https://sapporominami.com/nurse/

文字の大きさ変更

サイトマップ
0118830602

アーカイブ一覧

2019年8月

喪失と回復または再獲得 (グリーフケア研修会から)

当院にはグリーフ(悲嘆)ケア委員会という組織があります。
何をしているかと言うと、ご遺族の方へお手紙を送ったり、遺族会(ひだまりの会)や慰霊祭(こもれびの会)を開いています。

先日職員向けのグリーフケア研修会が行われました。
病棟師長が「グリーフケアとはホスピスだけの特別なものではなくて、普段から私たちは日常的にしているのですよ。ただ当たり前すぎて気づいてないかも知れません」という趣旨でお話をしました。

老いて病気をすると私たちはいろんなものごとを失います。
できることができなくなったり、楽しみにしていたことをあきらめたり。
愛する人を亡くすのはその最たるものでして、「どうして私の家族が!」と怒りを感じたり、「私がもっと早くに気づいてあげていたら」と自責の念に駆られたり。
できないことにばかり目がいくと、気持ちが落ち込んでうつになることもあります。

アルフォンス・デーケン先生の「悲嘆のプロセス」では12の段階が示されていますが、悲嘆の段階はすべての人に訪れるというものでもなく、また順番に現れるものでもありません。

病気によってできなくなったこと、例えば映画館で映画を見るのを楽しみにしていた方は、家でリラックスしながら見ることに新たな価値観を見出したりします。
愛する人を亡くしたつらい体験も、時間が経過して(日にち薬、という言い方をしたりしますね)、心が落ち着いてくると、他者の話が耳に入るようになり、また自分でも気持ちを聴いてもらいたくなったりします。

こうして人は喪失と回復または再獲得、つまり以前は価値がないと思っていたようなことがらも、失われて初めて気づくことがあり、急に価値が大きくなる。
それをLIFE(人生・生活の意味)の中に組み込んでいく。
大きく小さく波のように行ったり来たりしながら、悲しみは決してなくなりはしないけれども、次第に抱えやすくなる。
これを繰り返していくのです。

悲しみの底から再び立ち上がっていくときに、その方が自らの力でエネルギーを得ていく場面に立ち会うことがあります。

講義では、ご遺族の方からのお手紙が紹介されました。
亡くなられた故人への思い・医療者に対する感謝・現在の近況などが書かれていました。
どんなお気持ちでこれを書いたのか、手紙をわざわざ書き、切手を貼ってポストに投函するまでの行動そのものが、文字通り1歩を歩み出したこと、グリーフケアになるのではないか、という話がありました。

その後グループに分かれてそれぞれが思う「グリーフケア」について語り合い、聴きあう時間になりました。
医療者は誰しも亡くなられた患者さんとご家族との思い出を持っています。
話すきっかけができたことで、こころの中に大切にしている体験や言葉がたくさん出てきました。
終了の声をかけてもみんなの話が終わらない、後ろ髪引かれる研修会でした。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
医療者や介護者はみんな、語れると思うのです。

在宅緩和ケアの訪問看護ステーションを開設します

もしもがんと診断されて、いろいろ治療したけれど、これからは緩和ケアを受けてできるだけ家で過ごしたい。
私がその立場になったなら、きっと、いや必ずそう思うだろうなあと考えています。

今日は宣伝させていただきます。
9月1日から当院の関連施設として「緩和ケア訪問看護ステーション札幌」がオープンします。
これまではホームケアクリニック札幌(藤原葉子院長)として訪問看護を行ってきましたが、在宅緩和ケアを中心とした訪問看護ステーションを立ち上げ、在宅療養されるがん患者さんとそのご家族の支援のため、より一層きめの細かいケアをしたいと考えています。

愛する家族やペットと過ごす時間。

家の匂いや温度。

慣れた枕や布団の寝心地。

食べたいものを食べる自由。

窓から見える景色。

湯気の立つコーヒー。

一杯の晩酌。


「最期まで自宅で暮らしたい」と思っていても「家族に迷惑はかけられない」「自分が動けなくなった時、自宅で本当にいいのか自信がない」と考える方はたくさんいらっしゃいます。
人の気持ちは変わることもあるし、絶対じゃない。
家族だって頑張ろうと思ったけど「頑張れないかも」ということもあるでしょう。
そういう心の揺れも大丈夫。
当たり前のことです。

「やっぱり病院にいたほうが安心」
「家族が疲れてきたから、少し休ませたい」
というときにはご相談ください。

そうして無理のない、けれども自分の思うように時を過ごすことを、みんなで話し合いながら支えたいと考えています。

ホームページは9月1日にオープン予定。
お問合せはこちらにどうぞ。

http://homecare-sapporo.com/

またオープン記念講演会として10/6 13:30~秋山正子先生にお越しいただくことになりました。
ぜひお運びください。
緩和ケア訪問看護ステーション札幌 開設記念講演会チラシ

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
あ、大事なことを忘れてました。
「在宅緩和ケアをやってみたい」看護師さんを1名募集中です。

今年も盆踊り

8月7日北海道では月遅れの七夕の日に、3F病棟で盆踊りが行われました。

昨年から始まったこの行事、看護師と看護補助者らがアイデアを練り、娯楽の少ない病院の中で何か楽しいことを提供できないか、と発案したものでした。

数日前からデイルームに飾り付けがされて、期待感が高まります。
当日昼過ぎに行くと、真ん中に大太鼓が設置されて気分が盛り上がります。
(ちなみにこの太鼓は中がポリバケツで、外側を100均の包装紙などでそれらしく作られています。)

CDラジカセから花火の効果音とともに北海盆唄が流れて、職員が法被を着て患者さんを次々案内してきました。
みんなでハチマキを巻き、踊らにゃソン、ソンと輪を回りました。

踊った後はかき氷をふるまいます。
いちご・メロン・ブルーハワイ。
蒸し暑さも手伝って大好評でした。

偶然通りかかった施設管理の職員が、即席で手品を披露してくれました。
その後太鼓とラジカセをもって病室を回り、盆踊りの出前をして歩いたようです。
面会に来られたご家族さんも、「盆踊りのチラシは見ていたけど、まさか病院で盆踊りをするとはねえ」と驚いていました。


今日もこのブログにきていただきありがとうございます。
一服の涼になったなら幸いです。

強みを活かすことについて

強みを活かすというドラッカーの言葉が好きです。
でも最近の学びで、私の考えている強みはかなり範囲が広いということがわかりました。

ことばで表せば
得意。長所。取柄。好き。特技。関心がある。
ほかにもあるかな。

好きこそものの上手なれ。
ということばがあるけれど、好きなことをず~っとしていって、強みになる。
イチローさんとか錦織圭さんとか。
好きでもそんなに上手にはなれない人も多い。
私は楽器を演奏するのが好きだけど、うまくはなれない。でも好き。

努力しなくてもできちゃうこともある。
絶対音感を持っているとか。
ドリカムの吉田美和さんのように、子供の頃から普通に歌ってるだけで歌がうまかった人は、どんどん磨きをかけていって今があるんでしょうね。

それまでまったく未知の分野だったのに、何かのきっかけで強い関心が湧いて、そのことを勉強するうちに専門家になっていく場合もある。
災害を経験して、防災について勉強するうちにDMATの隊員になるとか。
家族ががんになって、学んでいくうちにがん患者のサポートをするようになるとか。

学校で学んだこともなく、関心もなかったけれど、仕事で何度も繰り返しやるようになってうまくなる。
看護師の注射技術なんてそういうものですね。

ひとりひとりの強みは目覚めているものもあれば、眠っているものもあり。
気づいてないだけのものもあれば、ちょっとしたきっかけで急に開花するものもある。

関心ごとは聞いてみないとわからない。
そしていいタイミングでそれをキャッチし、チャンスにつなげないと。

どうしてこんなことを言うかというと
うちの看護補助者さんたちの、イベントに現れるアイデアが多彩だからなんです。
しかもお金がかからないように工夫してくれていて、ありがたいやら涙ぐましいやら。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
自由に楽しく。