アルフォンス・デーケン先生の講演会

昨日、札幌社会福祉総合センターでNPO法人和・ハーモニー音楽療法研究会の
主催の研修会として、アルフォンス・デーケン先生の講演会がありました。
「寄り添うこころー音楽の力とユーモア-」と題して1時間30分の楽しい
お話がありました。
このブログを読んでいる人はご存知かもしれませんが、私は昨年9月にアル
フォンス・デーケン先生と行くカナダ・ホスピス視察研修に参加してきました。
もう80歳近い年齢にもかかわらず元気に歩き回る姿、ユーモアあふれる話し方
はとても素晴らしいです。
今回は久しぶりにお目にかかれると思い、とても楽しみにしていました。

アルフォンス・デーケン先生は上智大学で日本で初めて死を教える講義の
「死の哲学」を30年以上開講していました。死を教えること(デス・エデュ
ケーション)は大切で、いかに人間らしく死を迎えるかを考えると、いかに最後
まで人間らしく生きるかということにつながるという考えです。

今回の講演では、色々な話にまたがり、もちろん音楽療法研究会主催の講演なので
音楽療法の効用に関しても深い洞察がありましたが、印象に残ったことは以下の
ことでした。
デーケン先生はドイツ生まれですが、ドイツ語では動物の死と人間の死は違う動詞
を使うそうです。動物には「verenden(フェアエンデン)」、人間には「sterben
(シュテルベン)」を使うそうです。肉体的な衰弱のプロセスは人間も動物も一緒で
年を取って病気になり、そして死に至りますが、大きな違いは、人間は肉体の衰弱
のプロセスの中でも、まだ人間として精神的に成長できるということです。
肉体的には衰えても、成長していけるのが人間。だから人間の死には動物とは別の
動詞を使っているのだと。

私たちホスピスで働いていると確かにそういう人に出会います。入院している人は
必ず肉体的には衰えていきます。でも、気持ちの上でも、精神的にも安定して、
周りに感謝して旅立つ人を見ると、なんて人間はすごいんだろうと感心することが
あります。淀川キリスト教病院の名誉ホスピス長の柏木哲夫先生はそれを「人生の
跳躍」と表現していました。

みんな一人ひとりがそんなふうになれるように、援助できればいいなと思いました。

日曜日の午後、素晴らしいひとときを過ごし、家路につきました。


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