今年の標記の大会は久留米で開催されました。昨年は10月に日本死の臨床研究会年次大会を札幌で開催し、
当院が事務局となったため、大会が終わるまではどこの学会にも行く気がしませんでした。
死の臨床研究会年次大会が無事終了してホッとしたところ、パンフレットで上記大会が2月に開催される
ことを知って、参加することにしました。
大会は2月4日、5日の二日間の開催で、大会長は二ノ坂クリニック院長の二ノ坂保喜先生。以前、札幌に
講演を来てくれた先生です。大会プログラムは盛りだくさんでした。
その中でもやはり注目はマギーズ東京の秋山正子さんのお話でした。ちょうど、2週間前東京出張に際して
見学したところでもあり、その秋山さんからまとまったお話を聞けたことはとても良かったでした。
秋山さんの講演会は、『白衣を脱いで町に出よう ~マギーズ東京のこころみ~』という題目でした。
秋山さん自身の簡単な自己紹介、自分がたどった歴史などをかいつまんでお話し、その想いがマギーズ東京
につながっていきました。実際、マギーズ東京が東京の豊洲に出来ることにも、色々なドラマがあった
とは思いますが、そのマギーズ東京でやっていることがこれからはとても大切なことではないかと思いました。
我々は医療者という資格を持っています。どんなに気持ちや態度で接する人と同じ視線を合わせたとしても、
それが病院という建物中であれば、患者さんや家族は言いたいことも我慢してしまうという事実。
診察中に雑談ができますか?という問い。患者さんは、診察の待ち時間が長くなり次の患者さんが待っていれば、
言いたいことを我慢してしまいますよね。
マギーズ東京を作って、色々な人に利用してもらっているが、そこで相談を受けるスタッフはもちろん専門職
(看護師や臨床心理士など)ではあるが、病院という器の中にないことがいい。何気ない話から始まる。
雑談、身の上話、気になることなど、相談しに来た人の話をそこにいるスタッフはじっと聞いてくれる。
何かアドバイスをしてくれるのではない。話すことで、相談者が自分から答えを見つけるのを手助けしている。
当院では、緩和ケア(ホスピスケア)を提供しているというが、本当にニーズに応えているのかなと考えて
しまった。がんの終末期には、もちろん色んな問題が出るのは確かだし、そこに専門職がタッグを組んでいくのも
大切ではある。しかし、本当に困っている人を我々は助けているだろうか。そんな疑問がわいてきてしまった。
今年はは2017年。あと数年もすると多死社会は確実にやってくる。そして、若者は減って、高齢者が増え、
2040年をピークに日本は確実に人口が減っていく。そういう中で、我々医療者だけで、すべてをまかなえるとは
思えない。再びみんなで助け合って行かない限り、生老病死は支えられないのではないかと少し不安も感じる大会
でした。