2022年8月
看護学生さんにエール!
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
お盆を過ぎて涼しくなった札幌です。
先日知り合いの先生から、東北のとある看護学科の学生さんに向けてオンラインで授業をしてくれないか、と頼まれました。
夏休み明けに予定していた基礎実習が、コロナウイルスの感染拡大によって軒並み中止になったそうです。
基礎実習というのは、看護学生が初めて病院というところに入って、看護師の働く様子や患者さんの日常を知る大事な実習です。
学校内でベッドメーキングをしたり、血圧測定の練習をしてきた学生たちが、初めて実践の場に入り、看護師について歩いて見学する、短い実習ですけれども、そこから始まる実習の中で一番フレッシュな感性で病院や患者さんを見ることのできる、貴重な機会だと私は思っています。
コロナウイルスの蔓延した環境に学生が入ることで、学生を危険に晒すかも知れない、そして現場は人手不足ですから丁寧に指導できないだろうという、その狭間にこの実習中止の判断があったのだと想像します。
今年卒業した看護学生さんも、実習がほとんどないままに卒業して、現場でさまざまなカルチャーショックを受けていると聞いていたので、やるせない気持ちになります。
私の学生時代の話や、病院の話が少しでも役に立つのなら、とお引き受けしました。
60分好きなことをしゃべらせてもらって、いくつかご質問もいただきました。
自分は学生の頃から考えていたことと、今もあまり変わってないな~、と思いました。
考えてみると、今1年生ということは、小学校1、2年生ころに東北大震災に遭った子供たちが大半です。確かめたわけではありませんが、避難所生活を送った人や、医療者とのかかわりがあった人もいたのかも知れません。
8歳ごろの経験がその後の職業選択の大きなきっかけになる、という話を聞いたことがあるので、もしかするとそこから人を助ける仕事を選択したのかも知れませんね。
そんな風に妄想を膨らませながら、物思いに耽ってしまいました。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
困難な時代に、この職業を選んでくれてありがとう。(写真は参考図書です)
今日は誰も休んでません
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
お盆が過ぎて朝晩の空気がひんやりとしてきました。
ブルーベリーもそろそろ終わり、じゃがいもの収穫がもうじきです。
「今日は誰も休んでません」
朝、師長さんたちからこういう報告があると、ほっとします。
それくらい、毎日誰かが休んでいるのです。
コロナウイルスの感染流行第7波。もういつ誰がかかってもおかしくはないこの状況。
患者さんだけじゃなく、職員や家族の報告が連日続いています。
職員が休むごとに、勤務変更する師長たちの苦労も並大抵ではありません。
そして出勤している職員の仕事は当然増えるわけで、みんな疲れています。
でもこればっかりは、お互い様。
明日は我が身に起きるかも知れないから、助けあっていかないとね。
私どものような小さな病院でさえこの状況ですから、急性期の大病院はもっと大変な状況でしょう。
テレビニュースで「病床使用率は46%」というと、「なんだまだベッドは空いてるんじゃない」と思われるかもしれませんが、実際は働く人が何割か少ない状況です。
だから「誰も休んでません」という声を聴くと、心底ほ~っとします。
「誰それが復帰してきました」というと、もうそれ以上のことはないというぐらい御の字です。
コロナ以前は「微熱ぐらいでは仕事は休まない」という感覚が普通でした。
だから今のように自分や家族の体調に気をつけて、少しでも具合悪ければ休息をとるというのは、大事なことなんですよね。
人のケアするのに、まず自分たちが健康でなければ。
これが当たり前の姿とすると、人が100%揃っていないことを念頭に置いて仕事の組み立てが必要になる。
既成の概念から飛び出してもいいもの、簡単にできること、もっとあるんじゃないかな。
10年後くらいに今の時代を振り返った時「あの頃は熱が出ると出勤停止してたよね」と、言うのかも。
予防と治療が進化していることを願って、2022年8月の備忘録として書いてみました。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
今できる最善をする、ただそれだけ。
看護補助体制充実加算
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
今日は固いタイトルですね。
2年おきに行われる診療報酬改定、今年はその年でした。
看護補助体制充実加算というものが新設されまして、漢字10文字で口を噛みそうになりますが、これは必要な人員や勤務時間などの他、看護師の負担軽減計画などの条件をクリアすると、診療報酬として得られるものです。
これまでと違うのは、条件の中に看護師に対する教育が含まれていることでした。
全部で6項目の研修を看護師全員が受講している、が条件ですので、私どものような小さい病院でも、これを確実に取得しようとすると、気合をかける必要がありました。
研修の目的は、大まかに言うと看護師が看護補助者と役割を明確にして、協働しよう、ということです。これからの時代、人口は減り看護師や看護補助者は貴重な人材であり、ますます重要な存在です。そしてどんな現場でも和を大切にしたいものです。
そこで6月から教育師長を中心に3人で手分けしてe-ラーニングを作りました。
1本10分程度で6本、看護師たちも昼休み中にスマホで受講できます。(Wifiがあってホントに良かった!)
6本目には自由記載のアンケートをつけまして、先日開いてみました。
なんと55名の方からの意見が入っていました。以下抜粋します。
●看護補助者さんにはいつも業務を手伝ってもらっているので、今まで以上に感謝しながらより良いケアの向上に努めたいと思います。
●今まで漠然と看護補助者に業務を依頼してきましたが、依頼できること、指示の下できること、できないことが明確になりました。より充実したチーム医療につながると思います。
●患者さんにとって看護補助者さんは身近な存在であり、話しやすい存在でもある。患者さんが何気なく語った言葉がとても重要な意味を持つ場合もあり、だからこそ垣根のないチーム間の情報共有が大切だと認識しました。
●以前は看護補助者のいないところで勤務していたので、一緒に働くことができて本当にありがたいなと思っています。改めて制度を学ぶことができて、今後も生かしていきたいと思います。
●看護補助加算というものを初めて知りました。明確な指示と感謝をして、協働したいと思います。
●最期まで患者さんがその人らしく生を全うしていくために、専門的職業についているという自覚を忘れてはいけないと感じました。看護補助者さんの力を借りながら、情報共有・協力して日常のケアや苦痛緩和などを援助していきたいなと改めて思いました。いろいろな価値観を理解しながら、お互い思いやりと感謝を忘れずに日々業務していきたいです。
「わ~!これは教育者冥利に尽きるね!」
「e-ラーニング作るの大変だったけど、やってよかったね!」と言って、製作者たちは喜びあいました。
こんな風にポジティブなフィードバックができる人が多いということが、当院の強みだとも思います。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
笑顔と感謝溢れるのが一番大事。
窓側と通路側
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
札幌はありがたいことに、涼しい夏が続いています。
以前とある病院に入院したとき、2人部屋に案内されました。
その日はたまたま私しかいなかったので、個室も同然、窓側を選ぶことができて幸運でした。
私は自宅にいても朝起きたら窓を開け、冬でも寝る前に換気する習慣があるので、窓を自由に触れるのはありがたいことでした。
日差しが強い時のカーテンの開け閉めも大事だし、病院というところはいろいろな「におい」がありますよね。そういうさまざまなことへの対処としても、窓の操作権を持っているというのは、快適な入院生活の大事な要素だと、改めて感じました。
翌日隣に入院する方がいました。
その方は動くのが難儀そうでした。
私たちの部屋はトイレの隣に位置していたので、その方は「ベッドが通路側に近くてありがたい」と、看護師との会話で聞こえてきました。
同室者がいらっしゃる以上、窓開閉の操作権は「相手の方も同意するかどうか」の前提が必須になりました。
せめて朝と夜には換気したい。しかし相手の方の病状がよくわからない。
もし熱が出ていて震えるような悪寒に襲われていたら、冷たい風は体に触るだろう。
急に遠慮する気持ちが芽生えて、それはどんどん膨らむのでした。
その夜、もじもじしながらカーテン越しに3分ほど窓を開けてもいいかと話しかけました。
すると「ぜひお願いします。病院はいろんなにおいがしますものね」と畳みかけられました。
私はほっとして窓を5センチほど開け、胸いっぱいに新鮮な夜気を吸い込みました。
その後私とその方は打ち解けて、お互いのことをおしゃべりするようになりました。
二人だったから、私はその方に聞いて了解を得られたのだけど、これが4人部屋だったり、体調の悪い方がいたら、と思うとそれだけでも人の自由度は狭められ、委縮するような気持ちになるものだと感じました。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
入院しないとわからなかった、小さいけれど大切なこと。
朗読会を開きました
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
猛暑の中コロナウイルスの第7波が急拡大している毎日ですが、皆様いかがお過ごしですか?
人が集まるのを避ける、ということが続いていますが、そうすると人と人との会話やつながり、共感ということがしづらくなってますね。
まったくもってこのコロナウイルス、緩和ケアや高齢者ケアとは対極のところにあって憎らしい奴です。
かつてホスピス病棟では、毎週デイルームでお茶会を催していました。ボランティアさんが注文に応じて、落としたてのコーヒーを運んでくれて、小さなお菓子が添えられて、ちょっとした喫茶店のようだったんです。
音楽ボランティアの方が演奏してくださる時もありましたし、季節の行事をすることもありました。
そうして患者さん同士がなんとなく顔見知りになったり、ご家族同士がお互いを労わりあったりということが、繰り返されてきました。
今は近づきたいのに近寄れない。
このままだと、ますます世の中全体がぎすぎすしてきそうです。
さて、元テレビアナウンサーの五十嵐いおりさんからのご厚意で、いおりさんが主催した朗読会の動画を、院内で視聴できることになりました。
病棟クラークさんが素敵なポスターを作ってくれて、全部で6回デイルームで開催しました。
長い時間座っていられない方には2回に分けたり、お部屋で聴くだけの方もいたり。
それぞれ自由なスタイルで、その人らしく過ごしていただきました。
これだと集まっても耳から入る朗読に集中できます。
いおりさんの語りは迫力と穏やかさと緩急取り交ぜて、頭にありありと映像が浮かぶようでした。
私もそばに座って患者さんの様子を見ながら、一緒に楽しませていただきました。
こんな風に、静かに楽しむイベントもいいものですね。
いおりさん、貴重な機会をいただきありがとうございました(^^)/
いつか、1Fのシュヴァービング広場で生朗読会、やってもらいたいなあと妄想を書いておきます 笑。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございました。
ほんとうは、ぺちゃくちゃおしゃべりしたいですね。