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看護部からのお知らせ

音楽の扉が開くとき

この秋公開の映画「ボヘミアン ラプソディー」が大ヒットしている。
映画館は中高年の人でいっぱいで、私の友人も2度3度と見に行く人がいて、とても評判がいい。私も近いうちに見に行こうと思っている。

特別クイーンが好きだったわけではないけれど、その時代に流れていた歌というのは、その時の出来事や周りにいた人との思い出をふとよみがえらせる力がある。

先日障がい者病棟に音楽ボランティアの方が2人来てくれた。
一人はヴァイオリンの橋田さんで、去年から当院でときどき演奏をしてくださっている。
もう一人は松本さんというピアノ奏者である。

お二人は札幌市内の室内管弦楽団で活躍されている方たちで、松本さんは指揮者とのこと。
午後から2Fと3Fの病棟でそれぞれ20分ずつ演奏をしてくださるのである。

病棟では看護師たちが患者さんを車いすやベッドでデイルームに連れ出して準備万端である。
患者さんの合間に座り、様子を見守りながら一緒に演奏を聴いている。
共に過ごす、寄り添って聴く。
職員がこれも仕事のうちと心得ているのが大事なのである。
私はこういう場面を後ろから見ていると幸せを感じる。

最初の曲、それは1960~70年代の映画のテーマ曲で、誰でも聞いたことがある曲だった。
曲が始まってすぐ、ある患者さんの目から涙がぽとりと落ちた。
何か琴線にふれたのだろうと思う。
介護福祉士がティッシュをさっと引きだして、優しい顔で涙を拭いていた。

患者さんの平均年齢は70代後半とすると、1970年代は20代~30代の頃だ。
戦後の物のない時代を乗り越えて、高度成長期に過ごし、仕事や恋愛、それからテレビや映画が面白かった時代だ。

そのあともTVのCMで聴いた曲がストレートに耳に届き、短い時間だったけれども充実した演奏会だった。
手拍子を打ち、それに演奏者がノッテくれて、会場が一体になった感じがした。
アンコールに応えて、クリスマスソングをジャズバラードで弾いてくれた時には、自分が病院にいることも忘れるくらいだった。


ありがたいことに当院では音楽ボランティアの方が何人も来てくださり、唱歌・軍歌・演歌・歌謡曲・クラシックにジャズと幅広く演奏してくださっている。
誰の心に何が届くかは演奏してみないとわからないし、自分が特別好きだと思ってなくても、時代の空気がふわりとよみがえって急に記憶の扉が開くこともある。
それが音楽のチカラだなと思う。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
開いた扉から、若かりしころのことをゆっくり聞いてみたいね。