第15回「どのようにして緩和ケアに繋がるか」
「緩和ケアって何?」
「緩和ケアは知っているし、できればそれを受けたい・受けさせたいと思う。」
「誰に何をどうやって相談したらいいのか分からない・・・。」
当院にいらっしゃる多くの方はがん治療を頑張ってこられて治療医から「もうこれ以上の治療は逆に命を縮めることになるから」と治療の中止を提案され、今後の療養・生活をする場としてホスピス・緩和ケアを紹介されて来られています。がんが見つかった時点で治療ができない状況の中紹介される方もいらっしゃいます。治療医からはまだ何も言われていないけれど、緩和ケアを受けたい、今はまだ必要ないかもしれないけれど必要になったときのために今から準備しておきたい、そうして相談に来られる方もいらっしゃいます。
緩和ケアを受ける適切な時期やタイミングというのは人それぞれです。緩和ケアはがんによる苦痛症状の緩和を指しますが、痛みがないから緩和ケアとは繋がりを持てないかというと決してそうではありません。また、がん治療をしているから緩和ケアを受けられない、なんてこともありません。がん治療と緩和ケアはむしろともに提供されるべきものと考えられています。がんによる苦痛症状は身体的な苦痛だけではなく、病気にまつわる様々な気持ちのつらさ、病気で働けなくなる・お金がかかるというお金のつらさ、など精神的・社会的苦痛も受けられる方がほとんどです。様々なつらさを抱えておられる、そのつらさはケアされる必要があります。がんと診断を受けたときから緩和ケアは始まっているのです。
まず、身近なところから繋がっていきましょう。
治療されている方はかかられている医療機関にいる医療ソーシャルワーカーに。医療ソーシャルワーカーがいなければ看護師に。直接主治医に相談しても良いでしょう。介護保険を利用されている方は担当しているケアマネジャーに聞いてみるのも良いですね。
「ちょっと直接は言いづらいな。」「少し知りたいだけなんだけど。」「今すぐってわけじゃないんだけど。」
そんな方はご遠慮なく当院の医療ソーシャルワーカーにご相談ください。当院にお電話をしていただき、「緩和ケアのことで相談したい」と伝えてください。お電話であなたやあなたのご家族の状況を教えてください。ご来院していただいて病棟の見学を兼ねて今後のご相談をさせていただくということももちろん可能です。場合によっては医療ソーシャルワーカーが間に入って、今かかっていらっしゃる医療機関とご連絡を取り、受診や入院の調整をさせていただくということになるかもしれません。ホスピスの入院費用を一通りお電話口でお伝えして、具体的なご相談になったらまたお電話をいただく、ということもできます。どのような状況でも構いません。まずは一本のお電話から、どうぞ気持ちを楽にかけてみてくださいね。私たちは皆さんの困りごと、つらいお気持ちを伺う準備があります。
当院看護部長・工藤昭子のやさしさビタミンブログにも関連記事(2017.1.16)がございますのでご参照ください。
医療ソーシャルワーカー 髙木