先週の土曜日、4回目の慰霊祭が開催されました。あいにくの雪の天気にもかかわらず、34家族51人もの方
の参加でした。今回は、平成27年4月から平成28年3月まで、当院で亡くなった患者さんが対象でした。
今年もホスピス病棟だけでなく、2階病棟、3階病棟で亡くなれた患者さんのご遺族にたくさん参加していた
だきました。
大切なご家族を亡くされた病院であり、なかなか来るのが辛いと思われる方もいらっしゃるとは思いますが、
逆にこのような慰霊祭を企画することで、病院に足を運んでもらい、一つの区切りにしてもらえるのではと
思っています。
毎年、最初に院長として挨拶をさせてもらっているのですが、そこでは上智大学名誉教授のアルフォンス・
デーケン先生が唱えている悲嘆のプロセスの12段階のお話をさせてもらっています。簡単に紹介をしますと、
1.精神的打撃と麻痺状態
愛する人の死という衝撃によって、一時的に現実感覚が麻痺状態になる。
2.否認
感情、理性ともに相手の死という事実を否定する。
3.パニック
身近な死に直面した恐怖による極度のパニックを起こす。
4.怒りと不当感
不当な苦しみを負わされたという感情から、強い怒りを感じる。
5.敵意とルサンチマン(恨み)
周囲の人々や亡くなった人に対して、敵意という形でやり場のない感情をぶつける。
6.罪意識
悲嘆の行為を代表する反応で、過去の行いを悔やみ、自分を責める。
7.空想形成、幻想
空想中で、亡くなった人がまだ生きているかのように思い込み、実生活でもそのように振る舞う。
8.孤独感と抑うつ
健全な悲嘆ののプロセスの一部、早く乗り越えようとする努力と周囲の援助が重要。
9.精神的混乱とアパシー(無関心)
日々の生活目標を失ったむなしさから、どうしていいか分からなくなる。
10.あきらめ - 受容 -
自分の置かれた状況を「明らか」に見つめ、現実に勇気を持って直面しようとする。
11.新しい希望 - ユーモアと笑いの再発見 -
ユーモアと笑いは健康な生活に欠かせない要素で、その復活は、悲嘆のプロセスを乗り切る証。
12.立ち直りの段階 - 新しいアイデンティティーの誕生
苦悩に満ちた悲嘆のプロセスを経て、より成熟した人格者として生まれ変わる。
この12段階を順番に通るわけではなく、その人それぞれに色々な段階を経ると考えています。いつも紹介して
いるのは、このような段階があり、いつまでも辛い状況が続くのではなく、いつかは立ち直っていくという
ことを知ってもらいたいと思い、紹介させていただいています。
慰霊祭の後の茶話会に残られたご家族とのお話の中でも、この話題になり、色々な段階にいるご家族を見る
ことで、こちらも勉強になっています。
悪天候の中、集まっていただきありがとうございました。