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2020年10月26日

臨床宗教師 米本智昭さん 苦しみを共に感じて寄り添う人

当院には医療職者のほかに、ひとの心や魂を支える専門職が在籍しています。
「ケアする人びと」今日は「臨床宗教師」の米本智昭さんを紹介したいと思います。

―「臨床宗教師」という職業について説明していただけますか?

簡単に言うと「公的な場で活動する宗教者」のことをいいます。
昔はお寺も公共の場でしたが、東日本大震災をきっかけに、この活動が広がってきました。

―臨床宗教師になろうと思ったきっかけはなんですか?
遺族ケアももちろん大事ですが、生きていく間いっぱい苦しみを抱えていて、その苦しみを一緒に感じて一緒に答えを探しに行くこと、もともと生と死をつなげたいという気持ちがあって、亡くなってからではなくてその前の物語を知っていれば、たとえばお葬式だって自分の知っている身内のように涙を流しながら送ることができると思っています。

―東日本大震災での活動について教えてくださいー
3・11の後の宗教者は、自分の利害じゃなくて本当に苦しんでいる人たちに寄り添いたいという風に思いました。そこで宗教者と宗教学者が手を取り合って臨床宗教師というのが誕生したんですよね。
東北の震災の、一度に多くの人を見送らなければならなかった人の、残った人たちの苦しさ・・無念で亡くなった人たちを宗教者として弔う。
多くの宗教者たちが手をつないで、できることがあると感じたのがきっかけなんですよね。

―「臨床」って付くのはなぜなんですか?
岡部武先生と言う東北大学を出たドクターが在宅ホスピスをやっていらして、「死にゆく人にとって医師はなにもできない。暗闇に降りていく人にその先を示してあげられるのは宗教者だ」と言って、それで「臨床宗教師」が必要だ、と言ってくれたんですよね。ですから医療者側からの提言と言うか、それが先にあってそのあとに大震災が起きたんです。
ですからそこから公的な場で活動するという中に、病院も当然含まれていくという形になった。病院に入ることだけが臨床宗教師ではなくて、現実的にそういう要請があったし、そうおっしゃっる方がいたんですね。ただ急に宗教者に来て下さいと言って来たとして、いろいろなことを踏まえた人じゃなきゃ難しい場面もあったでしょうし、「宗教者はちょっと・・(困る)」という体験をお持ちのお医者さんのお話を聴くこともあります。
ですから現場の方に私たちは寄り添わせていただいて、受け入れて頂けるように変化していこう、という感じです。

―ここではどんな活動をしているか教えてください。
13時頃に来て13:30からのカンファレンスに同席しています。カンファレンスのあとに私を必要としてくれている人がいたら、師長さんから声がかかる。そのお部屋に担当ナースと医師と一緒に行って「初めまして」から入っていく。スタッフから一緒に考えてほしいんですと言われることもあります。

―カンファレンスで意見を求められることは?
あります。心がけていることは(自分が)医療者じゃないので、医療的な意味での介入ではなくて、その人らしさやその人の人生について焦点を当てたことをことを言わないとならないと考えています。
たとえば医療的には当たり前の行為だったとしても、その人の人生にとってはあるいは家族にとっては普通ではないことがあります。
その人の尊厳を考えた時にそれは正しいのか、医療行為としては正しくても患者さんは我慢しますし、そのルールに従わなければならない。
ということは(カンファレンスで)言うようにしているし、必要なことですよね。

米本さんが当院の職員になられてから早1年。今や欠かせない存在となっています。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
詳しくは「ケアする人びと」の欄をご覧ください。

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