

その師長は当たり前のように「チームの一員ですから」と言ってくれるので、いまさらながら、頭が下がります。私は全員の名前は覚えてないなあ~と反省しました。

井部先生は「看護学校の教員も、病院と対等な立場でいてほしい。学校は優れた学生を育てるためにあり、病院はそこから育った看護師を雇うのだ、だから「学生さん」とか「新人さん」などのように十把一絡げに呼ぶことは相手を軽視していることになる」ともおっしゃいました。ああ~気をつけなくちゃ。

このような感じで講義が続いていき、最後は受講生とのディスカッションです。
講義のうまい人はディスカッションも巧みです。何を聴かれても当意即妙、ポンポンと質問を返されたりして受講生の考えを引き出すのでした。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
知るも楽しい。学ぶも楽しい。

一流の講義 その一

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
先日札幌市立大学で井部俊子先生の特別講義を聴いてきました。

認定看護管理教育課程サードレベルの卒業生は、毎年現役生の特別講義を聴講することができるのです。
現役生はもう15期生。(私は3期生・・ずいぶん経ちました)

井部先生は週刊医学界新聞に「看護のアジェンダ」を連載されていて、私は毎回読むのを楽しみにしています。論理的な文章の中にも、胸がきゅんとするようなエピソードや、時に辛辣な言葉が書かれていて、背筋がピンとなるのです。

この講義のテーマは「最善を尽くせ、しかも一流であれ(Do the best, it must be first class.)」。

シビレるタイトルだなあ。そしてどこかで聞いたことがあるなあ。
さっそくネットで調べてみます。

「最善を尽くせ、しかも一流であれ(Do the best, it must be first class.)」は聖路加国際病院を創設した米国宣教医師ルドルフ・B・トイスラーの言葉です。

トイスラーは聖路加国際大学の創立者で、聖路加病院の初代院長でした。技術と知識を備えた看護師の育成に務め、医師の海外留学に先鞭をつけた、とあります。(Wikipediaより)
関東大震災のあとに来日した米国人ポール・ラッシュは、トイスラーから受けたこの言葉を座右の銘として、日本の農業経営などに多くの足跡を残しました。
太平洋戦争を挟み、敵国人として強制送還されたあとも、GHQの一員として再来日し、立教大で教鞭をとり、聖路加病院の再建に尽力し、日本へのエールを送り続けて生涯を終えたと書かれていました。(「山梨近代人物館」より)

ふたりともキリスト教を機軸として、人を救うために日本にやってきて病院設立に尽力し、後進を育て、最期は聖路加病院で息を引き取ったとのこと。しかも聖路加病院の設計はアントニン・レイモンドだったのですね。(映画「人生フルーツ」で主人公が愛する建築家)

知らないことを知るヨロコビ。タイトル探るだけでずいぶん楽しかった。

この聖路加国際病院で看護部長を務められ、聖路加看護大学で学長をされていたのが井部先生です。現在は長野保健医療大学の副学長で看護学部長、株式会社井部看護管理研究所代表でもあります。

前置きが長くなってしまいましたが、私からすると雲の上のような方の、講義を聴いてきました。

今日もこのブログに来ていただき、ありがとうございます。

続きはまた次回。

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