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2017年10月30日

畑と看護と人生と

昨年(2016年)1月にここに着任してから、もうすぐ2年が経とうとしています。早いものです。
ここへきて自分がしたことの一つが花壇と畑です。したことと言っても、ホンの一部分ですけど。

自宅で家庭菜園をしている師匠と、園芸療法士として活躍している方が、ボランティアとして全体の計画や準備をしてくださり、職員と私が日常の水やりなどを行う。時々患者さんに関わってもらって種を植えたり受粉を手伝ってもらったりする。実を収穫し、栄養課で調理してもらって、職員も患者さんもいただく。そこにはうれしい楽しいのコミュニケーションがあります。
2年でこのサイクルができて、一番楽しませてもらったのは実は私なんじゃないかと思います。

先日園芸療法士の土角さんの「花と緑で人を支える園芸療法」と題した講義を聞いて、自分なりに感じたことを書きたいと思います。

「園芸療法」とは植物や植物のある環境、植物を育てる活動を日々の暮らしに取り入れ、心身機能の改善・社会参加・認知症予防・介護予防などに活用する方法です。その効果は気分転換やリラクゼーション、集中力の改善、季節や時間の感覚を取り戻すこと、基本的欲求の充足、達成感、満足感、コミュニケーション能力の向上など多岐に渡ります。
患者さんとご家族から、感謝の言葉をいくつもいただいたのも、活動を続ける大きな励みになりました。

水やりのために外へ出て、花を観察する。ほんの10分位の時間ですが、ただそれだけでずいぶん気分転換になりました。
心が穏やかになり、花を愛でて実を収穫するということがずいぶんと心の栄養になった気がします。
日々の様子を観察し「病気かな?」「水が足りないかな?」「日差しが強すぎるかな?」とアセスメントして行動するのは看護ケアにも似ています。看護は観察に始まり観察に終わるというけれども、日々見ている中で「あれ?」と気づくことが大事です。

芽が出て花が咲いて、やがて朽ちていく姿を見ることは、人の一生にもつながります。
咲き終えて落ちた花殻を拾いながら、人間もいきいきと活動できる時間は限られており、今を大事に生きて身体の声を聴き、変化への備えをして行こうと思いました。
こんな風に、植物と関わることは生きることそのものへの深い思索とつながっていました。
もっと若いときからそのことに気づいていたら、生き方は変わっていたかも知れません。
     

土角さんの講義を聞いて来年の活動に追加したいことができました。
ひとつは、土づくりのところから患者さんに関わってもらおうということ。
それから夏野菜の収穫は主に私がやっていたのだけど、この満足感を患者さんに味わってもらおうということ。
そして新病院に移転したら・・あんな花壇、こんな畑・・と妄想は広がるばかりです。

畑が仕事の一部なんて看護部長は、おそらく日本中探してもそういないのではないかと思います。
それを許してくれている、理事長・院長に感謝してます。
     

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
やったことがないことでも、いい導きがあると興味が持てるね。