病院×アートの可能性とは?
11/29(火)第一回新築移転院内セミナーを行いました。
新築移転事業の成功の為に、「病院」「移転」などをテーマにさまざまなセミナーを開催することになりました。
その第一回目は「病院において癒しの空間をいかに創るか~病院アートの可能性~」というテーマで、「びょういんあーとぷろじぇくと」代表の日野間尋子さんをお招きしました。
日野間さんは病院の中に音楽や絵画・飾り付けなど多彩なアートを取り入れて、病院を快適な癒しの空間にすることをお仕事としていらして、臨床美術士・園芸療法士として国内外で活躍しておられる方です。
病院というところは病気やけがを治すところ。それだけでいいの?
最近新築された病院は、スタイリッシュで機能的な空間をつくられている所が多いですね。
医学的な思考や技術を持って患者さんの治療を行う病院に、アートは「創造的で柔和な問題解決の場をつくる」と日野間さんはいいます。
とかく私たち医療者は「エビデンスがあるのか」とか「治療成績としてはどれくらいなのか」という成果指標で評価する癖がついていますが、喧々囂々の議論の合間にアートでほっとする時間や空間を持ち、共有できたらそれは「創造的で柔和な」対話につながっていくのではないかと、私は思います。
それは単にきれいな絵を購入して飾る、ということだけでなしに制作者と患者さんと医療者が相互にアートを通じて交流することから始まるものだと思うのです。
病院にはどこにでもアートの可能性はある
日野間さんの語る病院アートは既成概念を破り、病院の外にも中にも天井にも、縦横無尽に空間を使って自由な発想を表現するものでした。
もともとこういうことが大好きな私は講演を聴いていて胸がどきどき。
ああ、これやってみたい。
これもいいなあ。
今、うちの病院でもできるんじゃないか?
などと大いに触発されました。
数年前に訪れたニューヨークの病院では、CT室の壁に海中の絵が描かれていました。
CTのとき患者さんは天井や壁しか見ませんものね。
最近の新しい病院は、最初からデザインも素晴らしいですが、たとえ当院のような古い壁でも、広いキャンバスと考えれば、自由な発想でいろんなことができそうな気がします。
人の手を通した温かさは病院だからこそ必要
当院のあちこちにある飾り付けは患者さんやご面会の方に大変好評で、職員も時々立ち止まって見ている人がいます。
手作りの温かさは見る人の心に染み入り、時に感動の涙をこぼすこともあります。
先日当院で行われた「ボールペン画の世界展」でも、制作者ご本人とご家族、医療者、見てくれたお客さんとの心の交流が深まりました。
患者さんやご家族にはほんの一時でも病気を忘れさせてくれたり、職員には仕事の合間にほっとする空間だったり、アートが得意な職員は新たな着想を得る場所だったりします。
こういうことが、柔軟な頭と心、癒しにつながり何らかの影響があることを私たちは確実に体感しているのですが、採血データが良くなった、というように成果として表すのは難しいですね。
新病院建設の際には庭園も含めたアートプロジェクトとして、私たちの病院にも取り入れたい要素がたくさんありました。
日野間さん、ご講演ありがとうございました。