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看護部からのお知らせ

余韻の続く小説「平場の月」

しばらくぶりにいい小説を読みました。
このところ小説から遠ざかっていたので新鮮でもありまして。

主人公は50代の女性です。
「平場」という言葉は初めて知ったのですが、文字通り「平たい場所」とか「普通の場」という意味があり、小説の登場人物も目立たないごく普通の生活をしている一市民で、特別大きな事件が起こるわけではありませんが、日々の生活と心情の中にひたひたと迫りくるものがありました。
早く全部を読みたいのに(またそうできる分量なのに)、主人公の気持ちをゆっくり味わいたい気持ちになり(あるいは友人の気持ちになったり)結末は冒頭に出てくるので、読みたいのに読み終わりたくないという相反した感情になってしまうという、不思議な小説でした。

今これをお読みの方は、あらすじも書かずに何を言ってるかわからないと思います。
キーワードなんかを書くと陳腐になりそうで・・自分の筆力のなさをすみません・・。

話し言葉が小見出しにもなっていて、「ちょうどよくしあわせなんだ」とか「誰に助けを求めるかは自分で決めたいんだ」とかシビレル言葉が随所にありました。
物語に通底しているのは「自分のことは最期まで自分で決めたい。自分で選びたい」という人間の尊厳であり、日々の暮らしの中にこそ幸せがあり、それを小さく刻んでは味わっていくということでした。
読後しばらく余韻が続きました。

今日もこのブログにきていただきありがとうございます。
予備知識なく読んだほうが喜びが大きいかも。