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2020年4月

人間は一度にひとつのことしか考えられない

コロナウイルスの対応・・どの病院も介護施設も今は手探りで更新しています。
看護管理者としては怖がってばかりもいられません。
私自身は今、急ぎではないことでも、できる仕事はできるうちにさっさとやってしまおうと考えてしまいます。
何かしていないと気持ちが落ち込む、というのは震災後と似ているかも知れません。
自分でも注意して休息と睡眠、家でできる気晴らしに意識をふりむけているところです。

さてそんな中ですが、来年新築移転をする当院。
実は4月から本格的に工事が始まりました。
建築資材が入ってこないのでは、とか工事の方が休業するのではといった心配をよそに、予定通り粛々と進んでおります。

先日現場での会議がありまして総長たちと一緒に出掛けてきました。
敷地はぐるりと壁で囲まれ、大きなショベルカーで土を掘り返し、セメントの機械が設置されていました。濃い色の土の形状が頭の中にある図面と照合され「あの辺は健診センター、あそこは正面玄関になるところ」と勝手に脳内イメージが立ち上がります。

コロナ前に計画していた楽しみごとが、自分の中で一旦ストップされ忘れかけていました。
先日「人間は一度に一つのことしか考えられない」と糸井重里さんのコラムで読みました。
なるほど今緊急で重要なものごとがあって、しかも毎日更新しているから、それ以上のキャパがない。

これから内装のことなど、どんどん楽しい決め事が増えていく予定です。
院内の掲示板やホームページでは最新ニュースを更新することになっていますのでどうぞそちらもご覧ください。
現場を見るのは束の間、よい気分転換になりました。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
あれもこれもと詰め込むのは貧乏性でして。

方法の原理に照らし合わせる

昨年の秋に「方法の原理」ということを学びました。
方法の有効性は目的と状況に応じて決まる、という原理です。
西條剛央先生※1が主催するエッセンシャル・マネジメント・スクール(EMS)で教わったのですが、最近のコロナ対策で私はこのことをしょっちゅう考えるようになりました。

そもそもサージカルマスクというのは「1処置1マスク」であり、患者さんに何か処置をしたり痰の吸引をした際は、その都度廃棄して新しいのを身につけるのが基本でした。感染から患者と医療者の身を守るのが目的で、それ以上でも以下でもありません。マスクは一枚3円くらいで、以前は処置をするときのみ装着していました。

2月には目的は変わりませんが状況が変わり始めていました。職員は全員マスクをつける必要が生じたのにマスクが入ってこない、という状況です。その頃は「4月くらいには納入再開するんじゃないか」と考えていました。
それで一人一日一枚に制限して使うことにしました。
現場ナースは「え~?一日一枚なんて汚い~」と悲鳴を上げていました。

4月に入っても依然としてマスクは入ってきません。さらに状況を鑑み「一人10枚を1か月間自己管理」「患者さんと直接かかわらない部署の職員は布マスク」という方法に変えました。マスクの内側に不織紙ガーゼを当て、使用後はマスクを中性洗剤で押し洗いし、次亜塩素酸ナトリウムを薄めたもので消毒して干す、という工程を各自にお願いしました。しかし本来そのような使い方を想定しているものではありません。マスクは傷むし、肝心のウイルスから守る機能が損なわれないかは疑問です。

その後マスクは洗わなくても72時間たてばウイルスは消える、紙袋に保管すれば3時間で大丈夫、など諸説出てきました。
真偽のほどはまだわかりません。
インターネットで見ると4月18日現在一枚100円前後で取引されています。
とても使い捨てできる金額ではありませんね。

目的は同じでも、状況は日々刻々と変わっていきます。
それによって有効な方法を変化させていくしかありません。
コロナ対策は毎日毎日が新たな試練との直面です。ときには直感で動かなければならないこともあるでしょう。
その場合も後から方法の原理を思い起こして目的・状況・方法と順に考えていくと、頭の整理に役立ちます。

そんな中、こんなはがきをいただきました。
私の勉強仲間であり、笑い文字の先生からのものです。
「みんなのためにありがとう!無理せず気をつけて」というメッセージが書かれていました。
これは医療者みんなに向けたものとして受け取りました。
誰かが誰かを思いやる、そうした気遣い・愛情が今の時代にとても大切なことと思います。
状況がどんどん悪くなっても、人を元気づけるという目的のもと、こうしたはがきがどれだけうれしいことか。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
悪いことばかりでもありません。

※1 西條剛央先生と方法の原理について詳しくお知りになりたい方はこちらの記事をご覧ください。https://www.1101.com/funbaro/2011-06-17.html

不要不急のものごとの中に

北海道では一時コロナ感染が落ち着き傾向になりましたが、再び第2波が来ています。
私たちの病院でも、毎週コロナ対策のための会議を持ち、すでに定例化してきました。
マスクの在庫も少なくなり、現在はひとり10枚を1か月間自己管理してもらっています。
患者さんに直接対面しない部署の職員には、ボランティアさんの手作りマスクが配布され、口元の彩りがほほえましくもあります。
会議や食堂でもソーシャルディスタンスを考慮し、席の間隔をあけるようにし始めました。
これらが正しいかどうかはわかりませんが、今できる最善を尽くし患者さんと職員を守ろうと思っています。

「不要不急の」ということで、出張を伴う会議や研修会が軒並み中止となっています。
会議や研修のオンライン化は、むしろチャンスと思って積極的に切り替えていきたいと思います。
救急蘇生などの演習も動画に切り替えていけたら、とドクターから提案をいただきました。
朝礼も休止してからひと月以上経ちました。
形式的なものは減らしたいものの、研修生のあいさつや3分間スピーチというのは、その人を知る上で大切な時間でしたから、朝の始まりが物足りない感じです。
ボランティアさんが運営してくださるお茶会やイベントも休止しているので、賑わいが薄く静かな時が流れています。一方マスク作りや花壇の整備などはどんどん進化し続けています。

日常の挨拶やちょっとした雑談、家族の話、昨日のテレビの話題、そういう小さな営みが途絶えることによって、人々の心が分断されなければいいなと思います。
終息したときにあらゆる価値観・意識や行動がどんなふうに変化しているのか、自分なりに書き留めていきたいと思っています。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
できること マスクしながら 声かけよ

花はいつもと変わらず

転職リアリティ・ショック

今年も新たに仲間を迎えました。
コロナウイルスの影響で入職時オリエンテーションの開催も迷いましたが、机の間隔や換気を十分に行って開くことにしました。
大学院を修了して戻ってきた梶原師長にもたくさん手伝ってもらい、いい段取りができたと思います
(自画自賛)。
いつもならオリエンテーションの終わりは茶話会を行って、対話の時間を大事にしているのですが、今年は各師長と入職者の自己紹介にとどめました。
時事ネタとして「コロナウイルスの影響で変わった私の生活」というテーマでも一言答えていただきました。
外飲みを自粛している人、お子さんとゆっくり関わってる人、お子さんがご飯の支度をしてくれている人などなど、人となりが垣間見える自己紹介でした。

私は看護管理者になって今年で8年目になります。
毎年退職者を見送り、新たに迎えるということを繰り返しています。
就職を希望される方には、病院見学に来られたときに理念である「ホスピスのこころを大切にする病院」のお話をしています。
自分としては熱をこめて語っているつもりですが、初日のオリエンテーションで総長や院長からも聞くことで「看護部長の言ってることは本当だった」という風に思ってもらえているようです(笑)。
前野総長はホスピスを始めた人ですし、院長もホスピスをやりたかった人なので、最後に来た私の説明にはなんの矛盾もありません。
ありがたいことに入職者がたった一人の時でも、院長たちは熱を込めて話してくれるのです。
こうして毎年、同じ志を持つ仲間が増えてうれしいです。

ボランティア・コーディネーターの鈴木さんを紹介

転職というのはエネルギーのいることです。
それまでの経験や仲間とのつながりを一旦終えて、一度ゼロにすることから始まります。病院に対し期待感いっぱいだったり、あるいは厳しさを覚悟していたり、さまざまでしょう。
リアリティ・ショックというのはどちらかというとネガティブな反応について言われることですが、いい意味でのショックも感じられるといいなと思っています。

私は5年前にこの病院に着任したときがまさにそうでした。
優秀なソーシャルワーカーの働きや、院内の誰もが親切だったこと、緩和ケアを見て感じたこと。
今でも新鮮に思い出すことができます。
外から来られた人の新鮮なまなざしで当院の不備不足を教えていただき、なおかつ「ここへきて良かった」と思ってもらえるように願っています。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
春はいつもエネルギーに満ちている。