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看護部からのお知らせ

看護師の世界に「安定」はない

師長だったときも、看護部長になってからも、私はいつも「安定する」ことを求めていたように思います。
自部署に人が定着して、それぞれがスキルアップして、まとまりのあるチームになって、いいケアをして・・・ということをずうっと夢見ていました。
しかし毎年思うのはこの世界は「安定」というのはないな、ということ。
医療は進化し、人は変わり、IT化されて忙しさは加速する。
看護師たちの職場はほぼ女子の職場なので、どうしても女性のライフスタイルが優先する。
そして自分自身をとってみても、人生が安定したためしはないなということ。
モノゴトは常に動き、人の心は変わり、周辺状況はいつも山あり谷あり、なんです。
それを不安に思ったり、なげいてもしょうがない。

安定を崩す事柄に振り回されたり、「どうしてわかってくれないの?」と思うこともあったけど、流れを思い通りにすることなんてできないですね。
ただ最近わかってきたことは、自分がその日その一瞬を楽しくして過ごすよう意識していると、そしてその積み重ねを続けると、何かが変わっていくと感じる時があります。

先日ホスピスでティータイム・コンサートがありました。
ショパンのワルツなど、耳に慣れたやさしい曲を、ピアニストの村松さんが弾いてくれました。
看護補助スタッフが障害者病棟の患者さんを連れてきてくれて、横に座って一緒にお茶していきます。
ボランティア・コーディネーターの鈴木さんも、患者さんの手を握って眼を閉じて聴いています。
ボランティアの佐久間さんは、患者さんの手を優しくマッサージしながらなんとも優しい表情をしています。
昔ピアノを弾いていたという患者さんは、曲に合わせて指を動かしていました。

寝たきりだった患者さんをリクライニングの車いすに移動して、師長さんと受持ちナースがやってきました。
座るだけでもしばらくぶりのその患者さんに「わ~ひさしぶり。よくいらっしゃいましたね」と声をかけると、ゆっくりとピースサインをしてくださいました。
動きにくかった手を持ち上げて、裏ピースをやっとなんとかできるようになった、そのことを涙ぐんで喜ぶナースたち。
その様子に私もぐっときてしまいます。

あとから写真を見てみると、患者さんや職員、ボランティアさんがとても豊かな、良い表情をしていました。
誰かを想って何かをして、一緒に喜んで笑っている姿に、そしてこの瞬間に遭遇していることに、私は素直に幸せを感じました。

約一時間後、まったく別なことで心が揺るがされましたけどね・・安定しないというのはそういう意味でもあります。笑

演奏を終えて。ピアニスト村松さんとボランティア・コーディネーターの鈴木さん

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
人生は、だから面白いんですね。