日: 2010年11月7日

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    日本死の臨床研究会年次大会(盛岡)

    11月6,7日の2日間盛岡で日本死の臨床研究会の第34回年次大会が開催され、
    参加してきました。
    約30年前、あまりにも医療の中に死が閉じ込められ、みんなが苦しいまま病院で
    亡くなっていく現実に、これはなんとかしないといけないと有志が立ち上がり、
    1977年に日本死の臨床研究会というものが出来たのです。日本のホスピス・緩和ケア
    の領域では一番最初にできた集まりで、また死を取り上げているというとても
    ユニークな研究会です。わたしもこの緩和ケアに携わり始めてから毎年参加するよう
    になっています。
    最近は、緩和ケアが普及が著しいですが、あえてこの研究会は緩和ケアの普及自体が
    生を支えすぎて人間のいつかは死を迎える現実を遠ざけてしまっているということを
    危惧していると訴え続けています。

    今回の年次大会は東北地区で開催されたこともあり、テーマは「地域で看取る」。
    どのようにして人生の終末期を地域の中で支えていくべきか、活発な議論がありました。
    私は事情で、一日目しか参加しなかったのですが、昼のセミナーで聞いた小笠原内科の
    小笠原文雄先生のお話がとても印象的でした。もともと循環器内科医でありながら、
    開業したので在宅を始めてしまい、色々な患者さんとの出会いからいつの間にか
    在宅緩和ケア医になってしまったとのこと。なんと在宅の死亡率が90%を超えている!
    そこには、患者さん本人の家に帰りたいという気持ち。それを支える家族、スタッフの
    がんばりがあることをセミナーを聞いてヒシヒシと感じました。
    我々ホスピス病棟を運営しているものにとってもとても刺激的な内容で、家の力には
    勝てないけれど、ホスピスマインドだけは常に大切にして患者さん・家族に関わることが
    原点と思いました。

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