ホスピスのこころでつながっている
ホスピスでは毎週水曜日の午後に音楽と飲み物を自由に楽しんでもらう時間を設けています。
音楽療法士の先生がピアノを弾き、飲み物のメニューから選んでボランティアさんが運んでくれる、カフェのような時間です。
「なにかリクエストはありませんか?」と音楽療法士の先生が呼びかけました。
とある患者さんが「リクエストしたいんだけど、曲名がなんていうかわかんないんだよ」
ともどかしそうにしています。
「朝ドラの「マッサン」で主人公のエリーさんが歌っていた、あの、よく聴く歌で・・。イギリス民謡じゃないかと思うんだけど?」
その場にいたドクターがスマホで検索し、画面を患者さんに見せたら「ああ、それそれ!」とおっしゃいました。
さらに画面を見て確認したナースが一名、ぴゅーーっと詰所にもどったかと思ったら、ほんの数分で戻ってきました。
「はい、先生!」と音楽療法士の先生に渡したのは、さっきリクエストのあったイギリス民謡の楽譜でした。
ネットで調べてプリントしたのです。
今、患者さんが聴きたいと思っている曲を叶えるためにどうすればいいかを瞬時に判断して結果を出す。
私はこのナース、デキる人だな~と思いました。
彼女はこんな風に、人が求めているものをすぐに察知して行動する人でした。
誰にも気さくで温かく、世話好きで涙もろいのにさっぱりした人でした。
でした、と過去形にするのは今月で当院を卒業するからです。
当院でしっかりとホスピスのこころを学び実践してきた彼女は、遠く九州の緩和ケアで働く予定です。
そこでまた人々を幸せにし、大きな木になることを遠くから見守っています。
長い間ありがとうございました。
今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
しばらくみんなさみしいね。