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看護部からのお知らせ

緩和ケアは「聴く医療」である

札幌は急に気温が下がり、朝晩冷え込む季節になりました。
10月5日(土)に徳洲会グループの緩和ケアセミナーが札幌で行われました。この会合は当院が言い出しっぺで始めたもので、今回が3回目。
全国に70以上ある徳洲会グループに呼び掛け、緩和ケア病棟のあるなしに関わらず、参加者は年々増えて今年は約100名になりました。

当院総長の前野のあいさつと基調講演でスタートし、一般演題の発表、特別講演では最新の疼痛治療と続きまして、シンポジウムは「Advance care plan:ACPをどのようにしていますか」をテーマに5人が自施設の発表をしてその後多職種でのグループワークへと続きました。

急性期病院では多職種で患者さんからお話を聞く時間がなかなか取れず、また聴けても共有する場を持てないこと、救急の場でのACPと終末期医療でのACPとはアプローチの仕方がちがうと現場の医師が感じていること、電子カルテを使っているのだから、患者さんのACPについて知りえた情報はみんなで共有する場所を作ったらどうか、などの意見にうなづくばかりでした。

薬剤師さんのこんな発言がありました。
入院患者さんに処方された薬を配薬するときに、薬剤情報という薬の作用・副作用を書いた紙を持っていって説明するのだが、患者さんの中には細かい字で書かれた紙を欲しいと思わない人がいて、それは顔を見ればわかるのだそうです。
患者さんがどんな情報を欲しがっているかは、患者さんから聴くしかない。
そこには医師には遠慮して言えなくて、ついうなづいてしまったがために処方された薬が入っていて、本当はいらなかったとか、そういうコミュニケーションの問題なんかも含まれています。
緩和医療自体が「聴く医療」だが、これからは緩和に限らずますます聴くことの重要性が高まっているんじゃないか、という話が印象的でした。
私は薬剤師さんがそのように考えて患者さんと向き合っていることに、新鮮な感動を覚えました。

他のグループの発表では「聴く人を専任で配置したらどうか」という発言もありました。
急性期病院ではどうしてもそういう分業の発想になってしまうのはよくわかります。しかし聴くことは誰かに任せても、大事なのはそれをどう共有して同じ方向に向かっていくか、であり、その時間さえとれなくなっているのだとしたら、私たち医療者は一体どこへ向かっていくのだろうか、などと考えさせられました。
少なくとも看護師は、聴くことを手放してはいけない。
そう思います。

それにしても、徳洲会といえば救急医療と認識されてきていた中で、これだけの人が緩和ケアに興味関心を持ってくれているのがうれしいです。孤軍奮闘している人も多くて、壁にぶち当たりながら自分だけは折れないようにと頑張っている人の努力をひしひしと感じます。
この緩和ケアセミナーの場が、これからも安全安心に発言できる温かい場であり続けるように、と願っています。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
全国ご当地みやげフェアも楽しかったです。