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WEBセミナーホスピスのこころ

第4回 「Hospitality おもてなし」

ここでは「ホスピスのこころ」とおもてなしについて考えてみましょう。
私たちが考えるおもてなしは、大切なお客様、友人などを我が家に迎え入れる時のおもてなしといった感じです。
当院に入院しているある男性の患者さんが「みなさんが温かく接してくれて、ああ、私はここに居ていいんだな、と感じました。」と言ってくださいました。とてもありがたい言葉ですが、裏を返すと、「私はここに居ていいんだろうか。」とか「私はここでは大切にされていない。いないほうが良いのだろうか。」といった感じを与える医療機関があるということだと思います。また、同様に当院に入院しているある女性の患者さんは「ここは、病院らしくない病院ですね。とても居心地がいいです。」とお褒めの言葉をいただきました。
私たちは当院に来られた患者さんが「ここに来てよかった。」とか「居心地がいい。」と思っていただけるようにおもてなしをしたいと考えています。それでは、心のこもった良いおもてなしの要素はどのようなことでしょうか。
まずは、病院の建物や周囲の環境があります。当院が新築移転する場所は札幌市内でも閑静な住宅街ですが、周囲に大変多くの緑が残っています。病院に近づくと緑の木々が歓迎してくれます。そして時に草花が目を楽しませ、鳥の鳴き声を耳にしてホッとすることができるでしょう。病院の建物は周囲の緑や建物に溶け込む色調にされ、あまり病院らしくありません。エントランスを入ると、自然光が入りこむ開放的な空間があります。院内には所々に緑が配置され、目に優しい絵画がさりげなく飾ってあります。院内は静寂が保たれており、何かほっと心が落ち着くのです。
次は、職員のあいさつです。当院職員はゆったりと歩いています。忙しそうにバタバタしていません。すれ違う時には軽く会釈をします。始めて来られて戸惑っている方や、つらそうにしている患者さんには「どうされましたか。」と優しく声掛けをします。決して、ぶっきらぼうに大声では声掛けしません。そういったさりげない会釈や声掛けで、患者さんは「ああ、自分はここに来てよかったんだ。」と思っていただけると思います。
当院職員は、お顔の見えない電話での対応も特に大切にしています。電話での対応も、機械的でない心のこもった対応をするように心がけており、当院に電話をしてくださった方が「ここに電話して良かった。」と思っていただけるように心がけております。
そして、もうひとつ大切にしているのは、笑顔です。さりげない笑顔は、相手をホッとさせ、時に癒しを与えます。そのようなさりげない笑顔は、いわゆる作り笑いとは違います。良い笑顔は、その人のゆとりや満足感といった内面が表れるものです。例えば職場の人間関係が悪ければ、なかなかそういった自然な笑顔が出てくるものではありません。私たち職員が、職場だけではなく、日々の生活全般で「ホスピスのこころ」を大切にした生き方を心がけていてこそ、生み出されるものだと思っております。

理事長 前野 宏

スタッフ手作りの「おもてなし」季節毎に変化する飾り付けが目を楽しませてくれます。