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2020年8月

聞き書き部、再開しました。

しばらくぶりに、聞き書き会を開きました。
コロナで休止していたのですが、少人数ですので感染管理に注意を払って再開することにしました。
主催者である私も、聞き書きのことがよくわかっているわけではありません。
だから見よう見真似、お互いの知識や実践を共有しあってゆる~く前に進もうと思っています。

今回実践報告をしてくれたメンバーは、齢90を超えたお母様のお話を聞き書きにしてくれました。
そしてそれを朗読してもらいました。私は目をつぶって、頭の中で想像力を働かせて聞き入りました。
親の話を改まって聴くというのは、切り出し方も気恥ずかしいものです。
そのメンバーはあらかじめ聞き書きというものについてお母様に説明し、そのうえで何度かにわけて聴き取り、録音して文字起こしをしました。
枚数にするとA4サイズ数ページに渡ります。
お母様の子供のころの情景、戦中戦後の暮らしぶり、結婚に至る経緯、子育て中のことなどが次々に出てきました。一人の女性のファミリー・ヒストリーです。
回を重ねるごとに物語が整理されて、時系列に沿って話そうとするのがわかって、驚いたといいます。

親の話をこうして改まって聴くことって、意識しないとあまりないように思います。
子どもの側も、自分が年齢を重ねるうちに「お母さんにも私と同じ年齢だった時があったんだよな」と思いを寄せることができます。
今よりも不便なことがたくさんあったけれど、モノがないからこそ知恵と工夫で心豊かな時代を送っていた。そんなことがわかります。

誰しも自分に関心を持ってもらって話を聴いてくれるって、うれしいものです。
お母様は目に浮かぶ情景を生き生きと語られています。
これまで特に思い出しもしなかったことが、聴かれることによって、引き出しを次々開けたみたいに飛び出してきます。
それを黙って聴いている私たちにも、尊敬と感謝の念が自然と湧いてくるのがわかります。
命がつながって、今わたしたちがここにいる奇跡を感じるのでした。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
体験入部した人から「これは楽しい部活ですね~」と言われたのがうれしい私です。

穏やかな一週間

8月某日

朝7:30の歩き回り。
ホスピスのガーデナー(植物を育てるのが上手な看護師)が夜勤明けの朝を迎えていました。彼女が育てた鉢のうち、一度すくすくと伸びてきたのに、一気に葉が落ちてしまったアボカドがありました。茎が50センチほど残って、誰の目にも「ああ、残念だったね」という姿だったのですが、ガーデナーはあきらめません。
「茎がしっかりしているので気長に待つことにします。見守っていてください」という札を下げてそのまま窓辺に置いてありました。
そうしたら本当に見事に再生して、今では大きな葉をつけています。
信じて待つ、ってこのことだなあと教わりました。

8月某日
透析室へ行くと、おいしそうなお寿司のイラストが目に飛び込んできました。
透析患者さんは水分や塩分やカリウムなどいろいろ気を付けないとならないのですが、お寿司をすこしだけ食べたいというのも人情。それでお寿司一つがどんな成分なのか、ネタごとに調べたものを一覧表にしたのだとか。ごくろうさま。
他に果物編もあるそうです。
役立ててくれたらいいね。

8月某日
「部長。ご家族からいただいたお手紙です。コピーしておきましたので、お時間ある時読んでください」
私はこういうことされるとうれしいんだな。
親御さんへの深い愛情が伝わる、しかも私たちへのねぎらいや新病院への期待がつづられた温かい文章に、ついほろり。
「見せてくれてありがとう、素晴らしいご家族さんとの関係性だったね」とお礼を言うと
「あのご家族さんは、私たちと間違いなく“チーム”でした。一緒にこの数年やってきた、という気持ちがします」という師長さんの言葉に胸がアツくなる。

8月某日
院長のいない一週間は、カウントダウンカレンダーを看護部で破かせていただきました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
この平和な日々に感謝。あ、院長がいなかったから穏やか、という意味ではありませんよ。念のため。

盆踊りの出前

今年のお盆はどんな風に過ごされましたか?

開け放した窓から風に乗って流れて来る「こども盆踊り」の歌が今年は聞こえなくて、ただ夏が過ぎていく、そんな感じでしたね。
私も敢えてお盆のお墓参りは避けて、家で花やお供物を並べて心で故人を迎えました。

8月12日には3F病棟で盆踊りが行われると聞き、一体どうやってやるのかと見に行きましたら、法被に短パン姿のナース・補助者たちが各病室を盆踊りして歩いていました。
ワゴンを紅白の垂れ幕で包み、手作りの太鼓を載せて、ラジカセから盆踊りの歌が流れています。
ベッドサイドまで近づいて踊り、患者さんに声をかけていました。
びっくりして目を真ん丸にして驚く人、くすっと笑う人、感激して泣く人。
ナースたちは照れながらも真剣です。
途中、古いラジカセが何度も止まってしまい、コンコンと叩いては音が流れるのを繰り返して大笑いです。終わった後はみんないい顔をしていました。

コロナ前とコロナ後とではスタイルが変わりました。
「こうであらねば」と思うことから脱却して、新しさを創造すればいいんです。
私もスタッフから教わりました。

今週もこのブログに来ていただきありがとうございます。
季節の行事を大事にするっていいことだよね。

コロナの年の七夕祭

ホスピスの七夕祭り、今年はどうしようか。
コロナウイルス感染拡大のさなかにある今年は、イベントを中止するのが当たり前になっています。
やらない、というのは簡単なのですが、
状況を見てその都度判断したいと思っています。

3密にならないように時間と空気と接触のあり方をあらかじめ決めたらできるんじゃないか、とホスピスの須藤師長・ボランティアコーディネーターの鈴木さんと話し合いました。

去年までのお祭りの写真を見ると3密そのものです。
こういう光景に対する私たちの見方が、すっかり変わってしまったのを実感します。

一度にたくさん人が出ないようにして
でも露店風なことは行う。

患者さんはお一人ずつご案内して、楽しんでいただいたらどうか、ということになりました。

それから
人間織姫と彦星に登場してもらい、七夕の短冊の前で記念写真を撮るのはどうか、という案が出て「それいいね~」となりました。
短冊も押し花のシールが貼られたオリジナルです。

ボランティア衣装部がデザイン・製作・着付けをしてくれました。
人間〇〇はひな祭りやハロウィン、節分などでおなじみ。
得意中の得意かもしれません。
今までなかったのが不思議なくらいですが、これまでは露店に注力していたので考え付かなかったのでしょう。
これもひとつのイノベーション。

開始時間を待ちきれない患者さんがお部屋から出てきて、楽しそうに参加されていました。
お部屋にいらっしゃる患者さんのところへは、織姫と彦星が訪問し一緒に記念写真を撮らせていただきました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
ケガの功名というか、転んでもタダでは起きない私たちです。

幸せな働き方の一部として

院内のいろいろなところで、職員やボランティアさんたちが飾りつけをしています。
こうして表現できるというだけで、その人の強みというものを感じます。

ある方は「飾りつけ終わると、もう次の飾りつけをどうしようかな、と考えている」と言っていました。
根底には「誰かに喜んでもらいたい」「びっくりさせたい」という気持ちがあるんですね。

表現というのは誰かの記憶や感性を呼び起こしてくれます。
「きれい」「かわいい」「なつかしい」「ほっこりする」という言葉や「いつも楽しみにしている」「とても癒されている、ありがとう」というような感謝が、創作者のやりがいとなり、さらなる創造性につながります。

別な方は「ショーウインドウの飾りつけや雑貨のお店のディスプレイを写真に撮って参考にしている」とも言っていました。
そうやって視野を広げて新たなチャレンジを繰り返していくことで、洗練されていくのですね。

仕事そのものとは違ったとしても、こうした表現をすることが公認されていると
それがやりがいへつながる、幸せな働き方の一部になるのではないかなあと思っています。
これからも私は、そういう自由度を高めていこうと思います。

今週もこのブログに来ていただきありがとうございます。
くりかえし、くりかえす。