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病院の日常風景

窓側と通路側

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
札幌はありがたいことに、涼しい夏が続いています。

以前とある病院に入院したとき、2人部屋に案内されました。
その日はたまたま私しかいなかったので、個室も同然、窓側を選ぶことができて幸運でした。
私は自宅にいても朝起きたら窓を開け、冬でも寝る前に換気する習慣があるので、窓を自由に触れるのはありがたいことでした。
日差しが強い時のカーテンの開け閉めも大事だし、病院というところはいろいろな「におい」がありますよね。そういうさまざまなことへの対処としても、窓の操作権を持っているというのは、快適な入院生活の大事な要素だと、改めて感じました。

翌日隣に入院する方がいました。
その方は動くのが難儀そうでした。
私たちの部屋はトイレの隣に位置していたので、その方は「ベッドが通路側に近くてありがたい」と、看護師との会話で聞こえてきました。

同室者がいらっしゃる以上、窓開閉の操作権は「相手の方も同意するかどうか」の前提が必須になりました。
せめて朝と夜には換気したい。しかし相手の方の病状がよくわからない。
もし熱が出ていて震えるような悪寒に襲われていたら、冷たい風は体に触るだろう。
急に遠慮する気持ちが芽生えて、それはどんどん膨らむのでした。

その夜、もじもじしながらカーテン越しに3分ほど窓を開けてもいいかと話しかけました。
すると「ぜひお願いします。病院はいろんなにおいがしますものね」と畳みかけられました。
私はほっとして窓を5センチほど開け、胸いっぱいに新鮮な夜気を吸い込みました。

その後私とその方は打ち解けて、お互いのことをおしゃべりするようになりました。

二人だったから、私はその方に聞いて了解を得られたのだけど、これが4人部屋だったり、体調の悪い方がいたら、と思うとそれだけでも人の自由度は狭められ、委縮するような気持ちになるものだと感じました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
入院しないとわからなかった、小さいけれど大切なこと。

朗読会を開きました

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
猛暑の中コロナウイルスの第7波が急拡大している毎日ですが、皆様いかがお過ごしですか?

人が集まるのを避ける、ということが続いていますが、そうすると人と人との会話やつながり、共感ということがしづらくなってますね。
まったくもってこのコロナウイルス、緩和ケアや高齢者ケアとは対極のところにあって憎らしい奴です。

かつてホスピス病棟では、毎週デイルームでお茶会を催していました。ボランティアさんが注文に応じて、落としたてのコーヒーを運んでくれて、小さなお菓子が添えられて、ちょっとした喫茶店のようだったんです。
音楽ボランティアの方が演奏してくださる時もありましたし、季節の行事をすることもありました。
そうして患者さん同士がなんとなく顔見知りになったり、ご家族同士がお互いを労わりあったりということが、繰り返されてきました。
今は近づきたいのに近寄れない。
このままだと、ますます世の中全体がぎすぎすしてきそうです。

さて、元テレビアナウンサーの五十嵐いおりさんからのご厚意で、いおりさんが主催した朗読会の動画を、院内で視聴できることになりました。
病棟クラークさんが素敵なポスターを作ってくれて、全部で6回デイルームで開催しました。
長い時間座っていられない方には2回に分けたり、お部屋で聴くだけの方もいたり。
それぞれ自由なスタイルで、その人らしく過ごしていただきました。
これだと集まっても耳から入る朗読に集中できます。

いおりさんの語りは迫力と穏やかさと緩急取り交ぜて、頭にありありと映像が浮かぶようでした。
私もそばに座って患者さんの様子を見ながら、一緒に楽しませていただきました。
こんな風に、静かに楽しむイベントもいいものですね。
いおりさん、貴重な機会をいただきありがとうございました(^^)/
いつか、1Fのシュヴァービング広場で生朗読会、やってもらいたいなあと妄想を書いておきます 笑。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございました。
ほんとうは、ぺちゃくちゃおしゃべりしたいですね。

お知らせ, 病院の日常風景> | 更新日:2022-08-01

築1年

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

この数年、コロナ禍という状況を体験して、進化したことやよい習慣がたくさんあるように思います。
例えば会議が終わると、私たちは消毒効果のあるウエット・ペーパーを取り出して、自分の使ったテーブルやいすを拭いています。
ペーパーの面を折り返してついでにドアノブや電気のスイッチなども拭く人もいます。
いわば「10秒掃除」をみんなで一斉にやっているわけです。

コロナ前はこういう発想はなかったし、必要だったとしても定着しなかったでしょう。
自分の手指がウイルスを運んでいるかも知れない、という前提に基づき、使用後の物品から他の人が汚染されないようにという配慮でもあります。

コロナウイルスの猛威がやや減少したときに「そろそろ消毒目的の掃除はいらないんじゃないか?」という声もちらほら聞こえましたが、「いい習慣は続けましょう」と感染委員が呼びかけて、今も続いています。
逆に拭かないと気持ちが悪く感じるようになりました。
おかげで移転から1年経った今も、会議室のテーブルやいすはきれいで傷みがほとんどないです。
毎日そんな風に拭いていることで、モノに対する扱いも丁寧になっているような気がします。

先日新築後の1年点検が行われました。
よく使われるところは表面が剝がれたり、壁が少々傷ついたりということがありましたが、大事に使ってくれていると感じます。

設計をしてくださった方とお話する機会がありました。
基本設計で初めてお会いしたのは約4年前になります。
あの頃はマスクなしでわいわい話していました。
遥か昔のことのように感じますが、医療も建築もコミュニケーションが大事だと学びました。
どちらも言葉を尽くして思いを伝え、それを受け止める、そのキャッチボールですね。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
まずはよく聴く。それが大事ですね。

Catch the Rainbow

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

正面玄関に入ると真正面に水がゆらゆらと流れ落ちる壁が目に入ります。
これ、アクア・ウォールと言います。
なんだろうと思った方も多いのではないでしょうか。

ヨーロッパのホスピスは、川や海など水辺の近くに建てられることが多く、これは生命の源が水にある、というところから来ているそうです。
残念ながら当病院のそばに水辺の環境はないので、いわば人工的に作ったというわけです。
パネルの中でゆらめく水が、清々しくひんやりと感じられ、ぼんやり見ていると心が癒されるような感じがします。

このアクア・ウォールに夕方西日が当たります。
水の揺らめきが床のタイルに映りこんで、ちょっとキレイです。
それから光の加減によっては小さな虹が見える時があります。
移転してから2回しか虹を見ていませんが、小さい幸運をキャッチした気持ちになります。
大袈裟ですかね 笑

玄関を通るとき、よければちょっとだけ足を止めてご覧くださいね。

小さな願い

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

朝晩冷え込んでいた札幌も、ようやく夏の兆しです。
もうすぐ夏至。病院横シュヴァービングの森は緑が濃くなってきました。

風が緩やかに流れる午後、ベッドごと患者さんを外に連れ出しているスタッフの姿を見つけました。
花壇の花を見て、森を見て、正面玄関から戻ってきました。
「寒くありませんでしたか?」と声をかけたのですが、聞こえなかったようです。
ニセアカシアの枝を手折って、枕元に置いてありました。
病室に帰って行かれたあとには、廊下に花の香りが残りました。

別な日の病棟では、デイルームの小上がりがステージになっていました。
歌好きの患者さんのオンステージを叶えるために、スタッフが手作りで飾りつけをしています。
スタッフは観客になって応援の団扇やペンライトを振るんだそうです。
患者さん、気持ちよく歌えたでしょうか。

別な病棟では売店のワゴン販売が始まりました。
車いすやベッドで連れ出された患者さんが次々にお買い物を楽しんでいます。
「ちょっとちょっと~私も買いたいの~」と近くのお部屋から女性の声がします。
部屋を訪れると「私、チョコレートが好きなの。買ってきてくれる?」と小銭を手渡されました。
「はい、どうぞ」とお届けすると「私ね、家では毎日チョコを食べていたの。入院してから食べてなくて、今日移動販売が来るのを楽しみに待っていたの。(ひとつ口に入れて)ああ、おいしい!」

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
小さな願い事を叶えることは、その人の人生を尊重することだなあ。

ありがとう、旧病院

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

先月から、旧病院の取り壊し工事が始まりました。

院長blogでお読みになった方もいらっしゃると思います。
工事前に神事が行われた際、院長・事務長と一緒にぐるっと回ってきました。

引っ越し以来、足を踏み入れたのは初めてでした。
物がないがらんどうの建物は、あんなに狭かったのに広くて不思議な感じがしました。
低い天井、狭い廊下、固い床のピータイル。狭いからこそ、職員同士が顔を合わせてよく声を掛け合っていました。

トイレが少なく狭くて、患者さんにはご不便をおかけしていましたし、夏はクーラーがなくて汗だくで過ごしていました。
患者さんのお風呂はエレベータで何度も行ったり来たりしていたんですから、スタッフは本当に大変だったなあと思います。
お風呂に水平移動できるだけで、今の環境は夢のようです。
なんだかんだと言いながらも、愛着のある建物でした。

回り終えて玄関を出ると、横にライラックの花が5分咲きでした。
誰も通らなくなった病院の入り口で、誰のためでもなくいつも通り咲いていた紫の花。
切ない気持ちになりました。
お世話になりました。旧病院。改めてありがとう。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
ボランティアさんがライラックを押し花にしてくださるそうです。感謝。

森のさんぽ

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
札幌はリラ冷えで寒い日が続いております。みなさまお変わりないですか?

先日ボランティア園芸部の方たちが整えてくださった花壇の道を、いよいよ患者さんに通っていただく日がやってまいりました。

「森のさんぽ」と名付けたイベントです。
車いすでバラのアーチの下をくぐり抜け、色とりどりの花を見ていただく、ただそれだけのことですが、職員がシャボン玉をしたり写真を撮ったり、音楽の生演奏もついています。
シュヴァービングの森は今、新緑でいっぱい。
風の音、葉っぱのさやさやいう音、小鳥の声がします。
花をいっぱいにしたくて、鉢植えやアサガオの造花まで駆り出されました 笑。

保育園の園児たちにはジャガイモを植えてもらいました。植えているその姿を、働くお母さんたちに見てもらって、なんだかほっこりする時間を過ごしました。
大事に育てて秋には一緒に収穫しましょう。これもひとつの食育になるでしょう。

2F病棟のテラスには大きなパラソルが来ました。
ミニトマトやインゲンなどがトートバッグの形をしたポットに蒔いてありました。
もう少し温かくなったら、パラソルのあるあたりに置いて、ここでも患者さんと一緒に水やりや、収穫が楽しめそうです。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
大人も子供も土に触れ植物を一緒に育てるっていいですね。

ワゴン販売1か月経ちました♪

売店のワゴン販売を始めてから早1か月が過ぎました。

毎週月・火・水と曜日ごとに病棟へ行くのが定着してきて、患者さんが楽しみにしてくださっているのがわかります。
ワゴンにびっしりと商品を載せていましたが、それでは足りなくなって2台目も登場。食品や日用品が溢れんばかりに詰まっています。

病棟に到着すると、待ってましたと数名の方が入れ替わり立ち替わり来られ、真剣に品定めをしています。
看護職員が患者さんを病室から連れ出してきて、つかず離れず買い物風景を見守っています。

 

「今日はガムはないの?」

店員さんが「あっ」と言って、職員に目配せし、急いでお店に取りに行きます。

ガムを手に戻ってくると先の患者さんが「すまないね」なんて言いながら買ってくださる。

それから「前に食べたぶどうパンがおいしかったから」とリクエストもいただき、それじゃ次回来るとき持ってきますね、なんて会話がされていると「なになに、そんなにおいしいの?じゃあ私にもおんなじのひとつお願い」という別な方からのお声もかかって、ちょっとしたぶどうパンブームが起きたりしています。面白いですねえ。

お財布の小銭を数えて出して、というのも久しぶりのことだったりします。震える手指で小銭をつかみ出すのも少々時間がかかりますが、店員さんは「それもリハビリだわね~」と笑顔でのんびり待っていてくれます。

こんな風にしてあっという間の30分。さて、また来週。

 

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。

みなさんのお顔を見てるだけで幸せ。

育休明けナースマン、育児を語る

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。

半年間の育休を取得したナースマンのYさんが、4月から職場に戻ってきました。
当院で男性職員が育休をとったのは初めてのことです。
先日朝礼スピーチでYさんが育休中のことを語りました。

看護師という仕事上、オムツを扱うので、赤ちゃんのオムツなんて簡単だ、奥さんに教えてあげられると思っていたら、そう簡単でもなくて逆に奥さんから教えられてしまったこと。
ミルクの後のげっぷをなかなか出してくれなくて、いっとき自分が落ち込んだこと。
でも2か月経って、ようやくできるようになり自信がついたこと。
いろいろ想定外のことが多かったけれども最後は、広く男性職員は育休を取ったらいいと思いました、と結びました。

日ごろ寡黙に仕事をしているYさんから、子育ての苦労が饒舌に語られたので、私は少し驚くと同時に、子育てに奮闘するYさんの姿が目に浮かんで、ほほえましく思いました。

共に苦労を分かち合い、共に育て、共感する。
命を守り大切に育てる。

これからも育休男子をできるだけ応援したいと思います。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
一国の宰相も子育てに関心をもって育休を共にしたら、国と国との争いなんて無くなるんじゃなかろうか、と思いますがどうでしょう。

共鳴しあう組織に

こんにちは。やさしさビタミンブログの工藤昭子です。
新年度になりましたね。

毎年4月1日は、新しい職員を迎えてオリエンテーションを行っています。
前野総長、四十坊院長が病院の歴史や理念を熱く語るところからスタートします。
お二人について、いつもすごいなあと思うのは、入職者がたとえたった一人でも、面倒がらずに同じ熱量で話してくれることなんです。

今年は看護部と医事課職員が合わせて8名入職しました。
電子カルテに医療安全や感染管理、それから当院が大事にしている認知症対応カンフォータブル・ケア、そして夕方は看護部の師長さんたちが自部署の紹介をしました。

説明のところどころに「ホスピスのこころを大切にする病院」という理念が出てきます。
幹部が言うだけではなく、師長さんたちからもそのことが繰り返し語られていきます。
日々の仕事の内容は違っても、通底している理念はみんな一緒、ここが大事なんだよなあとうれしく感じました。

詰所の中に、新しい人を歓迎するウェルカムボードができていました。
来た人を温かく迎え、仲間に引き入れる。
そして大切に育てていく。
新しく来られた方たちも、一緒に共鳴しあってくれたらいいなあと思います。

今日もこのブログに来てくださりありがとうございます。
それにしても、札幌はまだまだ寒い。

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