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看護部からのお知らせ

「音楽療法の可能性」講演会を聞きました

6月28日、音楽療法士でNPO法人「和・ハーモニー音楽療法研究会」代表の中山ヒサ子さんの講演会が院内で行われました。

20世紀初頭から医療分野では音楽療法のニーズがあり、戦争によってアメリカで急速に発達したことなど、歴史的背景の説明がありました。
日本ではようやく認知され出したところで、アメリカとの間にはすでに50年位の差があるそうです。
緩和ケアだけではなく、認知症・パーキンソン病・人工呼吸器装着の方にもストレスを軽減するエビデンス(根拠)が証明されているそうです。
透析中に音楽を聞いていると、透析時間が短く感じられるとか。
手術中に執刀医の好きな音楽が流れると、手術が順調に進むのは私が看護学生だったころから知られていました。
なんとなく、わかりますよね?

音楽療法というのは、患者さんが希望する音楽や歌を奏でて一方的に慰めるというものではなく、
対象者が自分で花を摘むのを支える、相互人間関係的プロセスだと中山先生はおっしゃいました。
中山先生が以前入院されて、ベッドから起き上がることもできないときには、音楽はなんの慰めにもならなかった、むしろ音が体に刺さる感じがしたそうです。どんなに柔らかい音ややさしい音色であっても、その人にとって受け入れられる状況になければ、すてきな音楽も害となりうる、だからその音が対象者にとって効果的かどうかを、表情やしぐさから読み取り、害になるとわかったら音は出さないのだそうです。

音楽療法も万能ではないのです。と中山さんはきっぱりとおっしゃいました。

そのお話を聞いて思い出したことがありました。
私は30代の後半に「うつ」になったことがありまして、約3か月くらい仕事を休んでいました。
休んで最初の頃は家族以外の人とはほとんど接触できず、日常の様々な音が癇に障り、特にテレビの音、女性の甲高い声が聞こえるととても不快な気持ちになりました。

2か月ほど経って、だいぶ元気になってきた頃、職場の人が私をコンサートに誘ってくれました。
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」という映画が少し前に流行っていて、私はこの映画の音楽と、出演していたバンドメンバーの個々のストーリーが好きでした。そのグループがキューバから札幌に来るというのです。


もう80歳代のメンバーもいるため、札幌で見られるのはこれが最後かも知れないということで、私もリハビリを兼ねて「じゃあ行ってみる」という気持で出かけたのですが、公演が始まったとき私は早くも来たことを後悔していました。
まさしく、音が体に刺さる、という感覚に近いものがありました。
刺激が強すぎたのです。
それでも、誘ってくれた人たちに申し訳ないなあという気持で最後までいたのですが、公演内容はほとんど記憶にありません。
せっかくなのに、もったいないことをしました。
でも、それは行ってみたからわかったことでもあるのです。
「まだあなたには早いよ」と体が教えてくれたんですね。そう感じ取れたということが大事な体験だったと今は思います。
好きな音楽でも残念ながらこういうことはある。
逆に、聞いたことのない音楽が癒しにつながる可能性もあるってことです。
何事もやってみないとわかりません。

中山さんのお話を聞いて、音楽やアートなど、患者さんの回復と癒しを支えるものを「ご自分で摘めるように支える」ことが大事だなと、学びました。これは今当院で取り組んでいる「あ・ぐり~んプロジェクト」にも言えることです。
押し付けではなく、あくまでご本人の気持ちがそこに動いたとき、きっと何かが生まれるのでしょう。
中山さん、すばらしい講演でした。ありがとうございました!

中山さん・音楽療法についてはこちら↓
http://wa-harmony.music.coocan.jp/

 

今日もこのブログに来ていただき、ありがとうございます。
快か不快か?
伝えられない人の気持ちを察するための、五感を鍛えておかなきゃね。