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2017年9月2日

あるグリーフ(悲嘆)ケアの形〜遺志をつなぐ〜

家族を亡くす、ということは大きな喪失体験です。

悲しみや辛さはその人それぞれの喪失体験の積み重ねや、愛情、旅立つまでの間にどんな体験を共有したかによってもずいぶん違うものです。突然なのか、予期されたことなのか、生前の関わりに対する後悔の度合いが強いかどうか、旅立ちを受け止める時間があったか、故人との関係性がよかったかどうか、本音で語れたかどうか。
本当に、それぞれのストーリー(物語)があって、どれひとつとして同じものはありません。

大切な人を亡くした場所に再び足を踏み入れて、ボランティアをするということ。
以前のブログでも触れましたが、故人を取り巻くご家族やご友人が共に過ごし、語り合い、悲しみを共有しながらも旅立ちを受け入れてしっかり見送ることが出来た時、ひとつのグリーフ(悲嘆)ケアの形として、他者への支援をする行動につながるような気がします。

ボランティアの存在は、医療者でもなく家族でもなく、ちょうどいい距離感を持って、自分が一人の人であることを鏡のように思い出させてくれます。香り高いコーヒーを落としてくれて、病気であることをふと忘れてしまうような時間を作ること、音楽、対話などがどれだけ患者さんやご家族の力になっていることでしょうか。

ある患者さんがこうおっしゃって下さいました。
「私が元気になったら、ここの看護師さんたちを癒してあげるんだ」って。
それを何度となく聞いていたお身内の方が、ボランティアとして申し込んでくださって。
「自分にできることで、彼女の遺志をつなぎたい。きっと彼女自身がそうしたかったと思うから」とおっしゃって、8月から週に1回、職員のために若石式リフレクソロジーというマッサージをしに来て下さっています。
30分の足裏マッサージには、自分でも気づいていない体の不調に気づき、いたわり、ケアしてもらったという以上の効果があるようです。
マッサージをしてくれるボランティアさんのそばに、亡くなった患者さんのにっこり笑った姿が見えるようでした。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
ケアする人もケアされて、またいいケアができる。