カテゴリー: ホスピス関連

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    ホスピス10周年&ホームケアクリニック札幌5周年記念講演会

    昨日、秋晴れのホテルさっぽろ芸文館で、上記の記念講演会が開催されました。
    1年以上前から企画をしていたのですが、ようやくこの日が来たと思いました。

    今回は、3部構成で第1部は、札幌南青洲病院ホスピスの10年とホームケアクリニック札幌
    の5年のあゆみをそれぞれ振り返りました。ホスピスの10年は私が担当しましたが、過去の写真
    を探したり、過去にいたスタッフの写真を見たりすると、それぞれに懐かしさと時代を感じる
    時間でした。10年間という時間で、ホスピスで働く人たちは随分変わりましたが、最初に作り
    上げようとしたその理念はしっかりと根付いていると感じました。

    第2部はアンサンブルグループ奏楽(そら)さんたちによるミニコンサートでした。その
    プロデュースは、ホームケアクリニック札幌の院長の前野先生で、前野先生が選曲した音楽を
    すてきなピアノやバイオリン、オーボエなどで演奏していただきました。第2部の最後は中島
    みゆきの「時代」をフロアのみなさんと合唱しました。

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    第3部は我らホスピス医の第一人者である柏木哲夫先生の講演会でした。「ホスピスのこころ
    を深める」というテーマで、いろいろな話に及びました。ホスピスケアというのは、当初は支える
    ことと思っていたが、そうではなく『寄り添う』ことであることを。人は強い苦悩を与えられた時
    スピリチュアルペインが覚醒してくるので、それをケアするのもホスピスケアだということ。
    また、ホスピスのこころを深めるにはケアをする一人ひとりが『人間力』を高めることと話されて
    いました。

    柏木先生20131019

    この10年のあゆみに感謝し、それぞれが人間力を高めて、一歩一歩進み、さらにいいホスピスを
    作っていきたいと思った記念講演会でした。

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    ひだまりの会

    先週の土曜日、当院のホスピス病棟の遺族会である「ひだまりの会」が開催されました。ホスピス病棟が
    出来て今年で10年になるのですが、3年目からご遺族に案内を出して遺族会を開催するようになりました。
    今年で8回目になります。
    目的は、御遺族のグリーフケア(悲嘆のケア)です。ホスピスで愛する人を亡くした後、残された家族
    はやはり日常の生活を送っていかなければなりません。ホスピスケアは、不治の病を抱えた患者さんと
    御家族に残された時間を大切にするケアを提供していますが、患者さんが亡くなった後の遺族のケアも
    ホスピスケアの一つと言われています。諸外国では、この遺族のケア(グリーフケア)が、ホスピスの
    仕事として認識され、ボランティアの人たちも交えながら広く行われているようです。

    毎年、このひだまりの会が少しでも良くなるようにと病棟のスタッフ達と改善点を見つけながら、やって
    来ました。今年の試みとして、いつも年1回の開催を今年は2回分けてやってみることとしました。
    今までは、ホスピス病棟で亡くなられた患者さんを過去3年間に渡って案内を出して、年1回のペースで
    遺族会を開催してきました。反省点の一つに、たくさんのご遺族が来ていただけて良かったけれど、
    もう少しいろいろなご遺族の話を聞きたかったということでした。
    そうするためには、来ていただくご遺族の数を少し減らす必要があるということになり、今年の遺族会は
    対象者を半分にし(1年半ずつ区切り)、開催を1回から2回に増やしてみることとなりました。

    実は、9月7日に1回目の遺族会を開催し、先週の土曜日は2回目の開催だったのです。
    今年は、1回目の参加者は予想外に少なく、2回目の参加者は予想以上に多かったです。それでも、どちら
    も御遺族のいろいろな話を聞くことができ、とてもいい会になりました。いつも、反省会でスタッフで
    話しているのですが、この遺族会はスタッフの癒やしにもなっているのです。

    参加していただいた方、本当にありがとうございました。

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    沼野尚美先生講演会

    今日は、アパホテル&リゾート札幌で上記の先生の講演会がありました。沼野先生は、当院の
    ホスピス講演会の3回目(平成19年2月)の時に特別講演でお呼びした先生です。

    沼野尚美先生のことを少し紹介しますと、わが国で一番長くホスピスの現場でチャプレン
    (病院付き牧師)をなさってきた先生です。病院の薬剤師から病院のチャプレンに転職
    なさり、これまで9つ以上の緩和ケア病棟で勤められ、3000人以上の方々の生と死に関わって
    来た方です。

    今回の講演会は参加者に看護師さんが多かったためか、その方達に送るメッセージとのこと
    でした。テーマは「スピリチュアルケアの叫び」
    6つのことに分けて話してくれました。
    1.残された時間の使い方の叫び
    予後告知は何歳になっても、聞くことは辛いとのこと。残された時間をどう使うかは
    難しい。
    2.なぜ私ががんになったのか。
    この問いには答えはない。返事はしなくていいと。
    3.人生の後悔から来る叫び
    現在は緩和ケアの技術が進み、痛みなど症状緩和がうまくいくようなり、自分を振り返る
    時間が持てるようになった。そのために人生の後悔を考えるようになったとのこと。
    症状緩和だけでなく、心のケアも同時に必要になった。
    4.死をめぐっての叫び
    残り1ヶ月を切るようになると本人も家族も命の短さがわかる。そういうときに死に対する
    質問が出ると。その時、スタッフは生きることを支えること
    5.希望を求める叫び
    希望は変化できるし、してもいい。日々の生活の中で喜びと楽しみを増やすように工夫する。
    6.誠実な愛を求める叫び
    患者さんが大切にされていると感じるようにすること。きちんと言葉で伝えること。これが
    医療者が一番苦手にしていると。

    1時間半の講演会があっという間に終わりました。いつも沼野先生のおしゃべりは楽しく、
    ユーモアがあり、そして考えさせられた講演会でした。

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    全体集会

    毎年、春先に病院の職員向けに全体集会というものを開催しています。普段は朝礼などで
    病院の最近の出来事や今後のことを話しているのですが、一年に一度、病院のトップから
    今後の病院の目指す方向について話す機会を設けています。前任の前野先生が院長時代から
    開催しており、今年で私が院長になって3回目の全体集会が昨日開催されました。

    そこでは、私はいつも今年度の目標の意味合いを話しております。今年の病院の目標は
    『信頼と深慮』です。
    その目指すところを少しお話しますと、当院の理念の一つである「ホスピスのこころを
    大切にする病院」というのがあります。ホスピスケアを実践するにはチーム医療がとても
    大切です。チーム内には医師、看護師以外にも薬剤師や理学療法士、ソーシャルワーカー
    など色々な職種がいます。そのチームには対等な立場で関わっていくという基本姿勢がある。
    つまりお互いに信頼関係があるというのが大切と思い、まず『信頼』というキーワードを
    決めました。
    もう一つ、ホスピスという言葉にはおもてなしという意味があります。その言葉を何か
    日本語の熟語で表すものはないかと探し、『深慮』となりました。深慮はそのままでは
    深く、静かに考えることという意味ですが、別な意味で人の気持ちを思いやるという意味
    もあり、これがおもてなしの心、ホスピスに通じると考え、二つ目のキーワードとして
    『深慮』としました。
    信頼と深慮と二つ並べて、「しん・・」と「しん・・」となり韻を踏んでいて、我ながら
    素晴らしい出来と思いました。

    今年の目標を胸に秘め、今年も一年病院の職員と頑張りますのでよろしくお願いします。

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    支えること、寄り添うこと

    昨日、道新ホールで第50回札幌ホスピス緩和ケアネットワーク定例会の特別講演会
    が開催されました。「ホスピス緩和ケアの原点を考える」と題して、講演会とシンポジウム
    が催されました。

    特別講演会の講師は、我々の尊敬する柏木哲夫先生。日本のホスピス緩和ケアの草分け的存在
    で、日本で最初に淀川キリスト教病院でホスピスケアを提供した方です。
    元々は精神科医でありながら、アメリカ留学中に出会ったホスピスケアに目覚め、45歳から
    ホスピス医へと転身。その後の経歴は、他に譲ることとして、常に日本のホスピス緩和ケアを引っ
    張って来た方です。

    この講演では、ホスピスの原点は最初は、末期の患者さんの支えるという視点が原点だったと話して
    いました。つまり、「その人がその人らしい人生を全うするのを支える」という立場を取っていたと。
    しかし、最近では、「その人がその人らしい人生を全うするのに寄り添う」という視点が大事と
    思うようになったとのことでした。
    がんの治療期には、「この治療に頑張ろう」という励ます姿勢でいいが、再発・進行がんの時期
    には支える姿勢、そして末期がんの時には寄り添うということが重要であることを繰り返し講演
    では話していました。

    そして寄り添う人に求められるものは『人間力』とのこと。その人間力を10個挙げていました。
    1.聴く力  2.共感する力  3.受け入れる力  4.思いやる力  5.理解する力
    6.耐える力  7.引き受ける力  8.寛容な力  9.存在する力  10.ユーモアの力

    どれも大切な力だと思いました。一つ一つ人間力をつけることが、患者さんに寄り添うことが
    できる人間になれることを考えさせられた講演でした。

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    ホスピスでのイベント

    北海道はまだまだ雪が一杯積もっていますが、最近ようやく気温も高くなってきました。
    3月3日はみなさんご存知の通りひな祭り。ホスピスでは季節に合わせてのイベントを繰り広げて
    いますが、今回はその「ひな祭り」。ホスピス病棟にはひな壇も飾られ、春の気分が漂い始めています。

    今日の午後、ひな祭りがありました。毎年ボランティアさんが色々と準備をしてくれるのですが、
    そのメインがお内裏様とおひな様が登場してくれることです。
    患者さんもその豪華さにびっくりされていました。

    と言いながら、5年連続でお内裏様をやっているのが私。詳しくはひだまりブログを参照してください。
    (いや、見ないでください。頭痛がして寝込んでしまうかもしれません)

    ホスピスの患者さんに楽しんでもらえたのがとても嬉しかったです。

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    死別を体験した人が、一番聞きたくなかった言葉

    先日、尊敬するアルフォンス・デーケン先生の講演会が恵庭市民会館でありました。
    道央地区在宅緩和ケア・ネットワーク主催の講演会でした。恵庭地区で在宅緩和ケアを
    頑張っている緩和ケアクリニック恵庭の柴田岳三先生が代表をやっています。
    柴田先生のクリニックとは当院は連携しており、患者さんで困ったことがあれば受け入れを
    しています。

    さて、講演の内容はいつものように多岐にわたりましたが、本人執筆の最新刊『心を癒す言葉の花束』
    (集英社新書)から引用されたものもいくつかありました。

    その中で死別を体験した人が、一番聞きたくなかった言葉というのが9つあるとのことでしたが、
    紹介しますと、
    1.「がんばろう」「がんばってください」
    2.「泣いてはダメです」
    3.「早く元気になってください」
    4.「私にはあなたの苦しみがわかります」
    5.「あなただけではない。まだいい方です」
    6.「もう立ち直れた?」
    7.「時が癒すから大丈夫」
    8.「先祖のたたりです」「天罰です」
    9.「苦しまなくて良かったですね」「楽になってよかったですね」
    だそうです。詳しくは本を読んでいただいたらいいのですが、いつも診療に関わっている
    私たちにとっても気をつける言葉だなあと思いました。
    ご家族を亡くし悲嘆にいる方たちは、やはり時間をかけて回復してくるのは、ホスピス病棟の遺族会を
    やっていて感じていましたが、その真っ只中にいるかたに「時が癒すから大丈夫ですよ」というのは
    禁句なのですね。気をつけようと思いました。

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    ホスピス9周年

    当院のホスピス(緩和ケア病棟)が開設されたのが、平成15年11月25日でした。
    数々のドラマの中から生まれたこのホスピスはさながら以前NHKで放送されて
    いた『プロジェクトX』のようだったと聞かされたことがあります。

    現副理事長である前野宏先生が平成13年4月に当院に院長に赴任したときには
    ホスピスの「ホ」の字も無かったこの病院に、一からホスピスマインドを導入。
    「ホスピスのこころを大切にする病院」を理念に掲げ、その中から作り上げたものでした。
    平成16年の時点で札幌市内では5番目、北海道では7番目に開設されたホスピス。
    当初はよちよち歩きだった当院のホスピスもすでに1300名以上の方に利用されました。
    これもみなさんの力のお陰と思っています。

    今日は、そのホスピスの誕生会を開催しました。日中の仕事を終えた後、カンファレンス
    ルームに集まり、ホスピスに関係する人たちでささやかなお祝いをしました。

     

    2012-11-29

     

     

     

     

     

     

     

     

    これからも札幌南青洲病院のホスピスに行ってよかったなと思えるように頑張ります。

     

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    第36回日本死の臨床研究会年次大会(京都)

    今年の日本死の臨床研究会年次大会は11月3、4日と秋の京都で開催されました。
    京都と言えば、私は中学生の修学旅行の場所です。大会の前日と、大会終了後に
    いくつかの場所を訪れ、とても懐かしく感じました。やはり京都はいいですね。
    もう少し紅葉が進んでいればもっと良かったのにと思うのは贅沢ですね。

    研究会では、当院から事例検討の発表をしてきました。ある精神病をもったがん患者
    さんとの関わりから悩んだこと、うまくいったことなどを会場に来てくれた参加者と
    共に意見を出し合い、振り返ることが出来てとてもいい発表になりました。
    発表は当院ホスピスに勤める看護師で、私とホスピス看護師長は共同演者ということで
    フロアで待機する形でした。

    それ以外にも興味ある内容のものばかりで、時間がいくらあっても足りませんでした。

    2日目の昼に上映した「いのちがいちばん輝く日」は、先日見学に行ったヴォーリズ記念病院
    ホスピスでの40日間の出来事をまとめたドキュメンタリー映画で、まさにホスピス病棟で
    なされていることがそのまま映像となっていました。
    通常の映画のように、一つ一つのカットをリハーサルして、本番をやってというのではなく、
    ホスピス病棟での日常をそのまま映像に残したものでした。
    徐々に体が弱っていく患者さんをそのまま写し、亡くなる患者さんとその家族をまったく
    編集なしでそのまま映像化した素晴らしい映画でした。
    私たちがホスピスで行っていることが、そのまま映画の中にあると感じました。

    この映画は来年札幌で上映されるようです。その時には、みなさんにお伝えします。

    十分に満たされて秋の京都を後にし、札幌に帰ってきました。

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    ヴォーリズ記念病院ホスピス訪問

    今年の死の臨床研究会全国大会は京都で開催されます。今年も、当院のホスピス病棟からの発表も
    あり、参加します。
    それだけでは、もったいないと考えた私は、今回無理を言ってヴォーリズ記念病院のホスピス病棟
    の見学をさせてもらいました。一日早く札幌を出て、11月2日の朝にはヴォーリズ記念病院に入れるように
    昨日は名古屋に泊まりました。

    ヴォーリズ記念病院のホスピスは2006年9月に開設。その当初から関わっているのが、ホスピス医の
    細井順先生です。細井先生は、元は外科医で淀川キリスト教病院で働いていて、外科医からホスピス医
    へ転身した先生です。当院の副理事長である前野先生とも旧知の仲間です。

    ヴォーリズ記念病院のホスピス病棟は16床。独立型の病床で、病棟は2階建てで、2階に病室があり
    全室個室です。木のフロアで、木目調を大切にした病室で、広いデイルームがあり、畳の部分には
    「こたつ」があり、やはり本州だなと思いました。

    2012-11-02

     

     

     

     

     

     

     

     

    朝のカンファレンスから参加させてもらいまいたが、当院と同じように各職種の人たちが集まって、
    夜勤の看護師からの申し送りに始まり、その後の担当看護師からの今日の予定など、基本的には当院と
    同じようなスタイルでした。細井先生も当院のホスピスのベースも淀川キリスト教病院のホスピスの
    流れなので、このようになるのだなと思いました。

    その後は、細井先生の回診に付かせてもらいました。細井先生の飾らない姿勢。私たちにはない関西弁
    のしゃべり。じっくりと患者さんに向かっているなと感じました。最近、忙しくしている自分を反省する
    機会となりました。

    ちなみに細井先生は、自分自身ががんを経験してからは、白衣を着ることを止めたそうです。医者の白衣
    はやはり権威に映るそうで、ホスピスでの平等の意識とはかけ離れていると思い、それから白衣を脱いだ
    そうです。
    そのエピソードを聞いて、私もまねをしました。それが、当院のホスピス医が白衣を着ていない理由です。

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    第20回日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会 inとかち

    9月8日、9日の二日間、帯広で上記研究会の全国大会が開催されました。
    ホスピス緩和ケア領域の中では全国的な組織がいくつかありますが、その中でも
    古い部類の研究会だそうです。
    がんや在宅ケアなどの今日的な医療や福祉の諸問題について専門家と市民が同じ高さの
    目線で考えるために1992年に設立されたそうです。
    第1回の大会は兵庫県で開催され、全国各地を持ち回りで開催しているようです。
    今年は帯広での開催となりました。
    当初は北斗病院に勤められていた山下浩介先生が大会長を務められる予定でしたが、
    昨年急逝されてしまい、北斗病院の理事長の鎌田一先生が急遽代役をやられたという
    経過がありました。

    北海道の帯広というところで開催したためか、少し参加者は少なめでしたが、講演は
    ケアタウン小平クリニックの山崎章郎先生や野の花診療所の徳永進先生、作家の柳田
    邦男やふじ内科クリニックの内藤いづみ先生など多彩で非常に有意義な話をたくさん
    聴くことができました。

    帰りは大雨の中、無事JRも止まらず札幌に帰って来られたのが幸いでした。

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    ひだまりの会

    昨日は、ホスピス病棟の遺族会「ひだまりの会」が開催されました。
    今回は数えて7回目。4年前に在宅ホスピスのホームケアクリニック札幌が開設
    されてからは、ホスピス病棟で亡くなった患者さんのご遺族と在宅で亡くなった
    ご遺族にお知らせをして、一緒の遺族会を年1回行っていましたが、今回からは
    ホスピス病棟でのご遺族と在宅でのご遺族の会を別々に持つことになりました。
    理由はいくつかありますが、ホスピス病棟で看取ったご遺族と在宅で看取った
    ご遺族の境遇の違いもありますし、関わるスタッフも違うということもあり、
    今年からは分かれて遺族会を開催することになりました。

    今年も約20家族ぐらいの方に参加していただきました。いつもは6人程度に
    グループ分けをして、それぞれのテーブルで思いを語ってもらうことにしていた
    のですが、今回は少し趣向を変えて、前半は各テーブルでの語らい、後半は
    全員でぐるっと円を描いて(下の写真)、顔を見えるようにして、それぞれの思いを
    語ってもらうようにしました。

    亡くなってからまだ時間が短くまだ悲嘆の中にあるご遺族や十分なことをやって
    満足されているご遺族など色々な立場の方がいることがわかりました。
    満足な遺族ケアというわけはありませんが、こういう場を用意することで少しでも
    役に立てればと思いながら、ひだまりの会を後にしました。

    なお、昨年は7月に開催して、暑くて暑くて大変だったので、今年は9月に開催した
    のですが、北海道らしからぬ残暑に見舞われ、やはり暑いひだまりの会となりました。
    スーツの私のシャツの下は汗びっしょりでした。

    2012-09-03

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    アルフォンス・デーケン先生の講演会

    昨日、札幌社会福祉総合センターでNPO法人和・ハーモニー音楽療法研究会の
    主催の研修会として、アルフォンス・デーケン先生の講演会がありました。
    「寄り添うこころー音楽の力とユーモア-」と題して1時間30分の楽しい
    お話がありました。
    このブログを読んでいる人はご存知かもしれませんが、私は昨年9月にアル
    フォンス・デーケン先生と行くカナダ・ホスピス視察研修に参加してきました。
    もう80歳近い年齢にもかかわらず元気に歩き回る姿、ユーモアあふれる話し方
    はとても素晴らしいです。
    今回は久しぶりにお目にかかれると思い、とても楽しみにしていました。

    アルフォンス・デーケン先生は上智大学で日本で初めて死を教える講義の
    「死の哲学」を30年以上開講していました。死を教えること(デス・エデュ
    ケーション)は大切で、いかに人間らしく死を迎えるかを考えると、いかに最後
    まで人間らしく生きるかということにつながるという考えです。

    今回の講演では、色々な話にまたがり、もちろん音楽療法研究会主催の講演なので
    音楽療法の効用に関しても深い洞察がありましたが、印象に残ったことは以下の
    ことでした。
    デーケン先生はドイツ生まれですが、ドイツ語では動物の死と人間の死は違う動詞
    を使うそうです。動物には「verenden(フェアエンデン)」、人間には「sterben
    (シュテルベン)」を使うそうです。肉体的な衰弱のプロセスは人間も動物も一緒で
    年を取って病気になり、そして死に至りますが、大きな違いは、人間は肉体の衰弱
    のプロセスの中でも、まだ人間として精神的に成長できるということです。
    肉体的には衰えても、成長していけるのが人間。だから人間の死には動物とは別の
    動詞を使っているのだと。

    私たちホスピスで働いていると確かにそういう人に出会います。入院している人は
    必ず肉体的には衰えていきます。でも、気持ちの上でも、精神的にも安定して、
    周りに感謝して旅立つ人を見ると、なんて人間はすごいんだろうと感心することが
    あります。淀川キリスト教病院の名誉ホスピス長の柏木哲夫先生はそれを「人生の
    跳躍」と表現していました。

    みんな一人ひとりがそんなふうになれるように、援助できればいいなと思いました。

    日曜日の午後、素晴らしいひとときを過ごし、家路につきました。

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    平岡梅林公園

    今日は、ホスピス病棟の花見でした。毎年平岡公園の梅林が見所なときを見計らって
    病棟の患者さんを連れて行くのが恒例となっています。

    先週の時点では5月16日水曜日の天気予報は晴れ。ゴールデンウィークに梅林も開花し、
    ちょうど見頃になっているとスタッフで喜んでいたのですが、週末にかけて天気予報が
    変わり、13日の日曜日の時点では火曜日、水曜日と雨の予報。ガーン!
    昨日は朝から降ったり止んだりの雨模様。このままでは明日は中止だなと完全に思って
    いました。病棟師長には「明日は無理しないで中止にしたら?」と声をかけましたが、
    「いや、どうなるかわからないから、明日の朝判断します」と。そして夜もかなり雨の
    降っていました。
    ところが、朝起きると少し雲が切れており、晴れ間が出ていました。もしかして今日は
    花見に行けるのではと病院に出てきたけれど、その後雨。う~ん、やっぱり中止かと
    思ったけれど、病棟師長は「今日までいろいろと準備してきたので決行します!」と
    朝の8時会で発言。

    9時30分頃からみんなで分担して患者さんを介護タクシーに乗せ、平岡公園へ。
    公園滞在の約2時間はなんとか雨に当たらずにすみました。一緒に行ったある患者さん
    の家族が「母は実は”晴れ女”なんです。どんなときにも必ず晴れるんです」と。
    どんなてるてる坊主よりもその患者さんのお陰で無事花見が終了しました。
    いやー、本当にこんなこともあるんですね。みんながホスピスに戻ってきてからは
    外はジャージャーと雨が降っていました。

    花見の模様は”ひだまりブログ”を見て下さいね。

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    札幌ホスピス緩和ケアネットワーク特別講演会

    昨日、上記の特別講演会が道新ホールで開かれた。第一部はケアタウン小平クリニックの
    院長の山崎章郎先生。第二部は「つながる」と題してのシンポジウムだった。シンポジストは
    計5名が登場しました。

    第一部の山崎先生は本来なら昨年この講演会に来る予定でしたが、昨年3月の東日本大震災の
    ため、診療所を離れられず来道が中止。今年はその代わりということでいらっしゃいました。
    いつものゆっくりとした話からは、山崎先生の思いが伝わってきました。
    外科医として一般医療現場ではがん患者のターミナル・ケアには限界があると感じ、
    外科医からホスピス医へ転身。約10年以上聖ヨハネホスピスで働いていたことに満足を
    感じていたが、現在の医療制度ではホスピスケアが提供されるのは、がんの終末期の患者さん
    とエイズの患者のみという現実が目の前にあった。それ以外の患者にも提供されるべきであり
    そのためには、そのまま聖ヨハネホスピスにはとどまれないと思い、地域に出て行こうと
    考え、ケアタウン小平クリニックを立ち上げた。山崎先生はそれをコミュニティケアと呼んだ。

    現在、ケアタウン小平クリニックでは常勤医3名で常時100名近くの在宅患者を診ている
    とのこと。そのうちがん患者は約30名とのこと。地域にホスピスケアをどのように提供して
    いっているかを学ぶことは、私たちの今後にもとても参考になると思いました。

    約4年前に当院の在宅部門としてホームケアクリニック札幌を立ち上げ、順調に来ていますが、
    がん専門の在宅に特化しています。ここで更に在宅医療を進めるためにも、札幌南青洲病院が
    再び在宅の方に力を入れていくことが必要だと、講演会では感じました。

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