日: 2012年6月4日

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    アルフォンス・デーケン先生の講演会

    昨日、札幌社会福祉総合センターでNPO法人和・ハーモニー音楽療法研究会の
    主催の研修会として、アルフォンス・デーケン先生の講演会がありました。
    「寄り添うこころー音楽の力とユーモア-」と題して1時間30分の楽しい
    お話がありました。
    このブログを読んでいる人はご存知かもしれませんが、私は昨年9月にアル
    フォンス・デーケン先生と行くカナダ・ホスピス視察研修に参加してきました。
    もう80歳近い年齢にもかかわらず元気に歩き回る姿、ユーモアあふれる話し方
    はとても素晴らしいです。
    今回は久しぶりにお目にかかれると思い、とても楽しみにしていました。

    アルフォンス・デーケン先生は上智大学で日本で初めて死を教える講義の
    「死の哲学」を30年以上開講していました。死を教えること(デス・エデュ
    ケーション)は大切で、いかに人間らしく死を迎えるかを考えると、いかに最後
    まで人間らしく生きるかということにつながるという考えです。

    今回の講演では、色々な話にまたがり、もちろん音楽療法研究会主催の講演なので
    音楽療法の効用に関しても深い洞察がありましたが、印象に残ったことは以下の
    ことでした。
    デーケン先生はドイツ生まれですが、ドイツ語では動物の死と人間の死は違う動詞
    を使うそうです。動物には「verenden(フェアエンデン)」、人間には「sterben
    (シュテルベン)」を使うそうです。肉体的な衰弱のプロセスは人間も動物も一緒で
    年を取って病気になり、そして死に至りますが、大きな違いは、人間は肉体の衰弱
    のプロセスの中でも、まだ人間として精神的に成長できるということです。
    肉体的には衰えても、成長していけるのが人間。だから人間の死には動物とは別の
    動詞を使っているのだと。

    私たちホスピスで働いていると確かにそういう人に出会います。入院している人は
    必ず肉体的には衰えていきます。でも、気持ちの上でも、精神的にも安定して、
    周りに感謝して旅立つ人を見ると、なんて人間はすごいんだろうと感心することが
    あります。淀川キリスト教病院の名誉ホスピス長の柏木哲夫先生はそれを「人生の
    跳躍」と表現していました。

    みんな一人ひとりがそんなふうになれるように、援助できればいいなと思いました。

    日曜日の午後、素晴らしいひとときを過ごし、家路につきました。

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