死別の悲しみ~緩和ケアセミナーから~
こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
1月11日から降り続いた大雪の影響は、週をまたいでもまだ続いていて、路肩に積み上げられた雪は3メートルはあるんじゃないか(目測なので確かではないのですが)と思います。
今わたしは週の半分は歩いて通勤しているので、毎日歩道の状態が改善していくのが気持ちよく、感謝の念が湧いてきます。
さて先日地域緩和ケアセンターruyka(ルイカ)で、ナースのための緩和ケアセミナーが行われました。
「知ってほしい悲嘆ケア」と題して、当院教育師長の梶原陽子さんがファシリテーターをつとめました。
サブタイトルに「死別の悲しみを経験したご遺族の視点から」とあるように、在宅緩和ケアを受けられた患者さんのご遺族お二人にお越しいただきました。
梶原師長が死別の悲しみの経過について理論やデータを使ってレクチャーし、それについてご遺族の方に質問をしていく、という風に進行されました。
たとえば大切な方を亡くした直後は、悲しみに浸る時間もなく慌ただしいものですが、煩雑なものごとがある程度終わり、弔問客も来なくなったころから悲しみや寂しさが実感されるというデータがありました。大切な人を亡くした経験のある方はおわかりいただけるかと思います。
ご遺族の方は、日常の何気ない風景や習慣の中に「ああ、もういないんだ」と実感し、現実を突きつけられて悲しみが押し寄せてきました、と仰っていました。
これは亡くなって3週目以降のことであり、周囲の人たちは大概それまでには葬儀に出たりお悔やみを伝えたりしているため、なんとなく励ましたような気持ちになっているものです。
ご遺族も仕事に戻ったり、表面上は日常生活を取り戻してはいるのですが、ふとした瞬間にその人と過ごした暮らしの片りんを見つけて、急に涙がこみあげてくるのです。悲しみの強さや長さには個人差がありますけれども、およそ半年くらいの間はそういう感情の波が動くものとされています。
悲しみは無理をして抑え込むものでもなく、消す必要もありません。
本格的な悲しみはそのように時期が少し遅れて感じられるのだ、ということが改めてわかりました。
医療者は、第三者でありながら身内の一番近くにいてご家族丸ごとの様子を知っている存在です。ケアをする、というよりは一番近くにいさせてもらった医療者として、その後の気持ちを聴かせてもらう、ご遺族は話すことで心を整えていくことができる、そんな風につながっていけたらいいなと感じました。
ちなみに梶原師長は四十九日の頃に、ご遺族に電話をかけているそうです。
今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
このような場でお話してくださるご遺族とつながっているのも、在宅医療の強みですね。
地域緩和ケアセンターruykaホームページは
https://ruyka2021.wixsite.com/website